エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

「生きるとは?」「人間の可能性とは?」

2010-05-31 | 健康
   国際的な免疫学者の多田富雄さんが、先月21日、76歳で亡くなった。
 昨日、NHKアーカイブスで、2005年12月4日放送のNHKスペシャル「脳梗塞からの再生 免疫学者・多田富雄の闘い」を視聴した。

 多田さんは2001年脳梗塞に倒れ、一夜にして右半身不随となり、言葉と身体の自由を失った。
一時は自殺も考えたが、病気を受容し、科学者の目で自分の体の変化を客観的に観察し続けた。
脳を冒されても、身体は不自由だが知的な脳は明晰でいつも創造的だった。
そして「生きるとは?」「人間の可能性とは?」のメッセージは心に響くものであった。
 
 映像を見ながら、自分自身の4か月の闘病、その間に考えたこと、リハビリの思い出などがよみがえってきた。
そして、折角九死に得た一生なれば、もっと実り多い日々でありたかったとの反省ももたげてきた。
 今身体の自由と健康を取り戻した自分は、多田さんの抱えた後遺症には比べようもない幸せな日々だが、
反面、生かされて早6年間余、これでよかったかとの反省も大きい。

 多田さんは「体が動かなくても、言葉がしゃべれなくても、私の生命活動は日々創造的である」、
「何もかも失った。それを突き詰めると、何かが見える」という。何と強い心か。

 確かに自分が大病して失くし、そこから得たことは沢山あったが、天才学者のこの境遇での生き方に触れるとき、もっともっと大事なことがあるような気がしてきた。
 まずは、今日一日を大切にしながら、もう一度、もっともっと大事なことを考えて見たい。
 



さみどり光る 山間の棚田

2010-05-30 | 自然観察
              ハラビロトンボ 未成熟♂


 数日前の新聞「福島民報」のエッセイに、一つの短歌が添えられていた。

 空を鳥を抱きこみたる田の水に
    時間の苗のさみどり光る ”  
晶子

 与謝野晶子の歌であれば、心して味わったが、「時間の」とは何だろうか。何か哲学的な意味合いがあるのだろうかなどと考えた。
でも、『時間』は「とき」で、ただ今の素晴らしい情景を詠んだものと思うことにした。

 しばらく続いた雨も上がり、ときどきぼんやりした影を作る程の明るい曇り空になった。
我が家から2、3キロ、近くの幹線道路をさけて、山際の道を入ると、そこには、まさに晶子の詠った「さみどりに光る苗」が静かに揺れる田があった。
 山間に段々に連なる小さな田には、すべてを抱きこんでくれるように緑の木々、薄日の射し始めた空、木に巻きついて垂れ下がるフジの花が映っていた。
 田に注ぎ、田から流れ出る水音だけが響いていた。ここにも至福の空間があった。



 今年は休田するのだろうか、水の入らない田の草の原が広がっていた。そこは一面オオジシバリの黄色で、ところどころにムラサキサギゴケと思われる紫色の群落とハルジョオンの白がきれいな世界だった。ひと株だけ、ピンクの濃い珍しいハルジョオンが目立って咲いていた。







 べニシジミが乱舞し、ウスバシロチョウがたおやかに舞っていた。そして、踏み入った足元から、突然飛び立ったハラビロトンボを今年の初めて見ることができた。まだ成熟していない黒っぽい♂で、あの青いひたい部分が実にさわやかな初夏を告げてくれた。





 また、今年初めてエゾイトトンボの♂、♀を見ることができた。いよいよトンボの季節の到来だ。
(2010.5.29)


エゾイトトンボ♂

エゾイトトンボ♀




肌寒い一日

2010-05-28 | 日々の生活



 萌香ちゃんは幼稚園の親子遠足、ママが勤めを休んだので朝からご機嫌だった。
 バスで坂下の鶴沼公園まで、あいにくの曇り空で、肌寒い一日だった。
 若松の気温は13度までしか上がらず、寒くて炬燵には電気を入れていた。

  数日前につぼみを確認したホウノキがいつの間にかおおきな花を開いていた。
 ボタンやシャクナゲが終わり、ピンク、白、紫のオダマキが咲き始めた。
 サツキも色とりどりに咲いた。道端のマーガレットもきれいだ。

八重の白オダマキ

 キレンゲツツジ

  八重のサツキ

 最近、あちこちから季節の山菜をいただく。
これから夕食、久々に温かいうどんだそうだが、昨日届いたタケノコ、ウドの煮物、ワラビが食卓に並んだ。
 数日前には、蕗の煮物、タラノメやウドのてんぷらと、お酒が一段とおいしい季節だ。
 タケノコは孟宗で、ニシン、人参、コンニャクが入っている。お先にちびりちびりやりはじめるところ。
 また、昨日は従姉弟から、今年のゼンマイの完成品をいただいた。
 そのうちジダケが届くとほとんどの山菜をいただいたことになる。有難いことだ。



ニホンカワトンボを初見

2010-05-26 | 昆虫
                  ニホンカワトンボ ♂

 久々に雨の上がった里山へ行った。
 例年より2週間遅れで、沢山のウスバシロチョウがたおやかに舞っていた。
 木漏れ日がさわやかな雑木林を歩いた。ところどころにフジの花が垂れ下がり、足元には青いホタルカズラがさわやかに咲いていた。

 
 羽化してのウスバシロチョウ


かわいいホタルカズラ

 このあたりの、山沿いを流れていた小川が、昨年秋口からの大工事でコンクリートの用水路に変わった。小川を囲む、雑木林がかなり倒され、かなり奥の方まで林道ができていた。どうも、この先は市で開発している丘陵の工業団地へつながっているような気がした。
ここはよくクワガタがいたり、キチョウやオニヤンマがいつも印象に残るポイントだったが、多くの虫たちにとって打撃だろう。これも自然環境の破壊だ。
 流水性のトンボ類が心配だったが、ヒラヒラとカワトンボが飛んできた。金緑色の胴体
が輝いて美しい。なかなか警戒心が強く近づけなかった。
これまでカワトンボと思っていたが、福島県ではニホンカワトンボだけが分布するようだ。
サイト「日本産トンボ標本箱」 【http://www.odonata.jp/03imago/Calopterygidae/index.html】には、カワトンボについて
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カワトンボ属のニホンカワトンボについては,前縁部から翅室4~5列程度の不透明斑を持つ橙色翅型♂(カワトンボで翅室2列程度の不透明斑を持つ橙色型♂がある)
および橙色のはっきりした淡橙色翅型♀は,翅の特徴で他種と区別できる.
また東北地方と北海道にはカワトンボが分布しないので,この地域の橙色翅型♂および透明翅型の♂♀はニホンカワトンボとしてよいであろう.
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最近のDNAの塩基配列の解析結果と名前の混同を避けるため2007年に呼び名が変って、
ニシカワトンボが、「カワトンボ」に種名変更され、オオカワトンボとヒガシカワトンボがニホンカワトンボと呼ばれることになったそうだ。

まだイトトンボ類を見ない。いよいよトンボの発生する時期を迎えた。
(2010.5.25)

 ニホンカワトンボ♀?

 カラスノエンドウにキアゲハ


 ツバメシジミ

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雨の日に 徒然なるままに

2010-05-24 | 日々の生活

 何日ぶりの雨降りだろうか。多少肌寒かったが、終日、網戸越しに雨の庭を眺めながら過ごした。
マッサージチェアに横たわり毛布を膝にかけ、本棚から選んできた適当な本を斜め読みした。
南からの風雨が揺らす緑の木々をぼんやりと眺めていた。

 パン屑をちぎって庭に撒くと、すぐにヒヨドリが飛んでくる。
 ”ヒヨドリと眼が合い心通じ合い
実に可愛いものだ。

 満開の白のキリシマツツジが清楚に見える。
ミヤコワスレの紫色も今日の雨にとても似合っていた。また、紫の桐の花が地面に沢山落ちて雨にぬれていた。


 エビネも咲きだした。


 雨に打たれるヒメウツギ


 雨に似合うミヤコワスレ

 
 燃える赤ツツジ

 ようやく萌え始めたサルスベリの若葉が赤い。
見回すとトウカエデや豊後梅の梢の新芽もほのかに赤っぽい。


  芽ぶいたサルスベリ

 ついこの前まで萌黄色とは、萌木色と勝手に判断していた。そして、淡い多少赤みがかった薄緑色の春の野山を想像していた。

Wikipediaには「萌黄(もえぎ、萌葱)とは鮮やかな黄緑色系統の色。春に萌え出る草の芽をあらわす色」とあった。
また、サイト「日本伝統色名」には、「萌え出た若葉のような、冴えた黄緑色を言う。萌木とも書き、若草色とも呼ばれる。」と。
 茜色、紅色、桜色、山吹色、紅梅色、萌葱色と、日本人の文化の歴史や生活が反映された伝統的な和色名に、あらためて興味を抱いた。
 ふと、志村ふくみの『一色一生』を思い浮かべ、本棚を探した。

 雨の日は、山里の虫たち観察の誘惑にかられることなく、落ち着いた時間が流れるのが常だ。
他愛もないことを思いめぐらしながら、今日もゆったりとときが流れていった。


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ヒメクロオトシブミのゆりかご

2010-05-23 | 昆虫
             揺りかごを作り終えた偉大なオトシブミ

   
毎年この時期、バラの新芽でヒメクロオトシブミがゆりかごを作っている。
今日もせっせと巻いていて、すでにいくつものゆりかごが巻かれていた。
ファーブル先生が観察したように、じっくりゆりかごを作る様子を観察することにした。

ヒメクロオトシブミは黒色の体長5ミリほどの小さなオトシブミ。
かわいい虫だが、折り紙名人、頭の中はどうなっているのだろう。
 柔らかい葉の付け根から少し離れたところに、真ん中の葉脈を残して、左右に切れ込みをいれていた。



しばらくすると、水分が送られなくなりしんなりしてきた葉が、葉脈を折り目にして表を内側にしてだんだん重なってきた。



 オトシブミは先端に移動して、葉の裏側をふちに沿って移動した。
何か葉脈に口で傷をつけているようだった。たぶん後からの作業のためだろう。



そして、先端から葉を巻き始めた。足6本で葉を巧みに挟みながら丸め始めた。
葉のふちの方をときどき閉じるようにしながら、上手に巻いて行った。
さっきの葉の縁に沿った行動が下準備だったと思われた。
巻いた葉は、巻き戻らない訳がここにあると思われた。先を見越しての能力に脱帽だ。





 約2時間かかって巻きあげた。ときどき休みながらのポーズは、あのちっちゃい頭で手順を考えていたのだろうか。
 その間、観察する老人は、近くは裸眼でないと見えず、カメラのピントを合わせにはメガネが必要、
メガネを外したりかけたりと、実に煩わしかった。
 それ以上に、この小さな虫が、一生懸命に子孫を残す姿がけなげに、素晴らしく思えた。

 観察中に、卵を産む様子は観察できなかった。まさかカムフラージュはあるまいが中の卵を確認したいと思った。
かわいそうだったが、すでに出来上がっちたゆりかごをピンセットでほぐしてみると、小さな楕円形の黄色い卵が一つ転がって出てきた。
ファーブルの観察では、先端からすこし巻いたところに穴をあけて産卵しているらしい。観察が甘かったのだ。



 初めてゆりかごを作りを観察できた。
ヒメクロオトシブミを観察する老いた身と、自分の幼い日の心弾む思いとがひとつになった。

 ふと薔薇の枝を見ていて、もう一つガの幼虫の擬態を見つけた。
頭はちょうど芽を伸ばし始めた新芽のようで、ところどころに赤いバラの棘にそっくりな形には驚かされた。
 自然の摂理は素晴らしい。これからも、畏敬の念を忘れずに感動をもらいながら虫たちの命を見つめて行きたい。


蛾の幼虫の擬態

 


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ウスバシロチョウとの再会

2010-05-22 | 昆虫
  
朝のうちに、ヒマラヤシーダの枝を払った。梯子をかけ、剪定ばさみとのこぎりを使って大がかりの作業だった。
樹齢40年、今は亡き伯父の庭から移植して30年になる。

一仕事終え、ばーちゃんが掃除洗濯の間に孫たちと短大へ、サイクリングとキャッチボールでしばし遊んだ。

 ママが帰る前にと、急にウスバシロチョウに会いたくなった。
昼までの1時間、孫たちを連れ、ばーちゃんも一緒に滝沢峠へ。我が家から4,5キロ、毎年訪ねるウスバシロチョウのポイントだ。
 昨年と比べ10日遅れ、今日、ようやくウスバシロチョウを初見することができた。
 そのうち我が家の庭にも訪れるだろう。


  初めてのウスバシロチョウ

  

 日の射す林の間を、待ちに待ったウスバシロチョウがたおやかに舞っていた。
いつもは、満開のセイヨウカラシナかサワオグルマの花に来るが、今日はなぜかなかなかなかなか止まってくれなかった。
蛹を脱ぎ捨てて、今、誕生した喜びを高らかに謳っている。何年も繰り返される光景が嬉しかった。ウスバシロチョウは何とも言えず好きなチョウだ。
 ツマキチョウも飛び始め、セイヨウカラシナに吸蜜し、ゆっくり撮影させてくれた。
孫たちも日蔭の林で遊んでいたが、じきに飽きてしまい、お昼も近かったので家に戻った。


 ツマキチョウ♂

 
 ツマキチョウ♀

 いい天気も、予報では今日までらしい、3時過ぎに、いつもの磐梯山麓へ出かけた。
 今日も、静かな山里で平和な営みがあった。幾年もひっそりと永久に繰り返されてきたことだろう。
 柳の木の根元に、オオズメバチが幹に穴をあけると、甘い樹液がチョウを誘う。
 越冬して子孫を残し、疲れたひと時の羽を休めているルリタテハ、シータテハ。
 yのように敏捷に追いかけっこをするタテハの横を、ヒメシロチョウがひらひらと弱弱しく舞っていた。
カラスノエンドウにはツバメシジミがさわやかな空の色を見せていた。
野生のツrニチニチソウにオナガアゲハが止まった。
 夕闇せまる磐梯山麓の幸せの空間に、時間を忘れていた。





  ルリタテハ

 
  シータテハ


オナガアゲハ♀


 ヤマキマダラヒカゲ

 
  ツバメシジミ♂

 
  モンキチョウ♂

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 初夏のいのち

2010-05-20 | 自然観察
   
 午前中は晴れていたが、夕方から雨降りとなった。
今日の庭の一こまを貼ってみた。

・スジグロシロチョウがきれに咲き続けるカネノナルキ(秋に、種が銀色の小判のように実る。ハナダイコンに似ている)に産卵していた。
 産卵を終えると、紫の花から花へ、蜜を吸っていた。
 薄黄色の後翅に黒い筋が新鮮で、紫の花びら、緑の葉とのコントラストが素晴らしい。
・ホシミスジかコミスジがスイスイと高いところを舞っているのを見た。
・トラフシジミが、散り始めたハクモクレンの花びらに止まり、吸水していた。
・また、クマバチが羽音を立てながらテリトリーをホバリングし、ときどきドウダンの花に忙しく蜜を求めていた。
・バラの柔らかい葉は、もうオトシブミが文を巻きあげているではないか。横に疲れた表情で首をかしげていた。

  トラフシジミ

  クマバチ


 オトシブミの揺りかご
 
 オトシブミ

・初夏の庭、スズランやマイズルソウが咲き始め、ギボウシも花穂をもたげてきた。
・ツルニチニチソウの紫色の花が一斉に咲き、可憐で趣きがあるものだ。
普段はあちこちに勢力を伸ばしすぎてひっこ抜いたりしているが、こうして咲いているところは見事だ。
・シャクナゲも豪華に開いたが、つぼみの時の濃い赤色はどこへ行ってしまったのだろう。

 スズラン

  ツルニチニチソウ

  シャクナゲ

 目に映る、移ろう緑の季節を楽しんでいる。緑はなんと目にやわらかだろうか。
何を考えるでもなく、新緑の庭に時が静かに流れていく。そして、このときは、すぐに過ぎてしまう。
 幸せな時にはいつもつぶやいている。
時よ止まれ、君は美しい。
 そして、美しい時はすぐに過ぎてゆく
。」と。
(20010.5.19)


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小さな命の名前

2010-05-19 | 教育を考える
              庭に桐の花が落ちていた。
              見上げると、ヒヨドリが枝に止まっていた。

   
身近な小さな命の名前を知ることは、日々の生活を豊かにすると思う。
そんな思いで、身近な草花をスケッチさせる授業をしたこともあった。自作教材で展開した『環境科学』の1テーマだった。
何より五感により自然に触れること、そしてその体験的観察から自然へ関心を高めたいと思った。
小さいころからの自然とのふれあい体験が、やがて自然保護の思想につながると信じていた。
教える高校生は、ほとんどの緑の名前を知らなかった。大きくなった我が子もしかり、大人もおおむね似たようなものだと思う。
 身近な小さな自然を入口にして、自然への正しい認識が生まれるはずなのだが・・・。

 雑草にも立派な名前がある。名前を知り、挨拶を交わし、分からないことも聞くことができるようになる。
 自分自身、自然に畏敬の念を抱きながら、草木、樹木、さらにチョウやトンボ、甲虫など、日々出会う小さな命との対話を続けていきたい。


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逆さ磐梯

2010-05-18 | 自然観察
                 逆さ磐梯



今朝4時半,2Fの窓から黎明の麗しの磐梯を撮った。
快晴より、雲が浮かぶ朝ぼらけは風情があっていい。
数時間後に一点の雲もなく晴れ渡った。


  【黎明の磐梯】

猪苗代の三城潟の田んぼまで車を走らせた。風も穏やかだったので、代掻きの済んだ水がはられた田んぼに、逆さ磐梯を撮りに行った。
雄大な表磐梯は、ここが一番いい眺めだ。田の隣は野口英世の通った翁島小学校だ。
この時期、英世も同じ雄大な磐梯山を仰ぎ見ていたことだろうと想像した。

午後,用事もあったので強清水の丘陵を覗いて家に戻った。
ミヤマセセリがサクラの花に蜜を吸っていた。ほとんど早春の山道で見ていたので、珍しい光景だった。

 
 【蜜を吸うミヤマセセリ】

か弱く飛ぶイトトンボを撮った。これから調べないと同定できない。



また、山道にニワハンミョウが一定距離を保ちながら道案内をしてくれた。近寄り、寝転んで何とか写真に収めた。

 
  【ニワハンミョウ】

 午後、庭の花を撮った。あすブログに記録を残そう。



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夕方の里山にも輝くいのち

2010-05-16 | 昆虫


朝から春の暖かい陽気に、時間を忘れて庭のかたずけ、混んだ木々の剪定をした。
 午後、何となく疲れが出て、昼食を済ませのんびりして過ごした。
 
 3時を回って、風も穏やかになったので、里山へ出かけた。例年この時期に現れるホソミオツネントンボの鮮やかな空色を見たいと思い立ったのだ。今年は時期がだいぶ遅れ、今か今かと待っていたのだ。
 多少体調も心配だと、妻も付いていくという。日曜日で、夕飯の心配はいらない、娘にお願いすることにしたらしい。。

ポイントへ行くと、付近は田植えの真っ最中だった。田植え中の田んぼに、ちょうど逆さ磐梯を見ることができた。
すでに午後4時に近かく、山の端が陰りはじめていた。でも、気温も高く、西日の当る枯れ草の土手に、オツネントンボがいっぱいいた。近づくと舞い上がり、すぐに止まるオツネントンボをクローズアップレンズで、近づいて撮った。
一頭、珍しいオツネントンボに出会った。レンズを通して見る胸の模様が違っていた。
そのトンボは、別の種類ではないかと思われるほどで、オツネントンボに特有の胸部側面の横筋がなかった。何かうろこ状の金属片をはり合わせたような模様だった。また、はねの先端付近にある縁紋は、前翅・後翅で重ならず前後に並ぶオツネントンボの特徴だったが、腹節の紋様はつながっていないようだった。そして色から、ホソミオツネントンボでもなかった。
オツネンは「越年」から来ている。成虫で越冬するトンボは、オツネントンボ、ホソミオツネントンボ、ホソミイトトンボの3種がある。
オツネントンボは雄も雌も地味な褐色で色が変化することはない。早春のまだ緑の萌えない茶褐色の原野の保護色になっているからだろう。長い冬を耐え、これから、交尾、産卵し役目を終えるオツネントンボを何枚も写した。

オツネントンボ

  異常なオツネントンボ?

  胸部の模様拡大


 (参考) ホソミオツネントンボ(2009.5.9撮)

畔に寝転びながらの撮影中、妻は付近で出始めていたワラビを一つかみ採った。自分で採るワラビは今年初めてだった。蕗もひとつかみ採った。伸びきった蕗の薹の綿毛が何とも言えずきれいだった。
近くのサワオグルマにはべニシジミやトラフシジミが蜜を吸いに訪れていた。

  蕗の薹の綿毛

 ベニシジミ

 トラフシジミ

 ハナムグリ

 帰りに、別のポイントに回り、少し増えてきたヒメシロチョウを観察した。ヒメシロチョウは激減していると言われるが、食草のツルフジバカマが少ないのではと思っていた。後で調べるとカラスノエンドウも食べるようで、大丈夫ではないかと思ったりした。







 越冬したルリタテハが、ようやく訪れた春の陽を楽しむように飛んでいた。同じところを仲間と追いかけっこしたり、夕日をいっぱい浴びながら止まったりしていた。
 越冬した羽は痛んでいたが、あの瑠璃色はまだまだ新鮮に輝いてこの上なく美しかった。







 帰りに、リンゴ園の前を通るとリンゴの花が満開だった。



 夕方の1時間30分の山里巡りは、これ以上ないリッチな時間だった。
これからの季節、こんなリッチな生活が続くだろうが、こんなことをしていていいのだろうか。

  (20010.5.16)




小学校の大運動会

2010-05-16 | 日々の生活
   

 朝6時、曇天の空に運動会実施を知らせる花火が上がった。6時前後の2,3分の間に、遠く、近く何発もの音が響いた。市内の小学校は、ほとんどが春の運動会だ。
 武琉君は明るい緑のスクールカラーのジャージで手ぶらでの平常登校だった。
 少し遅れて、家族総出で、敷物や薄い毛布、飲み物など持参で応援に出かけた。
 ニコニコし始めたが、肌寒く、暖かくして出かけていった。爺も時間を見計らい、カメラを持って自転車で出かけた。土曜日、街は寒さの中にひっそりしていたが、小学校周辺だけがにぎやかにマーチが響き、万国旗が風に揺れていた。
 児童は、赤、白、青、黄色チームの地区別編成で、応援合戦が繰り広げられていた。
 グランドを取り巻く家族の応援席も地区ごとに分けられ、それぞれに子どもたちの成長を見つめていた。
 途中2,30分ほどあいにくの雨に降られたが、その後はさわやかな日差しに恵まれた。
 武琉くん、50メートル走は2着、一生懸命の走りを望遠で写真に収めた。



 子どもたち3人が小学校の頃、このグランドでお弁当を広げ、家族でくつろいだ在りし日の思い出がよみがえってきた。来年は、萌ちゃんも1年生だ。 
(2010.5.15)
 

今朝触れた 青春の心

2010-05-14 | 文芸
             【建立された歌碑 ネットより】

   今朝早朝のラジオで、盛岡の視聴者からの話題報告を聞いた。
JR盛岡と花巻の間の日詰駅の駅前に賢治の歌碑が建ったという話だった。

  さくらばな 日詰の驛のさくらばな
      かぜに高鳴り こころみだれぬ
 ”

宮沢賢治が1917年賢治21歳、日詰出身の初恋の女性を訪ね、駅に降り立ったときに詠んだ歌だそうだ。
ネットで調べてみた。
 18歳盛岡中学を卒業後、蓄膿症を患い岩手病院に入院。そのとき、看護婦の高橋ミネさんに恋をしたが、父に反対され失恋した。
賢治は後年、この成就されなかった恋の経緯をうたっている。
******************* 
 桐の木に青き花咲き/ 雲はいま 夏型をなす
 熱疾みし身はあたらしく/ きみをもふこころはくるし
 父母のゆるさぬもゆゑ/ きみわれと 年も同じく/
 ともに尚 はたちにみたず/ われはなほ なすこと多く/
 きみが辺は 八雲のかなた
 わが父は わが病ごと/ 二たびの いたつきを得ぬ/
 火のごとくきみをおもへど/ わが父にそむきかねたり
 はるばるときみをのぞめば/ 桐の花 むらさきにもえ/
 夏の雲 遠くながるゝ     」
**********************
この初恋のほのぼのした恋心を知り、あの堅物な、詩人、童話作家、農業指導家、地質学者、哲学者である賢治の別の一面を見る思いがした。

今朝も目覚めが早かった。4時過ぎに起きで朝刊を広げた。
朝日の「文化」欄で「伊東静雄 恋多き青春日記」という記事が目に入った。
 『我は今日以下のことを天同盟わん。強気力を以て。・・・・我は詩人なり」-詩集『わが人に与ふる哀歌』で知られる詩人とあった。初めて聞く詩人だった。
彼が「見せないで」と弟に託したノート5冊から、長女が刊行したという。ノートの表紙には『詩へのかどで』とあった。解説には近代抒情詩を代表する才能が刻んだ『若い詩人の肖像』が、生々しくよみがえる、とある。

 早朝に触れた2つの話題に、同じ時代に生きた、苦しみながら過ごした青春の心を思った。そして、生きていることの素晴らしさを痛感した。
わずか37歳で逝ってしまった賢治の人生をもう一度巡らしたいと思った。
また、知らなかった伊東静雄について作品に触れて見たいと思っている。 




旬のおひたし

2010-05-13 | 日々の生活


ウコギご飯を炊いた。いずれも、我が家の庭にある若葉を摘んでお浸しにした。
 旬のお浸しの材料はウコギ、ハナイカダ、クコだ。
 お隣から頂いたコゴミも食卓にのった。ゼンマイ煮も、ただしこれは中国産。
 フキ味噌から始まり、フキノトウやタラノメも何日か前にてんぷらでいただいた。
たしか、タラノメが少なく、柿とハナイカダの若葉も一緒だった。
タラノメは、数年前に園芸店で求めたもので、もう少し大きく育てたいので少しで我慢した。
 ささやかな夕餉だけれど、自然の恵みをつまむお酒は一層おいしい。
 


藤沢周平記念館が開館

2010-05-12 | 文芸
 
  【今朝のヒヨドリ   庭のえさ台に来るヒヨドリを飽かず眺めている。】

 ふるさと鶴岡に藤沢周平記念館ができた。文藝春秋6月号に、記念館の開館の様子がグラビアで載っていた。また、児玉 清×杉本章子×遠藤展子の対談記事「藤沢周平この三作」もあった。さわやかな藤沢作品が浮かんできた。
本棚から、以前に求めた「藤沢周平の世界展の図録」を取り出し、ひと時藤沢周平に浸った。藤沢周平の作品はいい。いつも「凛として生きる人間」が描かれている。
 何年か前に、「蝉しぐれ」が映画化され、在りし日の『海坂藩』を訪ねたこともあった。
 鶴岡へは3度行ったことがある。一度は芭蕉の足跡を訪ねたおり、また、出羽3山を巡ったとき、そしてもう一度は藤沢周平のエッセイに書かれた作品の源郷としての、美しい荘内の風土、歴史に触れたかったからだ。清らかなさわやかなイメージがある、山紫水明の地だ。
 ここまで書いたが、昔のブログでも同じようなことが書かれていて、一人苦笑いをしている。
(参)拙ブログ 「魅力の藤沢周平」(2008-05-13)
        「藤沢周平の世界」(2006-12-11)


 これからも、まだ読んでいない作品もたくさんあるから、楽しみだ。ゆっくり、すべてを読んでみたいと思っている。また、いつの日か訪ねたい記念館を想像している。 


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