この季節、「潮干狩り」のニュースが風物詩の様に新聞やテレビで取り上げられる。わが町、横浜で「潮干狩り」が出来る場所があるのを知ったのは昨年。びっくりした。市民でも、知らない人が多いに違いない。ならば、「潮干狩り」をしてから「山登り」をと、「奇想天外」なプランが頭に浮かんだ。でも、「潮干狩り」は「潮」加減が難しい。「潮」が程よく、温み、「大潮」でなければダメ。半年もの前に、それを探るのが「難題」だった。散々調べて、当たりをつける。山も、近くの「稲荷山」に決める。「自画自賛」しても、問題は来る人がいるかどうか?<o:p></o:p>
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そして、3月中旬、その日を迎えた。「要綱」には「潮干狩りの道具はこちらで準備します」と書いてしまったので、前日購入した「道具」がずっしりと重い。「ずっしりと重くなる」程の参加者を得て、当日は快晴無風。「現場」に向かう乗り物の中から、この時期珍しい「真白き富士の峰」がくっきり。乗り物は浜の前まで行くのだが、時間調整の為、ずっと前から降りて歩く。江戸の昔より、風光明媚だったこの辺りは、今でも風光明媚。浜が遠くに見え、歩を進めるに従い、近付いてくる。そして、ぼんやりと「人の群れ」らしきものが見え始める。そして、浜辺の木陰到着。磯の香溢れる目の前の浜には人人人。すぐズボンをたくし上げると熊手と収穫を入れる大き目の網の袋を持って渚へ。それにしても、こんな事をするのは実に久し振り。慣れないせいか、裸足で濡れた砂浜を歩く感覚に少し違和感が。それでも、すぐに熊手を干上がった砂地に入れる。それにしても、熊手が大きい、アサリ用と言うより、ハマグリに向いている。あれっ、取れない!と思い始めるのに時間は掛からなかった。掘っても、掘っても、貝殻ばかり、中味が無い。余りの事に、一人、吹出してしまった。さっきから「2キロ以上は採らないように」とのアナウンスが繰り返し流れている。聞くほどに、気持ちが落ち込む。結局、7粒程の小さなアサリを大き目の袋に入れると、早々に木陰に戻る。それにしても、慣れない格好で少々腰も痛い。私の事を気遣ってか「見ているだけで楽しいわね」とか「久し振りに裸足になって童心に帰ったわ」等と聞こえる。トホホ。そして、相変わらず流れるアナウンスを聞きながらお昼に。空気はすがすがしく、広がる浜辺と人々の夢中な姿が心和ませる。そして、これも間を持たせる為、人の「収穫」を気にしながら、広く長い浜を歩き、いよいよ山へ向かう。目指す「山」は古刹「金沢山(きんたくさん)称名寺」の裏山で史跡に指定されている貴重な山域。浜から15分程で登山口に。暫くするとさっきまでの「潮干狩り」がウソの様な風景が目の前に広がる。春の日差しを浴びた山の斜面にはスミレの大群落も。登山口から40分程で目指す稲荷山に到着。休む間も無く「縦走」を続け金沢山(73m)のピークを通り、都合1時間半程で下山口に着いた。かくして、「奇想天外」な一日は重くなるはずだったザックを背にお開きとなった。<o:p></o:p>