源太郎のブログ

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高尾山

2007年10月08日 | インポート

 人は、身の回りに溢れている物に「価値」を感じない。今は多少変わったかもしれないが、一昔前の水と空気などもそうだった。もし、ダイアモンドが道端に数限りなく転がっていたら、誰が有難がるのだろうか。

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 久し振りに高尾山に行って、そう感じた。しっとりとした感じが実に味わい深い山だ。「歴史」と「品格」は充分だから、もし標高が高ければ「日本百名山」の一つに選ばれても不思議ではなかっただろう。高尾山の「歴史」と言う意味では「薬王院」抜きには語れない。「薬王院」は真言宗智山派の大本山で、正式には「高尾山薬王院有喜寺」と言う。草創は天平16年(744年)、行基菩薩によって開山されたと言うから相当に古い。関東の真言宗智山派の大本山としては川崎大師や成田山新勝寺が並ぶ。そんな歴史の有る山だから古くからケーブルカーが作られたのもうなずける。今から約80年前の昭和2年に日本一の急勾配を誇るケーブルカーが始めて作られた。

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 東京の中心部から中央線に乗って来ると初めて出てくる山らしい山だから頂上に上ると、それ程は高くない標高にも関わらず「眺望」は抜群だ。私は夜、歩いた事が無いから判らないが、この山から見える夜景も相当な物に違いない。関八州の上野、下野、常陸、上総、下総、安房、相模、武蔵に加えて伊豆、駿河、甲斐、信濃、越後の5州、計十三州が見える、と言うのだからすごい。もっとも、それ程見えた頃は、ずっと昔の事で、昨今の事情から言えば全てが見えるのは希な事だろう。

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 この山の素晴しさは、その樹相や植生抜きにも語れない。長い歴史が有る寺院の領地だった事が幸いしたのだろう。杉の大木は有名だが、その他にもブナ、エノキ、ケヤキ、松、イチョウ等の大木も多く見られる。一般的に人が立ち入る山域以外には、昔寺院を建てる為だったのか巨大な切株も散見される。植物の種類も豊富で1300種とも言われ、スミレの種類だけでも40種を数えると言うからその豊富な事が知れる。その他、高尾山の固有種として65種類にも及ぶ植物が確認されていると言う。高尾山に生えている植物の種類はイギリス全土に生えている植物の種類より多いと言われている。世界中から物を掻き集めた「帝国」にも抜かりがあったと言う事なのかも知れない。高尾山を「世界自然遺産」にとの声もあるがあながち荒唐無稽の話ではない様な気がする。

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 高尾山の地下を貫く1300mの高尾山トンネルの工事が裏高尾で始まった、高尾山の希に見る豊かな生態系に影響が無い事を祈るばかりだ。

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                                      堀 源太郎<o:p></o:p>