生活の変化

多くの会社には組合というものがあり、好き嫌いに関わらず、その活動を組合員が担わなくてはならない。

組合の構成には一般組合員が一番の下部組織で通常何もしない事が多い。その上が代議員と呼ばれるもので何人かの組合員の代表となって総会等に出席しなくてはならなくなる。この代議員は通常持ち回りで担当する事が多い。

そして、さらにその代議員から何人かの中央執行部委員が選挙で選ばれるが事前の協議による出来レースとなっている事が殆どだ。

中央執行委員の数は規模に応じて変わってくるが最低でも委員長、副委員長、書記長の３人となっている。我が社ではそれに８人を加えた１２人で構成される。

ただの代議員なら、課せられる仕事にそんな大きな負担もなく、通常の業務にも支障もなく、生活の変化もない。職場によっても違うが概ね１０年に一度くらいの割で回ってくる、いわゆるお義理でこなす組合へのお付き合いだ。

私にも今回２度目のそれが回ってきた。

そろそろ来る頃だと覚悟していたので驚きはなかったが、さらにその上の中央執行部委員に選ばれるとなると全く話が違ってくる。

中央執行部委員は代議員を取りまとめる役目があり、同時に委員長や副委員長、書記長を支えなくてはならず、本格的な組合活動をしなくてはならなくなる。

その職務は代議員とは違い、会社のトップと団体交渉を行ったり、様々な活動があり、会社の仕事を休んで取り組まなくてはならなくなる。

自分のプライベートな時間まで犠牲にしないといけないので、殆どの人が嫌がり、引き受けてくれる人がいないのだ。

本来、中央執行部委員は職場での代議員同士の話し合いによって自主的に代議員の中から決められるが、今回私の職場では全く決着がつかず、全職場の代議員が集まる代議員総会まで持ち越され、経緯は省くが最終的に選挙で選ばれてしまった。これは出来レースで選出されない珍しいケースに当たる例だ。

勿論、委員長や副委員長、書記長といった３役に比べたら、負担はかなり軽いが会社の業務にも穴を開けて職場に迷惑をかけ、家を留守にする事でカミさんにも負担をかけることにもなり、生活のリズムは一変してしまう。

やりたくないとボヤキつつも、組合の存在を無視できないし、その存在にあやかっている部分がある限り、引き受けざるを得ない。

米系航空会社の経営が苦しい中、突然の解雇や異動などで社員が不利益を被る可能性がある中、その歯止め効果がある限り、組合を軽視出来ないのが実情だ。

積極的に関わる組合員こそ稀だが組織率は高いのだ。ここの所の航空不況を反映しているかのようでもある。

自分の雇用の安定だけを願って組合員になっているものの、組合の仕事はやりたくなく、組合費は解雇されない為の保険と割り切って払っているというのが大多数の社員の本音である。

私もその内の１人で今回の出来事に驚き、ただ戸惑うばかりである。

早速、合宿と称して保養所にて２泊３日で缶詰にされて勉強会を行ってきた。総勢１２名で構成される今期執行部で連日組合活動についてのイロハから、今期の活動方針まで幅広く論議した。

顔も名前も知らない各職場からの代表と腹を割って話せたのはプラスになったと感じてはいるものの、これからの活動での負担を考えるとうんざりしてくるのも事実だ。

任期は１年、何事もいい加減にやるのは嫌いなタチなので自分なりにベストは尽くすつもりだが、気分はとっても憂鬱なのだ。