源太郎のブログ

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日向山

2008年05月03日 | 山行記

 日向山、と言って、すぐどこにある山か判る人は少ないかも知れない。近くには、数多の有名な山々があるから、それも仕方が無い。些か単調で、何の変哲も無いこの山には、実はびっくりする「演出」が施されている。<o:p></o:p>

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 連休の谷間、特急が甲府盆地に入ると、それまで日差しが出ていた天気が、ガラッと変って、霞で覆われたようにうすぼんやりとした風景に変った。目指す長坂駅、特急は止まらない。手前の韮崎駅で降りて各駅に乗換える。待ち時間30分、乗車20分で長坂駅。頼んでおいたタクシーで登山口の矢立石へ向かう。舗装道路がでこぼこ道に変って間も無く、車が何台も林道脇に止まる登山口に着いた。<o:p></o:p>

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 登山口で、いつもの「儀式」を済ませて、昨日、登山靴を買ったばかり、と言うFさんを先頭に歩き始める。15分程で「10/1」と書かれた所を通過。新緑が美しい。暫くすると鮮やかな赤紫色をした「ミツバツツジ」が現れ、新緑の芽吹きの中、目を楽しませてくれる。風もなく、ひんやりとして気持ちがいい。薄曇の空は、この時期は、むしろありがたい。小一時間もたった頃、道端に石像が現れた。脇には「天保十三年」と刻まれている。江戸時代にもここを人が歩いていたのだ。丁度、12時頃、道の脇でお昼にする。<o:p></o:p>

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午後の歩きになって、少しずつ風景が変わり、一面クマザサに覆われたカラマツの林が続く。積もったカラマツの落ち葉が足に心地よいクッションに。そして、表示が「10/9」になった頃、「三角点」と記された分岐が。本来は、そこが「山の頂上」なのだろうが、この山の頂上は、もう少し先にある。そこから、緑の林の中を5分程進むと、突然景色が一変した! そこは、一面、純白の世界。「雁ヶ原」と呼ばれ、白砂と花崗岩の奇岩が広がる。薄雲の間から荘厳な、雪に光る甲斐駒も覗いていた。何と言う「演出」だろうか。頂上までの、些か単調な風景は、この奇観をドラマチックに見せる為の「演出」だったのだろうか。 我々は、嬉々として奇観の中を歩き回った。<o:p></o:p>

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 時が来て、我々は去りがたい気持ちで「白の世界」を後にした。下りでは、余韻を噛みしめるように、花の事など話しながら、ゆっくりと歩を進め、下山口に来ていたタクシーに乗り、元来た道を戻った。<o:p></o:p>

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 山麓には白州と呼ばれる場所があり、白砂に浄化された、本物の「水」が湧き出ている。それは「南アルプスの天然水」や「白州」と呼ばれるウイスキーにもなっている。 <o:p></o:p>