「肥後の猛婦」という言葉があるが
熊本在住の人以外は知らないだろう。
その典型の一人が、矢島家の6女楫子である。
熊本は女子教育の先進地なのである。
観光地として知られる水前寺公園に隣接してジェーンズ邸という
白い洋館がある。ジェーンズ氏は子供らの教育のために招聘された。
そこでは男女の隔たりなく、机を並べて勉強をした。
そんな土壌も矢島家の子どもたちへの先進的な教育と無関係ではないだろう。
楫子は明治初期の男尊女卑の風土の中で、自らの思うところに従って
教師として自分の口を糊し、我が子も育て上げた。
さらに矯風会を立ち上げ女性の地位向上の社会運動を
リードしていった、まさに「猛婦」だった。