Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

植え直し

2007-05-26 20:06:12 | つぶやき
 昨日妻のおじさんが田植え機を持参してきて妻の実家の田植をした。それほどたくさんの面積ではないが、田んぼが小さいから機械を操るのも大変だろう。そんなこともあって、田植えは済んでも、その植え直しが大変なのだ。転作するのが当たり前の時代だから、田植え機で植えられないような場所(田んぼの隅っこや角っこ)は無理をして植えることもないし、もっといえば、田んぼの1/3くらいを植えずに転作面積にカウントする、なんていう方法もある。作業時間を短縮するとなれば、なるべく機械だけで作業が終了すれば、確かに簡単である。

 「田植え 植え直し」で検索すると、田植えの植え直しの記事が拾える。「田植えに行くと人にいうと「今は機械だから楽でしょ」とよく言われるんですが、機械で植えただけでは終わらないんですね。もちろん全部手植えするよりはるかに楽だとは思いますが。」なんていう言葉を聞くと、まさにその通りなんだけれど、世のなか植え直しなんかしない農家も多いと聞く。3反区画とか5反区画なんていう大きい田んぼはもちろんだが、1反区画ぐらいでも整形な田んぼなら、植え直しが必要な場所は限られてくる。確かに20センチくらいの間隔で植えられていく株が、時にはひとつ、いや二つや三つくらい飛ばしてしまうこともあるが、そんなケースは多くはない。ところが、わが家の田んぼのように曲がりくねっていたり、整形でない田んぼでは、足跡がへんなところについてしまって、その足跡に植えてしまう、なんていうこともけっこう多い。足跡は凹んでいるから、植えても土に植わらず、浮いてしまうわけだ。

 もちろんそんな田んぼは山間地の田んぼであるから、いかに山間地の田んぼは無駄が多いかということになってしまう。ところが、山間地の農家ではそんな植え直しが当たり前のように行なわれる。平地の農家の人たちには馬鹿らしく映るかもしれないが、ただでさえ小さいのに畦畔が大きいから、実際に植えられる場所は限られる。とすれば、できる限り手で植えなおしたくなるわけだ。

 生家の田んぼは、妻の実家の田んぼとは異なり、整形なものしかない。それでも整形にした当時は、昔からやっていたように、田植え機で植えたあとに、畦畔との間の一条くらい植えられるスペースに、手で植えていったものだ。そんな場所のことを「クロ」と言ったのだが、母に「クロを植えてくれ」なんて頼まれて植えたものだが、たった一条ではあるが100メートルもあるから嫌な作業だった。今ではそんなクロを植える家は、山間地でもない。稲つくりの思想もずいぶんと変わったものだ。

 さて、苗も良くなかったのか、田植え後の様子がいまいちだ。そこで折れ曲がった苗や、倒れた苗を拾い上げては、再度植えていく。妻に「これじゃあ、最初から手で植えたほうが良くない」と言ったら「そうかも」という。田植えは1日で終わったが、植えなおしは1日で終わらなかった。
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