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それとは無関係に・・・。
 





GITANESが入るポケットだけあればいい。
それとは無関係に・・・。


2日、3日はお世話になった方の葬儀で
受付係として、葬儀場の玄関に座っていた。
若いころの武勇伝なども聞いたことはあったが、少なくとも
私がお世話になった晩年は、好々爺の側面の方が大きかった。
関わり合いがなくなって10年近くにはなるが、いなくなると
寂しいものだ。


受付と言うと、芳名録に記帳してもらう役である。
香典ご辞退のスタイルだったので、香典を預かることがなかっただけでも
作業は楽だったが、それでもそれなりにいろいろある。

受付に座っている=式場の係員と勘違いする人が意外に多く、
「献花の精算はどこでやるのか?」とか、
同じ日に同じ式場で営まれていた別の葬式について質問されたり
「どうして香典を受け取らないのか?」という問いかけなど、
「知らんがな。」と思わず言ってしまいそうな質問を受けた。

中でも、
「当家の身内の者じゃ!」というおっさんは、通夜のときにも見かけたが
翌日の告別式前に式場に入ってくるなり、受付(つまり私ともう一人の担当)をジロっと見て
「記帳なんか要らんやろ!昨日やったやないか!そやから要らんやろ!」
と、同伴の妻と思しき女性に向かって大声で言い始めた。

そもそもそいつは施主家の身内だということなので、
例えば受付業務なんか身内がやればいいのだ。
いや、受付ぐらいの簡単な業務は、いろいろとお忙しい身内のために
近所や職場の人間が買って出ればいいのであって、まさしく我々がその立場だったのだが
(施主家から『誰も手配できていないので、申し訳ないが動員してくれないか?』と
依頼を受けてのこと)、
身内の者から「俺を誰だと思ってるんだ?!」なんて口調で何やら言われるぐらいだったら
「ほんならお前が受付やらんかい!身内がやって当然やないか!
我々の代わりにやってもらってスンマセンぐらい言うべきところじゃ。
別にそんなこと言って欲しくもないから、せめておとなしくしとかんかいボケ!」

となる。

現に私の表情がそう言い放つような動きをしたので、隣にいた同僚が
「あかん、やめとけ。」と目で制した。

おかげで常識のない人間の仲間入りせずに済んだのはせめてもの救いである。



さて、「いつもの観察」というのは、儀式における礼服事情についてである。

女性の礼装についてはあまりよくわからないので一切触れないが、
多くの葬式と同じように、男性の礼装は壊滅的である。

まずやはり、悲しいほど「礼服のサイズが合っていない」。

下手すると数年に一度、それも1時間ほど着られればいい服なので
サイズが合っていようがなかろうが、ブカブカであろうがピチピチであろうが
その席が済めばそれでいいのだろう。

丈が長すぎる、肩が落ちるほど大きい、袖が長い という人ばかりである。
年寄りの葬儀だったので参列者も年寄りが多い。そのせいもあるが、「大きい大きい礼服を着ている」
という男性ばかりだった。

「ボタンの留め方」が滅茶苦茶な人も多い。

靴も同様にひどいもので、
「内羽根式ストレートチップの一択」とは言わないまでも、せめてプレーントゥぐらいに
しておくべきところがローファーの男性も多く、中には黒いスニーカーの人もいた。

胸ポケットへ沢山ペンを突っ込んでいる人もいるし、
式場へ入るなり外套を脱ぐ人などほぼ皆無である(もともと着てこないか、着たままどんどん進んでいくかのどちらか)。


いや、それがどうだ ということはないのだ。
故人との別れにやって来たというのが唯一にして最大の目的なのだから
それ以外は些事と言えなくもない。

しかし、そう言い切ってしまったら
すべての「型」や「形」「様式」、場合によっては「儀式」「儀礼」が成立しなくなるし、
洋服を扱う会社に勤める人間としては気になって当たり前である。

着るなら(せめて葬式では)礼服を「普通」に着るのがいいんじゃないか とやはり思う。



いや、ジーンズとセーターで泣きながら式場に駆け込んでくる人がいれば、
本音で言うとそっちのほうが「本当」だ との思いも拭い去れないのだが。





ちなみに、

前出の失礼な身内の男は、実はきっちり礼服を着こなしていた。




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コメント
 
 
 
Unknown (風信子)
2015-01-07 22:03:16
寒中お見舞い申し上げます。

というには日が一日早いのですが、
父が亡くなって喪中なので
心苦しくもそう言わせていただきます。

お正月早々の葬儀のお手伝い、ご苦労さまです。
亡くなった者のの身内としては、
そのような状況に
本当に申し訳なく思っていると思われます。

喪服の件については確かにマナーという点で
同意をせずにはいられません。
確かに最近は、そこは適当に黒に統一すれば
いいだろうという方もいらっしゃると思われます。

ましてや身内で慇懃無礼な態度をとられると、
その方の心の持ちようをも察してしまうものだろうと思います。

仰るとおり、それこそジーパン姿だろうが何だろうが、
涙ながらにそれこそ喪服などの考えも浮かばず
お葬式に駆けつけた方ならば、
礼服がどうのという考えも及ばず、
故人を偲ぶ方であり、
それは許される行為であると思われます。


ここ数年、喪中はがきをだすばかりで、
年賀状をまともに書いていない私としては、
お正月に受付などして下さる方には
感謝と申し訳なさを感じざるを得ません。

ただ、自分がそういう年齢になってきているのだな、という実感をするばかりです。

只々、生き残った自分達が元気に残された時間を、
精一杯生きねばいけないのだと思うばかりです。

本当にご苦労様でした。

お互い健康には気をつけて
今年も精一杯生きていきましょう。

遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。
 
 
 
Unknown (SGC)
2015-01-08 16:49:07
お父様はお亡くなりになっていたんですか。

今まで気づきませんでした。
お悔やみ申し上げます。

みんなに申し訳ないなあ と思っている家族と、
お世話になった人の葬式を手伝うのは当然と思っている
関係者の双方にとって、
心無い者の心無い行動は、本当に大迷惑ですね。
ああいう人間にはなるまい とまた固く心に決めました。

本年もよろしくお願い申し上げます。
 
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