源太郎のブログ

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フォトエッセイ

2021年11月29日 | 写真

奥駈道は、吉野から熊野本宮大社までの山中約100キロ

の道だ。細々と、関東と関西を往復しながら、少しずつ歩を

進めている。まだ、未踏の道が長く残っているが、少しでも

歩を進めようと、順番に拘らず、歩いている。11月は、寒く

なったので標高の低い所を歩こうと、玉置神社から本宮大社

までの間をトライした。本当は、正攻法で行きたいのだが、背に

腹は代えられない。そんな訳で、途中を残しながら、ゴールイン

した形になってしまい、居心地が些か悪い。写真の右側の尾根が

最後の場面で、ここを下ると「熊野川」と言う事になり、対岸は

熊野本宮大社の旧社地「大斎原(おおゆのはら)」だ。本宮は明治

22年の大洪水の為社殿が流され、現在の場所(近くの高台)に

移転した。その為、旧社地の「大斎原」を、より重要視する人は多い。

特に、奥駈を歩く人には、そんな人が多いように感じる。古来、

大斎原を目前にした人は、熊野川に入り、歩いて渡っていた。その事に

よって、身を清める、と言う意味あいがあるのだ。私も、是非、その顰

に習い、歩いて渡ろうと意気込み、必携の「サンダル」を用意していた。

尾根を下りきると、熊野川の堤防に、細く、今にも切れそうな黒と黄色の

ロープが目に入った。恐る恐る、6~7mの急な斜面を覗き込んだ瞬間、

それまでの疲労もあってか、私の気力は失われてしまった。大袈裟に言えば、

「敗北感」に苛まれながら、遠回りして、橋を渡り、大斎原に向かった。