源太郎のブログ

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エアライン ②

2009年11月12日 | エッセイ

 新東京国際空港、通称「成田空港」の成田は「なるた」に由来する。だから、些かしまらない感じだが、本来は「なるた空港」なのだ。「なるた」とは「鳴る田んぼ」。何が鳴るのかと言えば、それは「雷」。「成田」は「雷の鳴るたんぼ」を意味する。

 飛行機の中で雨が降る、と言ったら驚きだろう。機内の照明、映画、オーディオや各種機器には電気が必要だ。飛行中はエンジンに併設された発電機で発電をしながら飛行をしている。では、地上にいる時は如何するのだろうか?例えばジャンボで言えば、小さな発電用のエンジンを尾翼の付近に備えている。地上にいる時、そのエンジンを回しているのだ。夏の炎天下、陽に照らされて飛行機の内部は蒸し風呂の様な暑さになる。だから、エアコンは欠かせない。暑ければ暑いほど、外気との温度差で「結露」が溜まる。その溜まった結露が、離陸で傾いた天井のパネルの間から、どっと降ってくる。雨と言うよりは滝、かもしれない。びしょ濡れになった乗客は???となる。

 今から、それ程前事ではないが、既に「古き良き時代」と言って良い時代のファーストクラス。食事は特別のレストランが機内にあった。ジャンボの二階にダイニング・テーブルが用意されていた。当然、本物のナイフ・フォーク、それに真新しいテーブルクロス。勿論、シャンペンやワインも。料理は東京の「マキシム・ド・パリ」の作った料理。食事の時間になると乗客はレストランに移動、スチュワーデスが食事をサービスした。「古き良き時代」とはよく言ったものだ。

 ハワイ便、今は、もうそんな事は無いかもしれない。かつてジャンボのほぼ全てが新婚旅行客だった時代がある。横一列、席は、3席(ABC)、4席(DEFG)、3席(HJK)と並んでいる。だから、二人ずつ並んで座れる席には限りがある。結婚式が終わって、空港に来た。やっと二人きりになれると思ったら、席は別々。良くて通路を挟むか悪ければ前後の席、と言う事になってしまう事もある。たまにひとり旅が居ると、カップルの群れの間に挟まる事になってしまうのだ。右側の3席(HJK),本来、アルファベットは(HIJ)となる筈だが、Iは数字の1と紛らわしい為、(HJK)となっている事にお気づきだろうか?

 飛行機の中はある種、社会の縮図でもある。国内でも、犯罪者が新幹線で護送されているのをテレビで目にする事がある。飛行機でも同じ。犯罪者が護送される。手錠をはめられ、左右にピストルを偲ばせた官憲が護送する。大概は、一般の乗客が乗る前に、早めに機内に入り、最後尾に座る事が多い。機会があったら、ちょっと注意して見ていたら、そんな人たちが隣や後ろの席に座っているかもしれないのだ。

 飛行機は「機械」だから時として故障する。旅の目的は色々。ビジネス・観光・公務・結婚式・新婚旅行等、中には裁判や船の進水式に出る人もいる。飛行機が故障して飛ばないと大変だ。300人の乗客がいれば、時として300人の人生を左右してしまう事だってあるのだ。そんな時、飛行機会社は苦労する。例えば、隣に駐機している飛行機の目的地が近場で200人位の乗客だった場合、飛行機を取り替えてしまう。そして、時間稼ぎをして修理を続ける。又、部品のストックが無ければ、部品が同じなら、隣の飛行機からはずして持ってくる事もある。外された部品は、他の飛行場から陸上を運ぶ事もあるし、近場の外国の飛行場から空輸して補う事もある。

 東京付近上空は日本国内を発着する国内線や国際線以外の飛行機も数多く飛行している。例えば、中国・韓国・東南アジアからアメリカに向かう便だ。普段は余り意識することは無いが、飛行中に機体が故障したり急病人が出たりすると、成田に降りてくる。飛行機が修理できればそのまま再出発するし、急病人は救急車で運ばれる。運悪く、午後11時の制限時間に引っ掛かれば、出発は翌朝になってしまうのだ。上海からシカゴに向かったつもりが成田で泊まる、と言う事も起こってしまうのだ。