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Pretenderの備忘録

マーラー6番 大阪フィル 大植指揮

2005-03-20 18:19:34 | 音楽 Classic
最晩年の朝比奈のサントリーでのベートーベンを聴いたことがある。ゆったりとした指揮と演奏で、これが「円熟」というものなのかと思いながらもオケのレベルはグローバルはもとより在京の楽団と比べてもと思ったものだ。
今日の演奏も正直、それほど期待してなかったし、花粉症も酷かったしで。
一言で言えば凄いと思う。これだけの水準に2年かそこらでよくオケのレベルを上げたと思う。指揮は非常に正確で、齋藤先生に習ったままを敢えていじらずに基本形で大きくわかりやすく振っている感じだ。オケがそれにしっかり付いていっている。抜群にうまいというわけではないのだけど、弦にしても管にしても安心して聴いてられる。きっちりしたマーラーだった。第一楽章の翳りのあるスピード感、第三楽章の美しさ、第四楽章のフィナーレと引き込まれた演奏だった。
大阪フィルとは設立の経緯を見ても朝比奈隆の楽団だった。朝比奈の名前で持っていた。そこに来て2年かそこらで、レベルをここまで上げた手腕は凄いと思う。またアンコールの拍手に応える様子を見ると楽団員としっかりコミュニケーションをはかって、楽団を掌握しているのがわかる。この人が、もっとレベルが高いオケを振った場合にどうなるのかの一つの答えが、今年のバイロイトでのアジア人初の「トリスタンとイゾルデ」だろう。広島出身ということもプラスだろうし、非常に小柄というのもいいのかもしれない。新たなヒーローが生まれる予感がする。
小澤先生が今年70になる。小澤ブランドで売っていたサイトウキネンも岐路に立たされる日が近づいているのは事実だ。この楽団マネジメント能力とスター性、後継者レースに間違いなく名を連ねるのではないか。

コメント
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