Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

みどりの日の草刈

2007-05-05 09:55:08 | 農村環境


 田植えの前、まだ荒じろをかく前の田んぼの土手の草をきれいに刈る。畔の上とその両脇を刈るのだが、内側の草を刈っていると妻が「刈り方がよくない」と注文をつける。田起しをしてあるため土が邪魔して刈りにくいのだ。そこそこ刈れていればいいかと思ってすばやく刈ると、もっと丁寧に時間をかけろという。なにしろモグラが多くて、畔のあちこちに穴が開いている。それを見つけやすくするためにも、きれいに刈る必要があるという。

 ふだん草刈機は自前のものを持参して草刈りに行くのだが、この日は持参するのを忘れた。そこでふだん妻が愛用しているナイロン製の紐状の草刈機を使う。実は鉄製の鋸刃と紐状のものには大きな違いがある。もちろん形状が違うのは当たり前なのだが、凹凸のある場所の草刈りをするのには、紐状の方が大変やりやすいのだ。だから山間地なんかの地形が一定しないような場所には紐状のものが向いている。ただし、低木や太い茎に育ってしまったような草は、紐状のものでは無理だ。そんな草刈りになると、わたしの手が必要とされる。だからとくにそういう図太いものを刈るとき以外も、通常は鋸刃のものを使っていた。しかし、久しぶりに紐状のもので草を刈ってみて、大変作業が早いことに気がつく。考えてみれば、凸凹していても鉄製のものと違ってその地形の変化に対応して刈ってくれる。鉄製のものなら土の中に刃が入ってしまって止まってしまう、あるいは石に当たって火花を出すなんていうことになるが、そういうことはない。だからとくに石積、あるいはコンクリート構造物、フトン篭なんていう邪魔なものがある場所には紐状が一番なのだ。ただし、この紐状のものは、紐の回転で殴り倒していくわけだから、モノが飛ぶ。妻も隣家の近くで草刈をしていて、サッシの窓ガラスを何枚も弁償したことがある。だから近くに人がいたり、大事なものがある場所では使えない。そのくらいだから、刈っている本人にも土やら草が飛んでくる。それでも鋸刃にくらべれば安全だから、妻の実家のまわりでは、ほとんどの人たちがこの手の草刈機を愛用している。

 さて、安全にこしたことはないのだが、この機械に大きな欠点がある。ナイロン製だから、紐が磨耗してなくなると、巻いてある紐を少しずつ出していく。ようは、環境上から考えれば、世の中にビニールを撒き散らしているわけだ。妻とも「こんなものがどんどん消えていっているのだから大変だよね」とよく話すが、そういう意味では環境にやさしくはない。こんな時代なのだから、紐とはいっても土に帰るような材質で考えてもらいたい。

 文句を言われながら、畔の内側は鋸刃の方が妻の意図に合致するとわかり、鋸刃の機械を使う。そして写真の土手である。こんな土手ばかり持っているから絶えず妻は愚痴をこぼす。もちろんこんな土手はわたしの仕事となるが、あまりに急で年に2、3回ほどしか刈らない。どう見ても45゜より急だ。そして、高さが5メートルほどある。こういう土手には、回転をレバーで一定にさせているような草刈機は合わない。なぜならば、もしもの時に回転が落ちないからだ。もしも、のときにすぐに回転が落ちるような握って回転を上げるような草刈機がよい。ということで、二種類の機械を使いまわして、草刈は終わった。



 草を刈ったからといって、それで終わりではない。こんな土手の草を刈ると、下にある側溝に草が落ち込み大変なことになる。だから側溝をさらってきれいに片付けなくてはならない。一口に草刈と言ってもその環境は大きく違う。草を片付けていると、妻が何かを見つけたようで反応している。側溝の中に2匹のカニを見つけたようだ。コンクリートの側溝でもカニは生息する。ようは側溝の中に土が溜まったり、あるいは目地から草が生えてきたりして生息可能になる。コンクリートだと生き物に優しくないなんていうことを言うが、なにもかもダメなわけではなく、その管理によって生き物は住む場所選ぶ。
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