エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

県立博物館 くらしの器展を観る

2007-01-19 | 文芸
 ときどき博物館(福島県立博物館)を訪ねている。雪が数か所に山のように積まれていた。穏やかな冬の陽に雪がまぶしい。
 昨年秋から今週末までの展示【歴史・美術テーマ展】「くらしの器-鰊鉢から大皿まで」を見に行った。常設展示の一室に、本郷の「会津本郷焼資料展示室」には及ばないが、こじんまり会津の焼き物が集められていた。

おなじみのニシン鉢、漬物などを入れた切立、素朴な本郷の壺や鉢、貧乏徳利などの日用品である。日用雑器としての本郷焼きを思った。あまり見る機会のなかった染付絵皿は、呉須の青が鮮やかで興味が持てた。

 深閑とした人影のほとんどない館内を、折角の機会なので、原始時代から近世へ、その時代々々の人々の生活のすべてを十分すぎる時間をかけて観て歩いた。
 縄文土器や遺跡、仏像や古文書、そして近世のふるさとの産業等々、それぞれの歴史の中に人びとの精一杯の生活を思った。古墳時代の家族の生活、食事どきの会話はどんなであったろうか。戦争で流した血や涙は何だったのだろうか。
長い歴史の中の一つ一つの事実の前に、足が止まり、時が止まる。これら営々とした時間の流れの延長上に現代文明社会があることを、あらためて思った。
 休憩室の大きな窓から俗世間が垣間見える。雪の竹やぶ越しに、巡り来る感懐を心に止めながら、「人間とは」「人生とは」そんな問を反すうする。 
日々の生活に流され忘れかけていたさわやかな充実感に浸りながら、博物館をあとにした。