負けない MCTDとの気ままな日々

MCTD、シェーグレン症候群である大学生の気ままな毎日をリポートします。

臓器移植について考える 後編

2018-10-12 07:28:59 | たわごと
前編はこちら

今日の後編では、臓器移植の歴史に話を持っていきます。少し死生観などにも踏み込んだ話になります。いろいろ思うところはあるでしょうが、はじめていきましょう。

アメリカでは日本で臓器移植が進むよりも早く、脳死者からの臓器提供が行われていました。これはひとえに、アメリカの死生観が脳死=死だったからにすぎません。

しかし、日本では仏教の考え方が根付いており、心臓死=死となっていました。そのため、一般的には心臓死よりも脳死が早く来るため脳死者からの臓器提供は積極的に行われてはいませんでした。また、今ほど心臓死した人からの提供された臓器の状態も良くなく、(今みたいにヘパリンを注入するなどの技術が知られていませんでした)現実的にも課題まみれでした。

また、日本で生きている間に死んだ後の話をするのはタブーだとしてきた文化も邪魔をしていたと思います。臓器提供でお金儲けした、というような誤解もはびこっていました。したがって、臓器移植が推進されないのも無理のない話でした。

しかし、生体間での肝臓や腎臓の移植は日本でも行われていました。いささか倫理的に議論になったこともありましたが、日本には腎不全の患者さんが他国よりたくさんいたり、酒飲み文化からか肝臓病の患者さんがたくさんいたりしたので、国の医療費削減のために推し進めざるを得なかったのだ、という人もいます。いずれにしても、日本の臓器移植のあけぼのは生体間での移植からです。

臓器移植法が出来、大人の移植に関してはかなり門戸が開けた後も、子どもの移植は15歳以下はダメだとかせせこましいルールのせいでなかなか進みませんでした。もちろんこういうルールがあったとして、どこの小児科医が脳死になった子どもの親御さんに臓器提供という選択肢を示せたでしょうか。多分当時の子供をとりまく医療の中で言ってしまったらその小児科医は首が飛んだと思います。

子どもの移植が進んだのは、臓器移植法が改正されてからの事です。この時、私は中学生か小学高学年でした。確か、高校受験の小論文で「移植が狙われるぞ」的な話をしていた気もします。

この頃日本ではインターネットが若者にも普及したり、様々なことが変わっていました。死に対する人々の意識も変わっていき、終活という言葉が盛んに言われるようになり、街中ではエンディングノートが売り出されました。まだまだ子どもながらに「死んだ後のことを話してもよくなったのだ」ということは感じていました。

このことが結果的に移植医療の追い風になったのでしょう。その後日本でも脳死移植のドナーの数は増えていました。私が医学部を受験するときには月で20件くらいの移植が行われていました。私は当時、移植コーディネーターという仕事を知り、移植医療をやる医師になりたいと思っていたところでした。これまでに話した歴史の中で移植医療に最大の追い風が吹いていることを感じていました。「日本の臓器移植はこれからだ」と医学部を受験する仲間で話し合っていたことを思い出します。


今はどうでしょうか。

件数は頭打ちです。

しかし、移植を必要とする人は増えているのが実情です。

まだ、まだなんです。


日本の臓器移植は世界で最もクリーンな移植だと言われています。臓器提供者にも金品は発生しません(厚労省からの感謝状はきますが)し、臓器売買も禁じられています。一方発展途上国では臓器移植に先立って、臓器売買が平気で行われていますし、アメリカでもお金を積めば移植待機リストの順番が繰り上げられます。

一方で日本はお金を積もうが何しようが、待機リストは純粋な医学的見地に基づいて順番が決められます。売買された臓器も出回っていません。その一方で古い考えがこびりつき、移植について話し合っていないため、提供意思の確認は取れていないことが多いです。ですからいざという時に、家族も困惑することが少なくありません。


終活のついでに。

エンディングノートに一言。

YESかNOかを書けばいいのです。

その意思はいつでも変えられます。

そう考えると、なんだか気楽な気持ちになりませんか?


臓器移植についてもっと知りたい方はぜひ、日本臓器移植ネットワークのホームページをみてください。


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