すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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選挙運動(3)戸別訪問

2011年04月22日 | 日記

 公職選挙法第138条は、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて戸別訪問をすることができない。いかなる方法をもつてするを問わず、選挙運動のため、戸別に、演説会の開催若しくは演説を行うことについて告知をする行為又は特定の候補者の氏名若しくは政党その他の政治団体の名称を言いあるく行為は、前項に規定する禁止行為に該当するものとみなす」と定めています。これが戸別訪問です。

 戸別訪問を認めると、買収や利益誘導などの不正行為を招きやすく、有権者の自由で公正な判断が損なわれるというのが立法趣旨です。これって私は有権者を馬鹿にしているように思えます。自宅の中では密室だから、悪いことをしてしまうと考えているのですからね。

 公職選挙法が一律に戸別訪問を禁止することは、憲法が保障してる表現の自由、それも、高度の保障があたえられるべき、政治的言論の表現行為について、不正がなされるというおそれだけで、制約されるのですから、私は憲法違反だと思います。政治的言論を制約していい場合は、明白かつ現在の危険があり、他の代替手段のない場合だけでなければなりません。地方裁判所や高等裁判所では、戸別訪問の禁止は憲法違反だとする判断をしたところもありますが、「憲法の番人」である最高裁判所は、一貫して合憲判断を下しています。

 なんだか、法学部の講義のようになってしまって済みません。この戸別訪問は文書違反と並んで、選挙違反では多いものです。述べましたように政治的言論の自由が厚い保護を与えられているので、政治活動としての戸別訪問は許されても、選挙活動としての戸別訪問が許されないという不条理を生じます。

 私の場合、スタッフには学生や若者がたくさんいましたので、これから将来のある人たちですから、断じて検挙などということは許されません。ですから、お会いした人には私の政策を説明し、「鳥取を変えましょう。そのために、応援団(後援会)に入会ください」と言葉には、十分に気を付けました。御留守で、名刺でパンフレットを置いて変える場合でも、「応援団(後援会)へ入会のお願いにあがりました」というメモを残し、投票依頼と有権者の皆さんが思わないように配慮をいたしました。

 市議やスタッフの方が一緒に回ってくれ、1人で回ることはありませんでした。特に市議の皆さんは2月議会の会議の終わった後、午後6時ごろから、午後9時まで、連日誰かが同行してくれ、元気を出していただいたのですが、議会だよりを持参して配布したり、「この応援団の入団ハガキに記入して、ポストに入れてごぜ」と必ず言われたりと、政治活動の域を超えないように十分な注意をなされていました。この期間は告示前ですから、選挙運動となりますと、戸別訪問だけでなく、公選法が禁止する事前運動、違法文書の配布となり、3つの犯罪を構成してしまうからです。

 議員は高い遵法精神が求められます。そして、それが基本です。憲法違反の条文であったとしても、違憲として法律の効力を失うまでは、きるうる限り守らねばなりません。豊後高田市では現職市議が逮捕され、有罪判決が出ています。ところが、応援してくれる人たちが言うのは、しかたないとしても、候補者、あるいは、立候補予定者が、「だれでもやっていることですよ」「戸別訪問をしなければ勝てません」「自分にノルマをかけて戸別訪問しています」と平気で話すのを何度も聞き、愕然としました。

 聞いた話ですが、総決起大会で「2万軒を戸別訪問し、靴4足をはきつぶしました」と壇上で話した候補者もいたそうです。また、選挙期間は9日午後12時に終了したにもかかわらず、午前零時を回っても、名前が書かれたタスキをかけて、弥生町の飲み屋の扉を1軒ずつ空けて回って、自分の名前を大きな声で言った後、「明日は投票日です。どうぞ私に1票を入れてください」と頭を下げた候補者がいたとも聞きました。そして、何人もの取材記者が私に「戸別訪問は何軒されましたか」と聞きました。もちろん、私は「選挙運動としての戸別訪問はしていません」としか答えませんでした。

 これだけ大っぴらに違法行為が横行し、認知してされているにも、かかわらず何もなされない状況は法治国家とは言えません。法律を守る。こんな基本的なことが守れないようでは……。考えさせらる問題だと思います。

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