日米の航空会社が自由に路線などを設定できる「オープンスカイ協定」が締結された。以前は日米の各3社のみに自由に路線などを設定できる権利が特権的に与えられていた。それを、日米の全ての航空会社に適用しよう、と言う新しい協定である。「不平等」と言われた従前の協定は戦後間もない1952年に戦勝国と敗戦国の力関係を前提に結ばれたものであった。今回の新しい協定の締結は「戦後」の終焉であるとも言える。「航空自由化」とも言われるオープンスカイ協定は航空会社間で路線・便数を効率的に割り当て、営業や空港窓口業務を集約して収入源とコスト削減を図る事が出来るものである。その意味で、航空業界は新しい競争のステージに入ったと言えよう。
空港には多くのゲートがあって、各ゲートに飛行機が並んでいる。パイロットのA氏、スタッフからブリーフィングを受けると自分の操縦する飛行機のゲートに向かった。コックピットに入ると、マニュアルに従って準備に入る。間もなく乗客の搭乗が始まる。暫くして、パイロットが慌てて飛行機から降りてきた。何と、そのパイロットの乗る予定の飛行機は隣のゲートだったのだ。ニューヨークに行くつもりで乗り込んだ飛行機の乗客は香港行きだったのだ。離陸後だったら笑うに笑えない話である。
飛行機も「ヒッチハイク」出来ると言うのを御存知だろうか。但し、パイロットの資格がいる、と言う条件付きの話だが。休暇で海外旅行を楽しんでいるパイロットが居るとする。航空会社のカウンターで自分の乗りたい飛行機のパイロットが来るのを待って、頼むのだ。大概のパイロットはコックピットに空いた席があれば断らない。パイロットの方も、万が一何か起こった時に手助けして貰えると期待があるのと自分も頼む側に回る事もありお互い様なのだ。そうして、飛行機を「ヒッチハイク」して旅行している人も多い。
日米安保条約に基づき米軍人の取り扱いを定めたものが日米地位協定である。言わば、米軍人に対して「治外法権」的取り扱いを定めた協定である。米軍人とその家族・軍属の移動は時として横田基地等から米国に直接向かう飛行機が利用される。我々の目に触れる事は無いが、そんな飛行機が定期的に飛んでいるのだ。その他、日本国内の空港から発着する民間航空の飛行機も利用する。我々が海外旅行をする時に必須の「旅券」を、米軍人は必要としない。日本の空港での出入国に必要なものは名刺大の「身分証明書」一枚で済むのだ。
航空会社に預けた荷物が破損したり紛失したりする事は時として起こる。憧れのハワイ旅行に出たカップルの日本人。ハワイに着いたら、預けたはずの荷物が出てこない。狐につままれた様な気持ちで、航空会社の社員にその旨を伝え探して貰う。取敢えず、機内に持ち込んだ手荷物だけでホテルへ。翌日には見つかると信じて待ったが、翌日も不明のまま。スーツケースに入れた物が一切無い状態はつらい。寝間着や洗面道具はもとより、着替え・水着など等必要なものばかり。そうこうしている内に5日間の滞在予定もあっと言う間に過ぎてしまった。ハワイを出ると言う最終日、怒り心頭に達して航空会社の市内の事務所に怒鳴り込んだ。が、言葉が通じない。とうとう、大声を出してどなった。相手の社員にしてみれば、いきなり言葉の通じない日本人が入ってきて、どなり声を上げる。程なくして、サイレンを鳴らした車が到着。哀れな日本人カップルは警察に連行され事情を聴取される羽目となってしまった。不幸な事だが、アメリカでは「どなり声」は暴力を振るった事と同じ扱いを受けるのだ。泣きっ面に蜂、とはこういう事だろう。因みに、荷物が紛失してしまった場合、補償額は1㌔あたり20ドルと決まっている。今の為替レートでは約1800円。20㌔が制限範囲であれば最高400ドル(約36,000円)、32㌔の場合でも640ドルである。別の言い方をすれば、荷物の中に入っている物の価値には一切無関係に、「目方」で支払われると言う事になる。だから、荷物を預ける時は無くなっても良い物、容易にお金で買える物に限った方が無難だと言える。