4月13日(2023年)、もう間もなく村上春樹の最新作が刊行される。
タイトルは『街とその不確かな壁』。
『騎士団長殺し』から6年ぶり、15作目の長編小説である。
村上春樹の本を発売直後に買うことは今までほとんどなかった。
長めの作品『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』などは、すぐに読みたかったのだけれど、2冊セットで出費がきつかったから。
短めの作品『スプートニクの恋人』『アフターダーク』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』などは、そんなに急いで読みたいと思わなかったから。
でも、今回の『街とその不確かな壁』は買いたい。
発売日に買いたい。
すぐに読みたいし、3000円ぐらいなら、いちおうハルキ・ファンなのだから、そのぐらいはね、払って読みたいと思っている。
この記事の『街と、その不確かな壁』は、上記の『街とその不確かな壁』とは別の作品である。
タイトルをよく見るとちょっと違う。
読点があるか無いか。
ここはあまり深読みせず、普通に、二つの作品にかなり密接な関係があり、でも区別できるように、このようにしたのだろうと解釈しておく。
それで『街と、その不確かな壁』。
これは文芸誌、文學界の1980年9月号に掲載された中編小説である。
書籍化されていない(単行本、文庫本に収録されていない)。
電子書籍化もされていない。
著者が結末に納得できなかったために封印され、後に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』として生まれ変わった作品である。
『街と、その不確かな壁』と『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の結末を比べると、確かに違う。
真逆とも言える。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に著者は納得していたのだろうか?
あらためて『街と、その不確かな壁』を読み返してみると、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とは結末が真逆だけれど著者が描きたかった物語の‘核’は変わらないんじゃないだろうか? あるいは‘核’が微妙に違うんじゃないか? という気がした。
う~ん、何言ってるのか自分でもわかんない。
さて、新しく刊行される『街とその不確かな壁』では、いったいどんな物語が描かれるのだろうか?
『街と、その不確かな壁』の書き直し?
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の書き直し?
それとも続編?
楽しみだな。
早く読みたい。