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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

鍬ヶ崎「防潮堤」(7)閉伊川水門の見直し

2013年11月12日 | どうなる鍬ヶ崎

閉伊川水門の完成2年遅れに 県見通し、17年度末

(2013/10/04 web 岩手日報)
 

 県は3日、津波防災施設として整備する宮古市の閉伊川水門(全長154・4メートル、高さ10・4メートル)の完成時期が従来から2年延び、2017年度末になる見通しを示した。来年1月ごろに左岸(鍬ケ崎・光岸地側)の仮締め切りとしゅんせつ工事に入り、水門本体は年度内発注を目指す。

 県によると、閉伊川水門は従来15年度末の完成を目指していたが、地質調査の結果、右岸(藤原側)の地盤が軟弱で、基礎工事の耐震設計・施工に想定以上の日数を要することが分かった。

 取り付け道路の用地買収や鍬ケ崎地区土地区画整理事業との工程調整もあり、工期は大幅に延びた。総事業費は労務単価や生コン価格の高騰、事業の長期化により約40億円増え、約190億円程度となる見込みだ。

 

  水門 見直し、堤防かさ上げ案 浮上


閉伊川水門問題が再燃している。閉伊川水門建設が、事前調査の欠陥や計画の杜撰さのためにここに来て頓挫している。上記新聞記事を見ただけでも「変更」や「仮り」や「未~」や「目指す」等の言葉だけで、何一つ進んでいないことが分かる。ただ政治的発言でつないでいるだけだ。


狂いを「想定外」とは言わせない。調査間違い、工期遅れや膨張経費…


 9月宮古市議会では、2~3の議員が公然と水門建設の見直し議論を始めているという。どの市会議員でもこのような状態では、それぞれの選挙民に対する言い訳が出来ないはずである。お茶を濁してやり過ごすことは許されない。

藤原地区の地質調査の間違いの変更をしたり、鍬ヶ崎光岸地の区画整理事業の進捗等の理由で工期が大幅に遅れるばかりか、工事予算が150億円から190億円までふくれあがり工期も2年のびる見通しという。しっかりした準備なしに岩手県県土整備部と山本宮古市長が地域住民の意向を無視して急いで進めた無茶振りの水門建設のつけがここにきて表面化している。工事予算も堤防から水門に変えた理由ではなかったのか!?

 予算といい、2年の延長といい、もはや「はい、そうですか」というわけにはいかない。計画の杜撰さ、地質調査のやり直し、予算案の30%もの見誤り。計画はきっぱり白紙に戻さなければならない。


川への理解が不十分だった。白紙からの議論を始めよう


 かえってよかったのだ。ここに来てやっと冷静になり、より広範囲に津波防災についての閉伊川、津軽石川の役割を協議する機会を得られたからである。県土整備部のもともとの案も一つのたたき台として残しておくが…

 そもそも、現在提示されている閉伊川水門の計画は宮古市民にとってはとつぜん河口に描かれたこ汚い橋桁にしか見えなかった。(こきたないはしげた。観光都市宮古といっても、海を知らない盛岡の県庁官僚の宮古イメージとはこの程度のものなのだ)。特に以下の問題が宮古市民一人一人の間では依然として説明不足、情報不足で具体的な理解に至っていない。 閉伊川水門の目的も役割も影響もちんぷんかんぷんである。低気圧の度に閉伊川で救われている漁船等船舶従事者の間でさえ理解されているとは思えないのだ。いや、直接説明を受けた市議会議員や漁協幹部でさえ理解していないのだ。新聞記者等のジャーナリストの知性にしてもこの事案は半知半解である。

 1、設計図そのもの;部位、材質、基礎、機能、開閉にかかる時間、メンテナンス

2、津波防災効果;洪水、高潮、津波

3、防災以外の日常的メリット;

4、防災以外の日常的デメリット;景観、環境、生態系

5、開閉の仕方;電動、手動、遠隔操作、信頼性

6、船舶通行の問題;有事での通行

7、船舶停泊の問題;

8、船舶通行門:機能

 

岩手県県土整備部の表面的説明の理解( understanding )というより、以上の各項の説明に対する信頼( trust )という意味で心を許していないのである。本当は誰も納得(trust)していないのだ。よって新聞記者は木鐸(ぼくたく)たりえず、漁協組合長は漁師に責任を持てず、市議会は市民の負託に応えることができないでいる。ここに来て計画の大きな頓挫 もはや市民の再合意なしに前に進めるわけにはいかないであろう。

宮古市当局のこの問題への「他人(ひと)ごと」姿勢は一番最初に改めてもらわなければ困る。市幹部はこれまでの係り方を反省して2年3年とはいわず、主体的立場で10年かかってもしっかりした市民合意のもとに計画を完成させるべきものである。



私 見(閉伊川効果)


 鍬ヶ崎防潮堤、閉伊川水門、藤原、磯鶏防潮堤が計画通り出来たなら、せき止められた津波は湾奥の津軽石の方面に殺到する。したがって、水門はやめて閉伊川堤防(ていぼう)のかさ上げを採用するべきである。


閉伊川の「堤防のかさ上げ」への変更によって ──


(1)宮古湾の津波の水量を吸収する; 水門によってはじかれて湾奥に向かおうとしていた津波の水量が広大な閉伊川の上流域に遡上する。湾奥に向かう水量が減る


(2)水門に向かってきた直撃エネルギーを0(ゼロ)エネルギーに変える; もともと海に注ぐ河川や河口は津波エネルギーの集中する特異場所であり、水門に対しては津波エネルギーの力のベクトルは直角にはたらく。水門は津波エネルギーの最大の負荷を受ける。閉伊川水門がそれに耐え得るとは思えない。直撃エネルギーの浸入・進入ベクトル角度90度を0度に変えてやる(=水門廃止する)必要がある。このことで最小限の負荷に変える事になる。津軽石水門も同じ…


角度だけでなく集中して重層的に水門にかかる負荷をなくし、いわば順延的に時間をかけて穏やかに吸収する事にもなる。


(3)津波に対する差し水効果を発揮する; 盛り上がって押し寄せる凶暴な津波襲撃エネルギーの一部を殺(そ)ぐ(=閉伊川への誘導)ことで、津波全体の緊張したポテンシャルエネルギーの静穏化を達成する。(1)の水量の小さい効果と違って、1%の力を抜くことで100%の力を99%ではなく、60%~70%に変えることができる、と言ってもよい


(4)工事の効果や予算の計算が立つ; 津波直撃の防潮堤や水門はその大きさ、高さ、強度、デザイン等、津波による不確定要素が多過ぎて、効用(効果を発揮する時期等)についても、効果自体についても計算が成り立たない。堤防の場合は高さだけが要素で基本的にそこにかかる衝撃的力は0(ゼロ)であるから、効果も費用も計算が成り立つ。水門は分からないことをやっているから資材も人員も入札もそろわず土木建設業者の言いなり、サプライヤーの言いなりとなる。堤防のかさ上げの方がリーズナブルである。計算が成り立ち、費用も安くし上がるはずである


(5)上段落の1~ 8、のような問題は起こらない;  閉伊川の自然は基本的にこれまで安定してきた。直近では今次津波で精一杯の働きをして宮古市民を助けたのです。これからも閉伊川を安定させていくのが宮古市民の義務であります

(V字形の宮古湾の常識に従えば今次津波でも湾奥の方が津波は高くなるはずであった。目立ってそうならなかったのは閉伊川の無言の働きによるところが大きかったと私はみている)

 

閉伊川効果とそのほかの湾口諸策で、湾奥側への過分な負担をやめるようにすることが大事である。ゼロベースから議論するべきことである。

 

 

(8)につづく

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コメント (2)
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