自民、公明両党が2013年の税制改正大綱を決めました。
景気回復を目指して教育資金を子や孫に渡すときの贈与税減税や、個人投資家の優遇する少額投資非課税制度、企業の研究開発に対する優遇税制など新しい制度がいくつも盛り込まれ、閉塞した日本経済に活気を取り戻そうという意気込みは感じられました。しかし、自動車業界など経済界の意向を気にした企業減税が並んだ反面、消費税への軽減税率導入は曖昧なままに終わった感じです。生活保護費の削減や地方公務員給与の削減も最終調整に入った感じで、本当にこれで日本経済が元気になるのだろうかと不安になっています。
安倍政権が発足したとき、日銀に2%のインフレターゲットを迫り、補正予算も含め15ヶ月の大型予算を編成して社会基盤を整備する公共事業の展開していくと打ち出し、「さすが老練な自民党。これで参院選も自民が完勝だな」と思いました。国民が望むのは景気回復による雇用創出で、国民の願いにストレートに応えた感じがあったからです。その結果、株価は反転し、円高にも抑制がかかったのです。
ところが、今回の税制改正大綱を含め、ここ数日間に明らかになった経済政策は、企業を優遇する一方で、個人への負担増を求める色彩が強いように感じるのです。もちろん経済の中心は企業ですから、企業が元気になる経済政策は不可欠です。しかし、日本経済の6割は個人消費によって支えられています。企業が元気になっても給与に反映するには時間がかかる遅効指数なので、企業の業績が個人消費に反映するまでには時間がかかりますし、企業業績が伸びたとしても、個人消費が冷え込んでしまっては景気全体の回復にはつながりません。そして、2014年から2段階で消費税を増税するまでに景気を回復しなければ、取り返しがつかないことになってしまいます。
プライマリーバランスの回復はもちろん重要です。財政赤字が大きくなれば、日本の国債の信用が失われ、そうなると国債の価値が低下し、金利が上昇してしまいます。ギリシャ危機の再来となりますから、慎重に対応しなければなりませんし、生活保護費の削減や地方公務員給与の削減といった支出抑制をしたいという気持ちは分かります。ですが、今は2014年までに何としても景気を回復しなければなりません。2年間だけ財政規律を無視しても、断固たる決意を持って景気刺激策を展開しなければならないのではないでしょうか。
物足りなさや、財務官僚的な財政規律の配慮を感じるのは私だけでしょうか。
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