先日読了した『くせものの譜』。
非常に面白く、著者の箕輪諒が気になって気になって早速読了しました。
『うつろ屋軍師』
恐らくその名を知ってる方はそう多くはないのではないでしょうか。
主人公は織田信長の重臣丹羽長秀の配下、江口三郎右衛門正吉。
そもそも丹羽長秀がそれ程知られていないというか、あまり主人公にならない人物ですもんね。
ただ織田家では筆頭家老柴田勝家に次ぐ人物。
豊臣政権でも最盛期には若狭・越前・加賀(二郡)の123万石の大大名です。
ワタシも長秀を知ることからこの本が始まりました。
さて江口正吉。
戦にあたって合理性はあるも奇策をひねり出すことから、空論屋(うつろや)とも呼ばれたそう。
その実現性に難があることを思いつく。
しかしその才能を長秀は買っており、丹羽家において様々な場面で活躍する。
しかし長秀没後、あまりにも力を持つ丹羽家は秀吉にとって看過できない存在となり、長秀の後を継いだ長重は数万石に減らされる。
家の重鎮も去っていく中、正吉は丹羽家の筆頭家老として家を取り仕切っていく。
そして天下人であった秀吉没後、関ケ原の戦いへと時代は移りゆく。
東についた隣国加賀の前田家との北陸版関ヶ原と言われる浅井畷の戦いが始まる・・・。
本当に江口さんて?という感じだったのですが、本作では小賢しい印象のある軍師とは違い、爽やかで飄々とした人物像に描かれています。
所々で歴史上の有名人との交流が散りばめられていてそれも面白い。
大坂の陣では『くせものの譜』で主人公だった御宿勘兵衛も登場。
恐らく本作がデビュー作なので、ここで登場させた勘兵衛を次作で活躍させたって感じでしょうか。
しかし箕輪諒、面白い。
なかなか光が当たりづらい歴史人にスポットを当てて、なおかつそのスポットの当てっぷりがわざとらしすぎず絶妙。
次も読み始めています。
我が家の近所の図書館も閉館しています。
なんか寂しいですね。