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地方制度調査会の道州制について

2006-01-26 08:13:23 | ひとから学ぶ
 政府の地方制度調査会の専門小委員会が、道州制答申の素案を協議して、3案を答申に盛り込むという。9、11、13という分割案であるが、どれも従来の地方の分割区域を基本にしており、自然な分割区域なのかもしれないが、道州制導入後に、従来の都道府県の区域を行政区画として残すことも盛り込んでいるという。だから分県して分割するという案が出てこないのだろうが、この県の行政区画を残すことに異論もあって協議は続くという。
 この分割案、分割数が違う三つのものであるが、9と11の違いは、9では中国四国が一つなのに対して11ではそれを単純に分割、9では福井が近畿、石川・富山が中部、新潟が北関東信越というように北陸区域が分割されているものに対して、11では三つに分割されたそれらが「北陸」として一区域とされている。ここで二つ増えて11ということで、単純なる数字合わせであることがわかる。
 そして、11と13の違いは、九州を南北に二分割、東北を南北に二分割して二つ増えて13なのである。どう考えても、小学生でもできそうな分割案である。合併促進により、県の意味合いが薄まれば、必然的に広域圏を目指すのは道理である。行政区域は、長年広域化を繰り返してきたのだから。この数合わせの分割は、とくに中央にあって同一区域ながら分割されがちな「北陸」がどう扱われるかが課題であって、あとは単純割なのである。日本の中央にあって、大規模な区域を持つ長野県が、どの案でも北関東と同一の区域に含まれている。まさしく長野市中心に考えられた分割案にほかならない。北関東に接しているのは、長野県の外周のせいぜいあって25パーセント弱である。もっとも大きく隣接する東海区域は、50パーセント程度ある。にもかかわらず、どの案も関東なのである。
 こうした案は、道州制により分県されると騒いでいる某知事にはうってつけなのだろうが、果たして小学生でもできる分割案が、地域に住む人たちのためになっているかどうかは、大いに疑問がある。北九州の中心域である福岡に隣接する山口が、どういう生活圏なのか、仙台より遥かに南にあって関東に隣接する福島がどういう生活圏なのか、隣接区域に暮らす人々にとっては、身近な市町村合併にも浮かぶ隣接地域問題と同様に、複雑な思いはあるはずだ。北関東域だといわれて、長野県南端がどんなに外れた雰囲気を持つか、そんなことは思いもよらずに考えられているに違いない。県の行政区画を残すというのなら、致し方なく納得する部分もあるだろうが、それがないとなったら、従来の県域など意識しない分割案があって当然ではないだろうか。かねてから中部圏域の県で道州制案を模索していることも報道されていて、この地域の一員にもなっている長野県であるが、長野市中心型県であるために、そんな案には反対が多いのは予想される。しかし、何度も述べているように、この県は南北に長い。本当に道州制が導入されるというのなら、そこまで議論されるべきである。
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