笹山浜近くのお気に入りの原野で 定点鑑賞
ハクチョウの北帰行が始まった
しばらく過ごした磐梯山を背に舞うコハクチョウたちはどんな思いだろうか。
崎川浜ではしばらく湖水に浮かぶハクチョウを見ていない。
今日も崎川浜には水鳥たちはいなかった。湖までの田でコハクチョウの集団を見た。
赤井から 崎川浜で
翁島まで足を延ばした。翁島の田には、コハクチョウたちが間もなく別れを惜しむように群れていた。
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昔の別れの感激を思い浮かべた。今その面影はなく残念だった。
以下は《同じ時期の、エッセイ》
2018年 愛おしハクチョウ 感動の湖水清々し
快晴の猪苗代湖・崎川浜に水鳥を訪ねた。
蒼い湖水に浮かぶ真白な会津嶺が、凛として神々しく聳え、静寂にコハクチョウの鳴き交う声が響いていた。
描いた数葉のスケッチに、感動を添えた。
『磐梯を讃える』 厳寒の大自然を前に 立ち尽くすしあわせ 凍える顔、手、指先
景色を構成するものわずか 雪の原、湖水、磐梯、水鳥、 松の緑 すべてうるわし すがすがし
対岸の山々 湖に浮かび コハクチョウ 列をなし 静かに流れる
大自然の使者よ お前たちは素晴らしい この静寂に しばしやすらぎ、遊べ 生きている喜びを 共にせん
全身に 豊かなる大自然 涙あふるる静寂 青き磐梯 うるわし ありがたし
感動に震えながら、どこまでも清らかな湖水を後にした。
2015年 水鳥の北帰行 別れ切なし
穏やかな春の陽に誘われて、すでに北帰行の始まった水鳥たちとの別れに猪苗代湖へ向かった。
長浜にはすでにコハクチョウの姿はなく、すっかり少なくなった水鳥たちが浜辺で憩っていた。
オナガガモより渡りが遅いのか、キンクロハジロやスズガモが目立ち、スマートなユリカモメも飛んでいた。
崎川浜へ回ると、未だ20羽くらいのコハクチョウが叫び合いながら漂っていた。
水草を食べているのだろう、さかんに潜って逆立ちをしていた。
誰もいない湖岸の砂浜に真っ白なコハクチョウの羽毛が風に揺れていた。
ふと、函館の浜辺に蟹とたわむれた啄木の心境が浮かんで、急に寂しくなった。
そして、大自然に一人佇むこのちっぽけな人生を思った。
しばし憩った猪苗代の水辺を離れ、いま北へ帰る純粋無垢な水鳥たちが愛おしくてならなかった。
大自然の使者よ、有り難う!お前たちに何度救われたことだろう。
湖に浮かぶ秀峰磐梯が眩しく輝き、感動の景色が広がっていた。
2014年 愛おしい水鳥と ほどなくお別れ
気温は氷点下だが、風も無く穏やかに晴れ渡った午後、久しぶりに雪の猪苗代湖畔の崎川浜に水鳥を訪ねた。
厳しかった冬ともほどなくお別れ、そこここに、春の息吹が感じられるこの時期は、北へ帰る水鳥たちとの別れの季節でもある。
湖水に近づくと、静寂に「コーウ コーウ」と鳴き交うコハクチョウの切ない声が聞こえてきた。
湖水に浮かぶ磐梯、透き通る水に淡い春の陽が揺らめき、数百羽のコハクチョウ、オナガガモが憩う。
この純粋無垢な大自然のいのちはあまりに清楚で美しかった。
こんなに美しい世界が何処にあるだろうか。
今、彼女たちは北へ帰るときを感じていた。
ときどき羽ばたきし、集団で飛び立っては旋回、着水を繰り返していた。
今年も切ない別れの季節を前に、美しく愛おしく清らかな彼女たちの姿、大自然のすばらしさに震えた。
厳寒に眺める磐梯は、今日も筆舌に尽くしがたく麗しかった。
2013年 大自然に生かされる幸せ
冬晴れの朝、猪苗代の崎川浜に水鳥たちを訪ねた。
凍てつく寒気にひとり立ち、どこまでも清らかな湖水、そこに憩う汚れなき水鳥たちを見つめていると、心からの感動を覚えた。
コハクチョウやオナガガモが厳寒の湖水に漂い、あるいは湖岸の雪に横たわり叫び合っていた。
彼女たちは何を思い何を語らうのか。
紺碧の湖水に浮かぶ凛々しい磐梯を仰ぎ、この美しい純真ないのちと一緒に生かされている一個の人間を思うと、涙があふれた。
また、この日初めて蜃気楼を見ることが出来た。
遠く湖南の雪の山並みと紺碧の湖水の境界に見えた揺らぎは、確かに蜃気楼に違いなかった。
この山紫水明の大自然に、また不思議な勇気をもらうことが出来た。
今年も自然を友にして心を遊ばせ、生かされている幸せに感謝しながら過ごしたいと思っている。
水鳥たちの北帰行までには、孫たちにもこの感動を味わって欲しいと思っている。
2012年 初めて出会った金色のコハクチョウ
今年も、厳しい冬を越した水鳥たちの北帰行も終わりに近づいた。
先日、お別れに猪苗代湖を訪ねた折りに、なんと金色のコハクチョウに出会った。数十年も観察しているが初めてだった。
その日は3.11、波間にただよい輝く黄金の使者が、なにか大震災の復興の兆しにも思えて嬉しくなった。
その後、ネットの画像掲示板で尋ねるとすぐにコメントが届いた。
夢を壊すようで申し訳ないですが、と前置きがあり、鉄分が多い水が流れ込んでいる田んぼや池などで採食していて、色が染みついたのではないかと。
納得のいく回答に、謎が解けたと思った。
首を突っ込み、逆立ちをして浅瀬の水草を探す姿や、豪快にしぶきを上げて湖水を飛び立つコハクチョウに慰められた。
いつも沢山の感動を貰っている純粋無垢な水鳥たちの無事の北帰行を祈った。
”しらとりはかなしからずや海の青 空の青にも染まずただよう”
別れはいつも切なくかなしいものだ。
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