Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

元気づくり支援金

2007-05-18 08:20:33 | つぶやき
 田中知事時代に始まったコモンズ支援金を、名を変えて継続している元気づくり支援金というものがある。このごろその一次分の選定が行なわれて、地域の新聞などに選定された事業が紹介されている。選定とはいっても内定であって、事業内容の確認とヒアリング、そしてさらに選定委員会の審査を受けて決定となるという。全県での予算総枠は10億円だという。いったいどんな主旨なのかというと、「豊かさが実感でき、活力あふれる輝く長野県づくりを進めるため、市町村や公共的団体が住民とともに、自ら知恵と工夫により自主的、主体的に取り組む地域の元気を生み出すモデル的で発展性のある事業に対して、支援金を交付する」という。誰に対して交付されるかというと、①市町村、広域連合、一部事務組合と、②公共団体等(県内に事務所を有し、公共的活動または地域の活性化に資する活動を営む団体)になる。②に関しては「公共団体等」とちょっと曖昧だから、内容しだいではどんな団体でも良くなってしまいそう。さらに曖昧になるのはその対象事業だ。①地域協働の推進に関する事業、②保健、医療、福祉の充実に関する事業、③教育、文化の振興に関する事業、④安全・安心な地域づくりに関する事業、⑤環境保全、景観形成に関する事業、⑥産業振興、雇用拡大に関する事業(特色ある観光地づくり、農業の振興と農山村づくり、森林づくりと林業の振興、商業の振興、その他地域の特色、個性を活かした産業振興、雇用拡大に資する事業)、⑦その他地域の元気を生み出す地域づくりに資する事業、以上⑦項目が該当する。何でもありという感じでそんな内容だから交付される金額もさまざまだ。上限が定められていない。

 上伊那地方事務所管内の一覧から、その事業の雰囲気を捉えてみると、「そんなものもあるのか」、あるいは事業名だけでは内容のよく解らないものも多い。前者のものとしては、「保育園保護者用メール配信事業」「ふるさとの昔話第二集編集出版事業」「防犯灯整備事業」など。そして後者のものとしては、「飯島町「早ね・早起き・朝ご飯・テレビを見ないで外遊び」町民運動」「「伊那谷ジグザグ隊」活動」などである。後者の何だかわからないものはともかく、前者の内容を見ていると、県費でわざわざ補助しなくてはならないのか、というようなものもある。交付対象事業例にも「花いっぱい運動」なるものがあるが、そんな小規模なものを大勢で審査して手間をかけて交付金を出す必要性があるのか、と思うわけだ。本来ならもっと身近な市町村などにそんな事業に対する補助があってしかるべきなのだろうが、これでは本来の県が担うべき仕事が解らなくなってしまう。住民に身近な県政なんていうから、確かにそんな身近な交付金を渡せば住民は喜ぶだろうが、10万とか数10万の交付金の事業を、それもどこでもやっていそうな地域の活動に対して、交付金を出すための手間をかけるのはいささか無駄なエネルギーの消費に見えるが違うだろうか。市町村もなりふりかまわず、自らが施せないから県にアプローチさせるのも見境なく見えるがどうだろう。どこか筋が違い、皆が金の成る木に群がる。

 とはいえ、「こんなのもありか」と思うのは、飯島郷土研究会が申請した「ふるさとの昔話第二集編集出版事業」である。事業なんて冠しているが、ようは郷土の本を作るというものだ。もしかして、地域研究の団体が地域の報告書みたいなものを発行するにも、こんな事業申請が可能なんだと知る。わたしの関わっている会でも、課題になっている出版の案件がいくつかある。そんな出版の手助けになるのなら、ひとつ申請してみて損はないのではないか、なんて思ったりするわけだ。とまあ、こんな具合になんでもありなのだが、やはりちょっと支援する場面が違うんじゃないかと思うが、申請したもの勝ちみたいな雰囲気もあって、平等性に欠けるようにも感じるわけだ。
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