ととじブログ

書きたい時に書きたい事を書いている、あまり統一感の無いブログです。

ダンス・ダンス・ダンス / 村上春樹

2019-03-03 06:14:21 | 本/文学
「羊をめぐる冒険」の続編ということで、何度も読み返している「ダンス・ダンス・ダンス」。

高度資本主義社会がどうしたこうしたとか、ソフィスティケートされたなんたらかんたらとか、トレンディだとかトレンディじゃないとか、そういったものに批判的でありながらも半分くらいは自分もそれに乗っかっちゃっていて、言う事も局所的で切れ味が悪く、言い訳がましくて、ナルシスティック。
「羊をめぐる冒険」のときのようにいまひとつ感情移入ができないし、好意も持てない。
…そんな「僕」の物語。

舞台がハワイに移るところだけは、スピーディで小気味良いのだが、全体的には冗長で緊張感に欠ける。

「羊をめぐる冒険」の後にどうしても必要だったかというと、どうだろうか?
いちおうハッピーエンドなので、あって悪いとまでは言えないけれど。

ひょっとして、「ノルウェイの森」がバカ売れした後、村上春樹が無意識のうちに、
「俺に過剰な期待をするんじゃねーぞ」
「書きたい事を書いて、静かに暮らしたいんだよ、俺は…」
という心の叫びを綴った物語なのか?
と、今回はそんな事を思ってしまった。

否定的な事ばかり書いたが、これはあくまでも「羊をめぐる冒険」と比べた相対的な感想だ。
絶対的な観点で評価するならば、それほど悪くない。
面白い作品だと思う。

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2019/03/04 追記

作品の中に数多くの音楽が出て来るのだけれど、その中で「僕」に悪くない評価をされている数少ないいくつかの曲のひとつがローリング・ストーンズの「ブラウン・シュガー」。
この記事を書く前には、たぶん筆が進まないだろうからスペースかせぎにこれを絶対に埋め込もう、などと思っていたのに、すっかり忘れていた。

The Rolling Stones - Brown Sugar [Live] HD Marquee Club 1971 NEW

71年か。
みんな若い。
この頃の、まだ若いストーンズをリアルに体験できた世代が少し羨ましい。