すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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県議会 福祉生活病院常任委員会県外調査2日目①(京都大学原子炉実験所)

2012年07月19日 | 日記

 県議会福祉生活病院常任委員会の県外調査2日は大阪府泉南郡熊取町にある京都大学原子炉実験所から調査を再開しました。まず福永俊晴副所長から話を聞きました。

昭和38年の設置以来、全国の共同利用研究機関として研究活動をしている。研究が進む中で、専門家しすぎたきらいがあり、横の繋がりを重視している。外の先生にも参加していただいて、そんな体制をつくろうとしている。

2つの原子炉があり、私が使っているのは通常は最大100ワットで、通常は1ワットで研究、教育のために動かしている。22の研究室があり、京大の中では2番目に大きい研究所。原子力基礎科学研究本部が原子炉の研究をしており、粒子線物質科学研究本部と放射線生命科学研究本部が原子炉から出てきたものを研究している。研究スタッフは教授22人を中心に124人。理学、工学、エネルギー科学、農学、医学の6分野の大学院生61人が学んでいる。

原子力科学の教育、研究、学際領域(放射線を利用した研究、革新的ガン治療)の研究をしている。共同利用・共同研究の拠点のため、国内外の研究者がここで最先端の研究をしている。全国13大学、韓国6大学、スウェーデンの学生が来ているので、教科書も英語、日本語、韓国語で書いている。臨界集合体(CA)は小さな原子炉の集合体。実際に原子炉に触れて学べる施設は世界的にも珍しい。操作盤は原発並。実験する学生は年々増えている。

研究用原子炉の回りに様々な機器を置いて研究している。中性子で物体の透視をしたり、中性子でダメージを受けない素材の研究をしたり、がん治療の研究をしている。中性子は分析に有用で、水俣病の患者さんの髪の毛や小惑星探査機はやぶさが、小惑星イトカワから持ち帰った試料も分析した。中性子は金属の中の様子を調べることが出来る。橋の劣化などを調べることなどに応用できる。中性子小拡散装置はゆらぎを調べることができる。リチウム電池の性能を上げる研究もしている、リチウムイオンが電池の中でどう流れていくか、中性子を使って原子レベルで回析している。

ホウ素中性子捕捉療法の研究もしている。ホウ素から出た熱中性子を当てるとがん細胞だけを殺し、正常細胞を傷つけないという特色があり。2001年12月~2006年3月では192症例を治療。原子炉改修のため4年間治療を中止したが再開後でる2010年6月~2012年2月では102症例と急増している。中皮腫は肺全体に広がったがんなので、外科的治療が難しく、中性子の治療が有効だ。

次世代を目指した研究もいろいろしている。加速器駆動未臨界システムは、臨界に達しないうちに中性子を取り出そうとしているもので、臨界でないので安全性が高い。サイクロトロン加速器中性子照射システムは原子炉ではなく、加速器で取り出そうというもの。これなら会議室くらいの広さがあり、病院でホウ素中性子捕捉療法が可能になる。

福永所長とは意見交換もしました。

Q 普通の人には放射線への恐怖感があるが

A 放射線は宇宙から降ってきている。共存共栄すべきものだ。原子炉事故から心配が高まったこともあり、緊張感を持って研究している。

Q 使用済みの核燃料の始末は

A 最大5000キロワットで稼働しているので、30本の燃料棒がある。何年かに1本出る。研究用原子炉の燃料はアメリカが引き取って処理してくれる。

Q がん治療の放射線は、どれくらいのシーベルトか

A 換算すると数十シーベルト。放射線医療技師を育てていて、安全に

Q 放射線の照射は突然変異を起こさないか

A 自然の放射能ではDNAに変異を起こさせる。人間は免疫で変異した細胞を殺す。変異の状況の研究もしている。

次に中島健教授からお話を伺いました。原子炉の安全性について話をお聞きしました。

原子力発電は核分裂で得た熱は水を水蒸気にしてタービンを回して発電している。原子炉格納容器の中で核分裂して放射性物質が飛び散ることはないとされてきたが、それが福島の事故でひっくり返った。少量の燃料で大量のエネルギーを発生させることができ、しかも、CO2を出さないというメリットがあるが、その反面、放射線と放射性物質が発生し、これらの放射性廃棄物はテロ、事故さらには処理の問題がある。

 核分裂反応を止めても、核分裂生成物は熱を出し続ける。停止後3日経っても、1時間で8.3トンの水を蒸発させるほどだ。原発に何かあったら、「核分裂を止める」「原子炉を冷やす」「放射性物質を閉じ込める」が原則。

 福島第一原発には6基の原子炉があり、1~3号機がメルトダウンした。揺れは想定の1.2倍にもなったが設計の余裕の範囲内で、これまでの解析では壊れたのではないと思われる。津波は6メートル想定で15メートルが来た。その結果、海水ポンプが浸水して冷やせなくなった。自家発電は16機あったが1機を残して壊れた。電源車を持ってきても配電盤が水に浸かって動かなかった。

 原子炉や使用済み燃料プールに水を送れなくなった。しかも、ジルコニュームが水と反応して水素を出し、それが漏れ出し、爆発した。

 安全設計指針には、短時間(30分~数時間)の電源喪失の対応しか書かれていなかった。非常用電源装置が動いたり、送電線が復旧したりすると考えていたからだ。オフサイトセンターはサイトから5キロの地点にあり、電源が喪失して、電源が復旧しても放射線の問題で機能不全にになった。

 自然災害の評価の難しさが一番の教訓。想定外への対応は思考停止にならないようにしなければいけない。準備や訓練をしていたが、それが本当の意味で役立つものでなkればならない。さらにはエネルギーの安全保障も必要だ。 原子力安全基盤の研究を今年から始めた。

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県議会 福祉生活病院常任委員会県外調査2日目②(美浜原発オフサイトセンター)

2012年07月19日 | 日記

 県議会福祉生活病院常任委員会の県外調査2日目は、2番目の調査地として敦賀市の美浜原子力防災センター(オフサイトセンター)を訪れました。

緊急対策室の全体界議場で説明を受けました。原子力安全保安員美浜原子力保安検査官事務所の小野祐二所長=写真左=が挨拶された後、宇佐見孝之原子力防災官=右=の説明を聞きました。以下は宇佐見防災官の説明の概要です。

 

 原子力安全保安院が原子力規制委員会に変わり、その事務局として規制庁が設けられる。

職員は800人で、その半分が原子力担当。オフサイトセンターは経産省所管が20カ所ある。オフサイトセンターは緊急事態応急対応拠点施設のこと。法律では敷地境界で5μSv/hで立ち上がり、500μSv/hで緊急事態を宣言だが、福井県は0.5μSv/hと1μSv/hにしている。

 設備は衛星通信設備、過半型携帯衛星電話、ERSSで美浜のパラメーターを表示して状況を把握。SPEEDI、空間線量システムなどがある。サーベイメーターも各種用意している。

PAZ(5キロ)避難の流れは、関連機関が集まってオフサイトセンターを立ち上げ、国の対策本部に判断を求めるという形になっていたが、オフサイトセンターに関係機関が集まれることができなかった。事故の場合はオフサイトセンターも即、避難となるので国が判断して直接、地方自治体へ情報を投げることにした。

福島第一原発事故ではオフサイトセンターが機能不全を起こした。電力会社本店にオンサイト対応の総合対策室を設けることにして、オンサイトとオフサイトで分担して対応することになった。

 以上は宇佐見さんの説明の要旨です。小野所長からは美浜原発の安全対策を聞きました。以下はその話の概要です。

 福島第一原発では地震によって外部電源は喪失したものの、原子炉は自動停止し、海水ポンプも、非常用電源装置も起動し、冷却機能は維持された。ところが、津波で、非常用発電機、蓄電池、配電盤が水をかぶって所内電源が喪失。冷却機能を失った。炉心は停止したものの、炉心が損傷してジルコニュームと冷却水と触って水素が発生し、水素爆発を起こし、放射性物質が大量に放出された。

 格納容器のベント操作を行う前に格納容器の破損し、放射性物質が漏洩された。4号機は定期検査中で核燃料はなかったが、3号機と換気系を共有していたため、4号機に3号機で発生した水素が流入して水素爆発を起こし、放射性物質が漏洩した。

 中性子によって素材が経年劣化したのではないかと指摘があったが、解析した結果、今のところ、経年劣化はなかった。

 海溝型地震だったため、大きなすべり量と地震セグメントにより、大きな津波となった。古文書、伝承の調査、津波堆積物の調査、海底地形図の作成により、津波の高さを予測することにした。福島第一原発事故に学んで30項目に対策を立てた。電源確保は電源車や非常用発電装置を追加し、接続の用意かも図った。水源確保では消防ポンプ、可搬式エンジン駆動海水ポンプ、大容量ポンプを順次配備した。浸水対策としては扉や配管官貫通部にはシールを貼ったほか、非常用電源装置は海抜42メートル、消防ポンプは同32メートルに置いた。防潮堤も地盤プラス11.5メートルにかさ上げする。

 シビルアクシデント対策としては、建屋からの着実な廃棄手順を整備したほか、静的触媒式水素再結合装置を設ける予定。また、フィルタベントも設置する。扉が曲がって使えなかった経験から免震事務棟を28年までに新設する。

 休日夜間要員を26人から47人に増強し、2時間以内に100人以上の技術系社員の招集ができるようにした。また、プラントメーカーも、三菱若狭原子力安全統括センターを美浜町内に開設した。

 

 説明を聞いた後、質疑応答をしました。

Q ここのオフサイトセンターの原発からの距離は

A 原発からは9キロ。UPZの30キロ圏内に設けることになるが、法律で原発の立地県に作られることになっているので、隣接県では作れない。

Q ここのセンターを使っての訓練は

A 福井県内には4カ所の原発があり、年に1回はどこかのオフサイトセンターで訓練しているので、そのときは参加している。

Q 安全神話が崩れた。大飯原発の再稼働はおかしい。安全が確認されていないのに認めている。皆さんは事故はあるという思いでおわれるのか、

A バックフィットを新しい法案には導入している。しかし、事故は起こるという前提で準備や訓練はしている。

Q 津波以前に地震で損傷があったという報道があった。オフサイトセンターはどこまで対応されるのか

A パラメーターで異常が出た場合、原発に行って検査し、指導する。ERSSが途切れても、衛星携帯で連絡を取る。

Q 福井県には4つの原発があるが、地震や津波は広範囲で起こっている。同時に事故が起こることは想定して準備や訓練はされていないのか。オフサイトセンターが4つ同時に立ち起あげるようになった場合、構成メンバーが重なっていて、必要な判断や支援ができなくなるようなことはないようになっているのか。また、放射性物質が複数の場所から漏洩したときには、濃度が上がったり、拡散範囲が広くなったりする可能性があると思うが、そういう想定はされているのか。

A 同時発災は考えていない。断層の調査をしているが、その結果では考えざることになるかもしれない。

Q オフサイトセンターの代替施設は考えているのか。防災センターの立場から見えてきた問題点は

A 5キロ離れた敦賀原発のオフサイトセンターを考えている。これも駄目なら、大飯原発、高浜原発のオフサイトセンターになるだろう。4つとも施設の規模、設備などが同じようになっている。それがないときは福井県庁。昨年の9月に来たが、防災の人間は、いざという時のリソースが必要。やはり、人間が大事。東京も増員を考えている。規制庁になっても、原子力安全基盤機構など含め、来年4月までは体制が整わないので、そこが少し不安です。

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