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the other side of SmokyGitanesCafe
それとは無関係に・・・。
 



GITANES臭が事態を悪化させるのか。
それとは無関係に・・・。

訳アリデブ、なんてアパートの他の住人たちは私のことを呼んでいるようだが心外な。
私には細井明夫というちゃんとした名前があるし、このアパートで唯一部屋にフルネームの表札を掲げている。
それなのに訳アリデブというのはどういう訳だ。
確かに細井でこの体形はおかしいとか、明夫という名前なのに暗いとか、学生時代から散々言われてきたが、そもそも命名したのは自分自身ではないのだから、ネーミングの失敗は私のせいじゃない。
訳アリというけど、まったく訳なんかない。
そもそも私はちゃんとした公務員だ。役場の防災部防災課防災班庶務係に属している。もう8年は無遅刻無欠勤だ。まったく「訳アリ」の要素なんかないじゃないか。
地銀に就職しようか、公務員試験を受けようかと悩みに悩んで、
銀行はスーパーカブに乗ってヘルメットを被るが、私は北半球
で一番ヘルメットが似合わない男だと自覚しているから
どちらかというと第一志望だった銀行就職を断念し、
公務員試験を受け、そして現在の役場の防災部防災課防災班に
勤務しているのだ。もっと尊敬されて当たり前なのだ。
たしかに、まともなところで働いているのに「運命を呪って」
いる部分はなくもない。
なぜならば防災部防災課防災班は皆、いつになるかは誰も
知らないが多分確実にやってくるであろう「大地震」に備える
部署だから、一年中室内でもヘルメットを被っていなければ
ならないからである。
どうしてヘルメットを避けた結果ヘルメットに囚われてしまう
のか。人生の理不尽を感じる。

理不尽と言えば、今週大家の部屋の前が騒がしくなり
湯沸し器横の小さい窓を開けて様子を見てみたところ
ドジョウひげが中華鍋を振り回していた。それだけなら
たまに見る光景だが、死ぬ一歩手前ぐらい顔色の悪い男が
ニヤニヤしながら立ち去るのも見た。
私はああいう人種、何がなんだかわからない、どうやって
生計をたてているのか想像がつかない人種が最も嫌いなのである。
ああ、嫌だ。

おまけに先月の終わりぐらいから、アパートに進入する道の
脇に、時間はさまざまだが怪しいクルマが停まっていることが
多くなった。
国産の古いバンで、そう目立つような車種ではないが
真っ黒なフィルムをガラスに貼っている。
どうも男が2人乗っているようだった。
それだけならまあいい。
たまに歩行者がそのバンに近づいていくのもしばしば見るように
なってきた。
誰かが近づくとバンの運転席窓がスルスルと開く。
そして、歩行者が何かを運転手に手渡すように見えるのだ!
まさか両者がわざわざ窓を開けてまでハイタッチしている訳
ではないだろう。
となると、何かを受け渡ししているに違いない!
となると、もうそれはクスリ関係に違いない!

それを見てしまってから私は気が落ち着かない。
引っ越しも真剣に検討した。
しかし、レジデンス茶柱ほどの環境で安い部屋はないのである。
こんなぼろぼろなアパートなのに、トイレはウォシュレット完備、
便座も暖かく、室内の照明もすべてLEDだ。なかなか球切れも
ない。建付けが悪くドアの開閉には苦労するのだが、家賃との
バランスを考えるとそれも仕方ないのだ。
ええと、何の話だ?

そう、怪しいクルマが頻繁に現れて落ち着かないのだ。
警察に通報することも考えた。しかし通報したことが
バレてしまったら非常によろしくない。
こうなったら、誰かをけしかけて通報させるしかない。
通報は市民の崇高な義務である。自分では電話しないが
防災部防災課防災班の公務員魂が燃えるのだ。

カンカンカンという音とともに、鉄の階段を下りてきた人が
いる。
怪しいマッサージ屋だ。こいつを使おう。
ドアを少し開けて手招きする。
「ねえねえ、こっちこっち・・・」
マッサー「?何?」
「ちょっとこっち来てよ・・・」
眉毛のあたりに疑惑丸出しにしながらも、マッサージ屋は
玄関前までやってきた。
「防災さん、どうしたの?」
「あのね、今日もあの角にバン停まってたよね?」
「そだね。いたね。」
「午前中に1時間ぐらい、午後からも1時間ぐらい、夜も
1時間ぐらいいるよね?」
マ「いるよ」
「あれって、怪しいよね?」
マ「まあ、あやしく見えるねえ」

「何してるんだろうね?近づいていく人がいるんだよね」
マ「いるね」
「いろんな人がね。主婦っぽかったり学生みたいだったり
サラリーマンみたいなのもいるし、作業員風も」
マ「よく見てるね。防災さん暇なんだねえ」
「そういうの、気になるんだよ!」
マ「慣れた方がいいよ。」
「慣れたくないんだよ!あれって、何か受け渡ししてるだろ?」
マ「そうだね」
「薬物に違いない!・・・と思ってるんだけど。」

マ「うーーん、まあ気にしない方がいいよ。というか
気にしなくても大丈夫だと思うよ。」
「いや通報すべきなんだよねえ・・・」
マ「なら、すればいいじゃん。」
「・・・」

マ「まあ、通報してもしなくても別に何にも変わらないと
思うけどねえ。」
「ひょっとして・・・何か知ってるの?」
マ「あれ、常識だと思ってたけども。」
「え?」

怪しいマッサージ屋「だって、あれは、」

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

続くのか?


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GITANESがそもそも妄想なのか。
それとは無関係に・・・。

山田八郎の、ささやくような「コロッケ讃歌」に気づかないフリ
をしているうちに、山田八郎は「ごきげんよう」と言い残し
部屋を出て行った。
彼が年中タキシードを着ている理由は、声楽家を自称しているから
なのか、あるいは作曲家としてのスタイルを確立したいのだろうか。
それならばタキシード姿も理解できなくはない。
しかしそれならばバッハのような全方位巻き巻きクリンクリンの
カツラをかぶっていた方が手っ取り早いのに。
またノックの音がした。
「開いてますよ」
山田八郎にこれ以上コロッケを渡すと夕飯のおかずが足りなく
なってしまう。それだけは阻止しようとしたが、幸か不幸か
入ってきたのは山田八郎ではなかった。
私「どなたですか?」
痩せぎすの、長身の男だった。顔色が青黒い。阿修羅男爵の
どっちか半分のような顔色をしている。斬られ役の先生に
似ていなくもない。
私「?」
青黒「ええと、茶柱のオーナーさん?」
私「ええ、そうですけど。あ、入居希望?あいにく、」
青黒「いやいや、そうじゃない。あのね。あなたがね、」
言いながら男は靴を脱いで上がり込んできた。
咄嗟に『靴を脱ぐだけマシかも』と考えた。
ついでにドアも閉めていただきたかったが、どうも話かけにくい
人物だ。
私「ええ。」
青黒「あなたがね、どうも人探ししてるって聞いてね。」
私「あ、あの・・・ちょっと頼まれましてね。」
青黒「写真を持って嗅ぎまわってるってね。それはね。
  やめた方がいいよ。」
私「・・・」
青黒「やめた方がいいな~。うん。その方がいい。」

私「私も事情わからずに、頼まれたもんで・・・。」
青黒「そうみたいだね。で、女が誰だかわかったの?」
私「いえ、全然それがまだ。」

男はタバコを取り出し、吸わずに匂いだけ嗅いで
またタバコの箱をポケットにしまった。
私「あ、灰皿はこっちに」
青黒「いや、吸わないの。医者に止められててね。せめて
   においだけ嗅いでるの。」
私「・・・」
青黒「病院嫌いだからね。だってね、何をされても結局
   痛いでしょ?注射とか点滴とか切るとか縫うとか。
   だから極力世話にならないように、医者の言うことには
   従うのがポリシー。」
少し笑った男の顔は冷たい迫力で満ちていた。

青黒「あ、茶柱さんは痛いの好き?僕はね、自分が痛いのは
   大嫌い。でも他人が痛いのは平気。」
私「・・・」
青黒「ねえ、探さない方がいいと思うよ。あなたに写真渡して
   人探し頼んだの、Aさんだっけ?」
私「そう、だったかなあ・・・」
青黒「そんなところトボケてもダメだよ。もうね、茶柱さんは
   人探しなんかせずに、静かに大家さんやってる方がいいね」
私「そうですかね?」
ずっと立ったままの彼は私を見下ろしている。
青黒「わかってくれるよね?世の中にはね、探されたくない人も
  いるんだよね。」

開いたままのドアの向こうにシルエット。
まだ鉄鍋を両手にひとつずつ持ったままのドジョウひげだった。
どじょう「大家さん、お客か?お?どっかで見たなアンタ。」
青黒「なんだこのなまずヒゲは?邪魔するな。」
どじょう「ナマズって何ダヨ!おれはドジョウひげって
     立派な呼び名があるヨ!」
青黒「ドジョウって、そうか、小柄だからナマズじゃなくて
   ドジョウなのか?」
どじょう「ドジョウは別に小さいナマズって訳じゃないあるヨ!」
青黒「ないあるヨ って、どっちなんだよ?」


どじょうヒゲは両手の鉄鍋を、必殺の武器のようにゆっくり
回転させ始めた。
どじょう「お前、大家さんに何の用か?!怪しい奴め!」
青黒「お前だって十分怪しいじゃねえかよ」
どじょう「知ってるぞ!お前駅裏のXビルに出入りしてる奴らだろ。
     もめ事か?!ええ?」
青黒「それがどうした?」
どじょうヒゲの鉄鍋の回転数はゆっくり上がっていった。
何なのだ?戦いが始まるのか?だとしたら、あの鉄鍋は
どんな攻撃の仕方になるのだろうか。
興味は尽きないが、部屋の中で鉄鍋で戦われるのもよろしくない。
私「まあまあまあ!」
と割って入る。

青黒「なんだよこのナマズはよう。あ、ドジョウか。」
私「仰ることはわかりましたので。」
青黒「あ、そう。じゃあいいや。そういうことで。」
どじょう「帰るのか?!」
青黒「なんだよ、さっきからケンカ売ってるのか?」
どじょう「いや、まあそんなことはないアルヨ。」
青黒「ない・のかよ、アル・のかよ?」

最終的には二人を廊下に押し出した。
青黒「邪魔したね。俺はね、Xビルの『ピンセットのジョー』だ」
どじょう「変な呼び名だネ!」
青黒「うるせえよ、鉄鍋ドジョウ。」
どじょう「リーチーツゥって立派な名前があるヨ!」
青黒「ピンセットだって、使い様によっては痛いんだぜ?」
ピンセットをどう使うのかにも興味津々だったが、もう頭が痛くて
我慢できなかった。
二人には丁重に帰ってもらった。

写真の人物のことはまったくわからないままだったが、いくつかの
ことがわかった。

●ピンセットのジョーという気味の悪い男がいて、ピンセットの
 痛い使い方をするらしい。
●写真の人物は探さない方がいい、と脅された。
●どじょうひげことリーチーツゥは気が短い(なぜ怒ったのかは
 わからない)。

そして、
●なまずの小さいのがどじょうという訳ではない。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

そしてストーリーは進まない。




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GITANESの妄想もしまいには尽きる。
それとは無関係に・・・。

部屋でコロッケを食べたのはいいが、ちょっと買いすぎたようだ。
これを全て昼飯がわりに食べるのは無理だから、晩飯のおかずに
置いておこう。
残りのコロッケを茶色い紙袋から取り出した。
大体、コロッケの類を茶色い何の変哲もない紙袋へ入れられると
美味さ感は3割増しになると思っている。
普通の袋から取り出したコロッケの美味いこと!

ノックの音がした。星新一ではないが、ノックの音がしたのだ。
「はい?」
「いい匂いがしたものですから。」
「はい?」
ドアを開けると『年中タキシードを着ている男』が立っていた。
名前を「山田八郎」というらしい。本当はどうかは知らない。
偽名でもなんでも、ちゃんと家賃を遅れずに納めてもらえれば
それでいいのだ。
反対に身元がいくらしっかりした人でも家賃が遅れるやつは
追い出すしかないのである。
山田「いい匂いが二階まで漂ってきたんですよ。」
私「噓でしょ?」
山田「ええ、嘘です。紙袋を持って帰ってこられたのが
見えたので。あ、コロッケかと。」
嘘つきでもなんでもいい。家賃をちゃんと(略)。

私「食べます?」
山田「もちろん。」
私「ひとつあげますけど約束してください。決してここで歌わない。」
山田「むぅ・・・難しい注文ですが頑張ります。」

『揚げ物屋』の店頭では、かなり耳を澄まさないと聴こえない
程度の音量で「揚げ物屋」のテーマ曲が延々とリピート再生
されている。なにやらコロッケの歌らしい。
コロッケを食べた客のひとりが感激してすぐに曲にして
揚げ物屋に献上したらしいのだが、実はその曲を作ったのが
この山田八郎氏だとのことだ。
以前コロッケをひとつおすそ分けしたとき、目の前で朗々と
その曲を歌われて苦労した。
自称声楽家。そして作詞作曲もやるとのこと。
もうなんでもいい。家賃をちゃんとくれてるのだからほかのこと
はどうでもいいのだ。何度も言うが。

私「山田さん、この写真の人知りません?」
山田「今コロッケを食べることに集中させてください。」
私「すみません・・・」

ちなみに、彼が作ったコロッケをたたえる歌は
これらしい。
 ↓



そしてやはり人探しは進まないのである。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


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GITANESの短さが短い妄想を呼ぶ。
それとは無関係に・・・。

富士山五合目駐車場までPを追いかけるのは即座に諦めた私は、
図書館で本を読む気分でもないのですぐにそこを出た。
年末だというのに暖かく、どうも調子が狂う。
この陽気だと、わがボロアパートの室内よりも戸外の方が
暖かいのではないだろうか。

まっすぐアパートに帰らず、左に折れて商店街へ向かう。
「揚げ物屋」のコロッケを何個か買い込み昼飯の代わりにしよう。
小さいながらもなかなか充実したその商店街を私は気に入っている。
大きいスーパーと、併設のショッピングモールも近くに
あるが、どうも広すぎていけない。
あのショッピングモールじゃあコロッケを買うためにどれだけ
歩かされることか。歩くのは嫌いではないが、歩かされるのは
大嫌いなのである。

「あ、オーヤさん、コンチハ。」
入居者の一人、怪しげな西洋人ジャック・ハリスンが
寝具屋の中から声をかけてきた。
「あ、ジャックさん。布団買うの?」
「イヤイヤ、びじねすダヨ。コノ店ワタシノお客サマ。」
「何の?」
「ダカラびじねすヨ。」
といいつつジャックはウィンクをしたつもりだろうが、
両目をつぶってしまうからウィンクにはなっていなかった。
器用そうで不器用な西洋人だ。
どんなビジネスをしているのか詮索するのは今日も諦めた。
もうずっと怪しげジャックでいいではないか。
「マタころっけ買ウんダロ?」
「買うよ。」
「急ガナイト、交雑牛ころっけナクナルヨ!」
片言のくせに「交雑牛」という言葉は知っているらしい。
もちろんそんな商品名で売られてはいないが、和牛とかなんとか
こだわりの表示がないんだから「アレハ交雑牛ヨ!キット!」
とジャックは言い張る。きっと交雑牛という呼び方が気に入って
るんだろう。「最初は乱交シテル牛かと思ッタヨ!」
とそこそこ大きな声で言っていた。
たしかに、夜が乱れていそうな表現ではあるが
そんな訳ないだろう。
「ジャック一応訊くが、この写真の人物知らない?」
「ン・・・知ラナイね。コノ女子ガ交雑シテルノカ?」
訊いて損した。
「じゃあまた。」


「何でも売ってる店」の店頭にぶら下がったスリッパが気になる。
通り過ぎたのをわざわざちょっと引き返し、そのスリッパ270円
を買った。右が緑、左がオレンジのスリッパは製作意図が
まったくわからないものの、何か惹かれるものがあったのだ。

帰宅後
どうしてそのスリッパに惹かれたのか改めて考えたのだが、
皆目わからず仕舞いで諦めた。
牛コロッケはやっぱり美味かったが蟹クリームコロッケには
もちろん蟹の肉などはいっておらず、おまけに蟹の味も匂いも
しなかった。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
なかなか物語はすすまないのである。





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GITANESの匂いが妄想を誘う。
それとは無関係に・・・。


ちょうど約束の時間に図書館に着いた。
すでにタウン誌担当Pは出入口付近のソファに座り、スマホを
弄っていた。
私「よう。」
P「あ、こんにちは。時間通りですね。」
私「家から近いからね。」
後でこのPにも、写真の人物について尋ねてみよう。

P「あ、ちょっと失礼。」
Pは電話に出た。とにかく一年中一日中電話を触っているので
電話があった場合もとにかく応答が早い。そしてまた、とにかく
かかってくる電話が多い人物でもある。
P「あ、そうそう。あの---そう。ハシビロ。ハシビロ。
えっ?違うそっちじゃない。ハシビロ。そう。クルマね。
ハシビロコウ。いや、違うよ。ハシビロコウは鳥だろ?
ハシビロコウに似たクルマだよ。それを探すんだよ。そう、
え?違うって。ハシビロコウ探すんだったら動物園にいるだろ。
誰だよミハシミチヤって。」
いつものように支離滅裂な電話のやり取りっだ。
P「ああごめんなさい。失礼しました。あ、これ先々月の些少です。」
私「いくらギャラが些少だからって、些少って直接呼ぶのは
どうかと思うよ。」
P「だって、些少ですからね。ほんと申し訳ないです。」
私「で、次何か仕事ある?」
P「ありますよ。けど、どうしようかなあ・・・。先々月の
グルメサーチのさくら投稿ねえ。あの感じじゃちょっと困るん
ですよねえ・・・」
私「なんで?ちょうどいい感じだったじゃない?」
P「本気で言ってます?うどん屋の評価で『コクがあるのに
キレがある』って、なんですかあれ?」
私「いや、なかなかコシがあってしっかりしてるなあと・・・」
P「うどんに『キレがある』って、なんですか?そんなに簡単に
切れたらだめでしょ?うどんなんだから。ビールの宣伝の
パクリだし・・・」
私「あ、そういうもんかね。」
P「お願いしますよもう・・・次はウチの雑誌で扱う葬儀屋の
キャッチコピーを作る仕事頼みたいんですよ。イメージアップ
するような。あ、ちょっと失礼。」
また着電だ。
P「はいはーい。  そうそう。セカンドだよ。先週ショート
だっただろ?はい。  よろしくねー。」
Pの電話の内容を詮索することはもうあきらめているので、
何が聞こえてきても気にならなくなってきた。

私「ちょっと聞きたいことがあって。」
P「何でも訊いてください。」
私「この写真なんだけど。この人。心当たりない?」
P「あ、Mさんだ。ちょっと失礼、電話・・・はいはーい?」
さすが顔が広いP。ここにも写真の人物を知る人間がいた訳だ。
よかった。幸いPを逮捕にくる警察もいないようだし、じっくり
訊くとしよう。
P「え!!マジ?!そっち?!そっち似?!いやいやいやいや!
あり得ない!!とりあえずそっち行くわ!五合目駐車場ね!
わかった!!」
Pが慌ただしく上着を着て、いくつかの道具を乱暴にカバンに
入れ始めた。
私「ちょっと!ちょっとこの写真の、」
P「あ、それね、Mさん!間違いない!じゃあちょっと緊急事態
なので!」
私「いやいや!このMさん?そのMさんが、」
P「急ぐので!また電話かメール入れます!じゃ!」
脱兎のごとく駆け出すP。
私「いやちょっと!Mさんって誰?!」
振り向かないP。
私「ちょっと!!!ハシビロコウに似たクルマって、何ーー!」
図書館のロビーの反響にちょっと驚いたが、それどころではない。
一瞬追いかけようとしたが、五合目駐車場まで連れていかれるのも
面倒くさい。

Pを目で追いながら素早くスマホで「五合目駐車場」を検索したが、
案の定ヒット上位は富士山五合目だった。
高所恐怖症の私には、五合目駐車場はあまりにもハードルが
高かった。

という次第で、掴みかけた写真の人物のしっぽは、スルリと
手から抜けた。
ついでに、ハシビロコウに似たクルマで検索したが何も
ヒットしなかった。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
続かんぞ。









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GITANESの妄想は止まらない。
それとは無関係に・・・。







こんな絵をアップするということは
早くもストーリーに行き詰ったという証拠である。


アパートの前方隅にゴミ箱があるが、「土曜日にとんぼの
イントロ部分を歌う男」がこれに自転車を追突させる癖が
あるので、ゴミ箱は一部割れている。
しかし、この「土曜日にとんぼのイントロ部分を歌う男」が
血のにじむような努力により、自転車に乗れるようになったのが
つい先月のことだから、アパートの住人は温かく見守っている。


とにかくアパートはこういう姿なのである。
名前は壁面にも書いているが
「レジデンス茶柱」という。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
続かないと思うよ。



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GITANESの匂いが妄想を呼ぶ。
それとは無関係に・・・。

Tが写真の人物と何か関わりがあるということだけはわかった。
しかしTの身柄は警察だし、多分Tの悪行がバレた上でのことなら
しばらくは出てこれないだろう。初犯かどうかもわからないが
数年は食らいこむことも考えられる。
刑務所に入ったとなったら面会することもできるんだろうが、
そもそもそこまでして「写真の人物」探しをするほどの義理は
誰に対してもないような気がしている。

一旦アパートに帰る。ドアの開閉がどうにも重い。ボロいアパート
だから仕方ないし、その上アパートの大家は自分自身だから
どこにも文句を言えないのだ。

T経由での捜索はしばらくできないとして、人探しの有効な手段は
思いつかなかった。こういう場合は下手な鉄砲を数撃つしかない。
この写真をコピーして、数人の知り合いに渡しておいて情報を
もらえるよう頼むしかない。
三回に一回は反応しないという骨董品レベルのスキャナプリンタで
写真を出力した。
あまり写りの良くない写真がさらに悪くなり、こりゃあ親兄弟でも
一見して誰かわからないのではあるまいかレベルになってしまったが
そんなもの気にしない。そもそも彼女がどこの誰かわからず仕舞い
でも、自分は一向に困らないのだ。

11時に人と会う約束がある。
小さい出版社の売れないタウン誌の担当Pと、アパートの近所にある
図書館で待ち合わせ。この雑誌では毎月何かしら記事を書いて
涙が出るほど安いギャラをもらっている。
自分では物書きになったつもりは全くないのだが、いくつかの雑誌
やネットのサイトで定期・不定期に何かを書いて少ない収入を
得ている。P曰く「それはもう立派な物書きですよ」とのことだから
そうなのかも知れない。だから、捕まったオクスリ売人のTが私を
「先生」と呼ぶのは間違いでもない。
その他、叔父から相続したボロアパートの家賃収入で生計を立てて
いる。部屋数も少ないしボロいからそう高額な家賃にも設定できない。
1Fは私の部屋の他に訳アリのデブ、訳アリ風の30台女性、
怪しげな西洋人が住む各部屋があり、2Fは怪しげなマッサージ店、
年中タキシードを着ている初老の男、ほかの連中が怪しすぎて
それほど怪しいと思わなくなったドジョウひげの男、
毎週土曜日にはずっと「とんぼ」のイントロ部分を歌っている男
の部屋になっている。もう慣れた。
家賃はとんでもなく安いが、これらの面子が一日も遅れず家賃を
持ってきてくれるので、まあよかったと思うようにしている。

部屋を出た。
とんぼが聞こえてきたから土曜日だと再確認できた。
歩いて10分の図書館へ向かう。
アパートへ帰ってきたと思われるドジョウひげと遭遇した。
「大家さん、どこ行くか?」
「ああ、図書館。」
「図書館行くか。あんなところ、本しかないのに。」
「そうだね。確かにそうだね。」
「まあ行てらしゃい」
大きい鉄鍋を両手にひとつずつ持ったドジョウひげは、まったく
ニコリともせずあっちに歩いて行った。
もう慣れた。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

続けるのか?


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GITANESの煙は妄想を催す。
それとは無関係に・・・。

T「『刑事一課のものだ』って言いぐさはねぇだろうがよぅ。」
目つき悪男「なんだと?」
T「フルネームを言えよぅ」
目つき悪造「言いたいことは署で聞いてやる」
目つきの悪い、刑事を名乗る男どもはTの腋に左右から手を差し入れ
強引に立たせて連れて行こうとした。

私「Tさん、この写真の、Mちゃんって、」
T「放せよぅ。まだコーヒー残ってるんだよぅ」
目つき悪夫「うるせー!来い!」
私「いや、Mちゃんって!」
T「あ、マスターコーヒー代!」
マスター「今度でいいよ!今度があったら!」
私「いや、Mちゃんって!」
T「違うよ!そのドアは押すんだよぅ!引いてどうするんだよぅ!」
目つき悪男「うるさい!わかってる!」
T「わかってねえじゃねーかよぅ!」
オカマバーのママ「うるさいわよ!寝てられないわよ!」
全員「いたのかよぅ?!」

嵐のように一行が去り、写真の人物の手がかりを連れて行った。
私「Tさん、何か引っ張られるようなことしたの?」
マスターがコーヒーカップを洗いながらこっちを見た。
マスター「知らなかったの?」
私「え?」
マスター「Tはオクスリの売人さんだよ。」
私「え?そうなの?」
マスター「知らずに付き合ってた?」
私「そもそも付き合いなんてないけど・・・。違法薬物?」
マスター「そりゃそうでしょ。合法なら薬店だもの。」
私「・・・。」
マスター「『膝だけじゃなくて全身に効く越谷生まれの
     グルコサ〇ン』ってキャッチフレーズでね。
     ネットでバンバン宣伝してた。そりゃ捕まるわな。」
私「・・・バカなの?」
マスター「賢くはないね。」


写真の人物探しがまったく進まないままだ。
オカマバーのママに会釈して、喫茶店を出た。


」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


続くのか?


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GITANESの煙は妄想を促す。
それとは無関係に・・・。


カウンターの一番奥に座って、Aに預けられた写真を見ていた。
30歳前後の女性が一人写っている。
今朝がたアパートを訪ねてきたAは、
「この写真の女、知らない?」とあいさつもそこそこに訊いてきた。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「いや、知らないな。誰?」
「お前、顔広いから知ってるかと思って。」
「誰でも知ってるわけないだろ。」
「知り合いに当たってみてくれない?お前、顔広いから。」
「お前な、先週も『この犬知らない?』って訊いてきたよな?」
「だって、顔広いじゃん。」
「いくら広いって、犬の世界に顔が利く訳じゃないと、」
「ま、犬はもういいから。その女知ってる奴当たってくれよ。」
言いたいことだけ言ってAは出て行った。
人のアパート訪ねるのに、ちょっと時間が早すぎないか。
もう一度寝るには中途半端だった。
嫌々ながら着替えをして歯を磨いた。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

写真を無理やり持たされたが、人探しなど経験がない。
どうしたらいいのか何のプランもないまま、いつもの
「怪奇堂喫茶アフタヌーン」へ行く。
ちなみにこの、怪奇堂喫茶アフタヌーンにはホラー的な要素が
まったくない。まったく普通の、どちらかと言えば明るい店内の、
流行っていない店である。
アフタヌーンという割には朝早くから営業している。
つまりいろいろ出鱈目である。

カウンターの一番奥に座り、「本日のコーヒー」を注文し
例の写真を見る。30歳前後の人当たりがよさそうな女性が
写っているばかりである。
ちなみに、「本日のコーヒー」はこの怪奇堂喫茶アフタヌーンが
2年前に開業して以来、ずっと同じコーヒーなのだが
店主曰く「ずっと同じなのはたまたまだ。」とのことである。

常連の、いつも酔ったような調子のTも店内にいた。
「よう、先生!調子は?」
Tはいつも俺を先生と呼ぶ。根拠はないらしい。
「やあ。」
Tが定位置のテーブルから自分のコーヒーを持ってカウンターに
移動してきた。来なくていいのに。

いつものようにやや酒臭いTは、この界隈では最も不躾な人間である。
「先生、朝早いねえ!どうしたの?」
「いやちょっと早くから起こされてね・・・」
「あ、そうなの?!いいことですよ!人間はさあ、早起きが
何銭か得って言うぜ!」
「言うかね?」
「言うよ!だってこの耳で聞いたんだぜ!」
「それが信用できないんだよな・・・」
「あれ、それなに?彼女の写真?先生やるなあ!」
さっと写真を裏向けたが、Tは酔っ払い業界で最も目ざとい人間
だったようである。
「いいや、違うよ。ちょっと人探しで・・・」
「見せてみなよ、知り合いかも知れねえし」
目つきの悪い二人組の男が入ってきた。
すぐに彼らは出入口付近のテーブルについた。

「見せてみなよ!俺は顔が広いんだぜ!」
できることならTとは絡みたくない。ロクなことにはならないような
気がするからだ。
「いやまあ、これはあんまり人に見せるのが・・・」
「だってその女、Mちゃんだろ?もうちょっとよく見せ、」
「知ってるのか?」
「ああ、多分Mちゃんだろ?ほらよく見せて・・・」

「お話し中申し訳ない。Tだな?」
目つきの悪い二人組がすぐそばに立っていた。そしてその背後に
5人増えていた。
「誰?」
「中央署刑事一課のものだ。ちょっと聞きたいことがある。」





という夢を見た。
続くか?







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