すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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地下水条例案の審議で参考人招致

2012年10月30日 | 日記

  福祉生活病院常任委員会では、知事から9月定例会に提案のあった地下水条例を慎重審議が必要として継続審査にしました。11月議会では結論を得るべく、県議会は休会中ですが、審議を続けています。今日は平成19年度から21年度にかけて県が鳥取大学に研究委託した「鳥取平野・大山周辺地域における地下水の収支、動態」の研究リーダーだった檜谷治鳥取大学大学院工学研究科教授と、水法、とくに地下水の法的研究の第一人者である宮崎淳創価大学教授の2人を参考人としてお招きして、お話を聞きました。

 檜谷先生の話では、地下水脈は非常に複雑で、地層や地形、降水量の解析だけでは分からないそうです。しかも、県内の調査は今回の調査が唯一の知見であると言ってもいいほど進んでいないそうです。保全の基礎は調査による実態把握で、実態把握調査の第一歩は、地下水をどれだけ使っているか調べることだそうですが、その正確なデータもないそうです。鳥取平野では地盤沈下も止まり、その意味では地下水の汲み上げと供給のバランスは壊れていない。また、大山周辺では、河床からの湧水が多く、表流水と地下水を一体として考えることが重要とのご指摘を頂きました。

 条例案は取水量の報告義務を事業者に課しますので、檜谷先生が指摘された「まず地下水をどれだけ使っているか調べること」という点では、条例化する意味は大きいと思いました。

 

 宮崎先生は、公水、私水の二分論を戦わす意味があまりないという意外な指摘を頂きました。地下水を公水と考えたとしても私的利用を否定することはできないし、私水と考えても渇水を引き起こすような揚水は認められず一定の制限を加えることは必要で、いずれの解釈論をトルにして、重要なことは「健全な水循環を損なうような地下水の利用をしてはならない」というルールを、いかに具体化するかということでした。その方策として、地下水の流動システムを解明したうえで、地下水の保全と合理的な利用の調和を図るために条例を制定することは現実的な方法だと言っていただきました。

 地下水の取水制限をどういう法律構成で条文に盛り込めばいいのか、いろいろと考えていましたが、地下水の法的性質をどう考えればいいのかが、その基礎になります。公水論と私水論の隘路で行き詰まっていた私には大きなヒントをいただいたように思えました。

 

 今後、11月議会までに、地下水を公共水と定義し、取水の許可制を取り入れた熊本県を現地調査するほか、県内で地下水条例を制定した市町村との意見交換、大口取水事業者や水道局への聞き取り調査などする予定です。鳥取県に取っては大きな課題です。ご意見のある方は、どうぞ、お寄せ下さい。

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