Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

自動車学校通い

2006-01-28 00:17:43 | ひとから学ぶ
 同僚が大型自動車の免許を取得するために自動車学校へ通うと誘ってくれた。以前より大型を取りに行くときは誘ってくれと話しておいたのである。久しぶりの自動車学校通いが始まり、運転のイロハとでもいったらよいのだろうか、長年の癖をさまざまに指摘され、運転の上手下手ってなんだろうと、つくづく考えさせられた1ヶ月余だった。すでに免許には「大型」と記載されている。そうはいっても夜間割増など含めて19万円ほど使っているのだから、どんなに下手でもなんとかもらえるとは思っていた。ちょっと取得までの経過に触れておこう。
 第一段階は8時間の講習である。大型とはいっても、ロングボディーの4トンあまりの大きさだから、ちまたに走っているような車ではない。一時間目に基本的な操作方法を教えられ、教習所内をとりあえず走ってみるが、細かいことを何も言われずにとりあえず動かすから、縁石に乗り上げたり、右左折の際の車の感覚を盛んに注意される。もともと2トン車などのトラックというものを経験していないから、いろいろ言われても仕方のないことである。いろいろ教わっていたらそれだけで時間がかかってしまうので、動かしながら叱られて覚えていくしかない。大型に乗って最も違和感を覚えるのは、教官も指摘するが、ブレーキである。乗用車とちがって重い。そして、止めなくてはと思って踏み込むと急激に〝ガクン〟という感じに止まる。最初のうちは、効いているのかいないのか、踏んでもよくわからなかった。そうしながら、坂道発進、踏切、S字、クランクと教わり、縦列駐車と方向転換を一応やった程度に覚える。
 この間、カーブ手前ではしっかりブレーキを使って減速する。S字、クランクなどではアクセルを一定に踏んで、クラッチでスピード調整をする、などがわたしの大きな課題であった。こうした課題の原点に、普段乗用車を運転する際の癖がある。普段はマニュアル車に乗っていて、車の速度調整をブレーキではなく、シフトのアップダウンで行なっている。なぜそうした運転をするかといえば、ブレーキが嫌いなのである。わたしは胃が弱い。したがって車酔いというやつにかかりやすい。子どものころは、必ず酔ったものである。とくに酔うのは、ブレーキをキューッと踏むときのあの感覚である。そうした幼少のころの悪いイメージがいまだにある。今でも、バスなどに乗れば酔うことがある。もちろん、遠山谷に向かう赤石林道のようなカーブの連続の道で助手席にすわると、100%酔う。自分で運転していても、軽い酔いを覚える。
 第一段階が終わると仮免許を取得するための修了検定となる。この検定のために、第一段階の終わりから2時間は、修了検定用のコースを走り、一応検定コースを覚える。第一段階も終わりになるころ、ようやく人並みの運転ができるようになったが、相変わらずの癖でブレーキの踏みが弱く、シフトに手が行ってしまう。修了検定には、縦列駐車と方向転換は入らない。基本的に前進のみであるから、注意が必要なのは、S字やクランク、そして坂道発進だろうか。踏切を渡ったすぐを左折することもあり、踏切に入るタイミングは、本線を通行する車がいない時を見計らって発進する。本線に車がいて、曲がりきれずに停止すると、ボディーが長いため、車体が踏切に残ってしまう。こうなると不合格である。
 さて、そうはいっても運転し始めてまだ8時間程度で検定ということで、緊張する。そこが落とし穴なのである。S字が最後にあったため、緊張で半クラッチ状態を続けているのが苦痛で、足が震えるほどであった。検定後、始動の際にニュートラルに入れること、降車する際には半ドア状態で後ろを眼で確認すること、と2点を指摘された。一応合格であった。
 第二段階は14時間、いよいよ路上である。へたくそなやつがいきなり路上に出るのだから危ない話である。とくに、仕事の終わったあとに乗るということで、帰宅の車で道路には車が多い。加えて、視力がよくないから、夜間は良く見えない。路上1時間目は、それまでのどの時間より緊張の連続であった。路上へ出て2時間くらいは、教官の方はほとんど指摘をしなかった。だからこんなものでよいのか、と思っていると、厳しい教官が登場して、スピードの出しすぎ、カーブで減速する、などたくさん指摘を受ける。そして、運転の三原則は何か、この道路の制限速度は何キロかなど、いろいろ質問する教官が登場し、運転するのに精一杯なのに、その対応で頭の中がこんがらがっていると、運転もばらばらになってきて、「この段階でこんなに下手な人は初めて」とまで言われる。そんなの無理だろ、と思いながらもただただイエスマンを装う。第二段階14時間中、12時間は路上講習である。交通の流れにあわせた走行、適切な位置取り、進路変更、信号や標識表示に従う、交差点の右左折、そして歩行者への対応、危険予測と、それなりの路線が選定されている。ところが、今冬の雪である。12月というのにたくさん雪が降る。何度も雪道へのトライがあった。
 第二段階の最終2時間は、教習所内での卒業検定に向けた講習となる。卒業検定用は路上ではなく教習所内で行なわれる。ふたつのコースが設定されていて、ひとつは縦列駐車、もうひとつは方向転換である。どちらかというと、わたしは縦列駐車の方が苦手である。単純に講習時間内にあまり練習の機会がなかったことと、厳しい教官があたって、いろいろぐちゃぐちゃ言われて、それが影響している。
 さて、全22時間が修了すると、卒業検定である。偶然にも同僚と同じ日に卒業検定を迎えた。
 この日も昨夜から雪が降って、教習所内は真っ白である。検定官が坂道が登れるかさかんにトライしているが、むりらしい。チェーンを装着して検定ということもあるというが、結局塩カルを撒いて、雪を融かして検定となった。修了検定の際よりも落ち着いて受けることができた。それだけ運転に慣れてきたということだろうか。

 さて、同僚ともども晴れて合格だった。教習開始から9ヵ月以内に全教習を修了しなくてはならないが、慣れない人は、長い期間をおいてしまうと、運転のイメージを忘れてしまう。したがって、受けはじめたら、なるべく間を空けずに教習をしたいところだ。もちろん、修了検定、卒業検定ともに、前日には教習して慣れておきたい。
 なんといっても教官によって言うことが違うこともある。それはそれで、教官ごと異なった視点で見ていてくれているわけで、さまざまな意見を受け入れながら、安全運転を考え直すよい機会である。長年自分流にやっていたことを再確認するには、よい経験であったと思う。首になったときに役に立つだろうと思って取得したが、このままペーパードライバーで終わるかもしれない。よい経験ではあるが、経験だけで受けるには、高い教習料である。
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