エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

伝えたいお正月

2007-01-04 | 日々の生活
      【雪に咲く・冬薔薇】

 元旦の新聞で、堀文子の絵「スイセン」とエッセイ「伝えてもらった厳粛な時間」をすがすがしく読んだ。
そこには「日本の家族は長幼の序を忘れ品格を失った。もう一度祖先が伝えた新春の儀式のあの厳粛な時間を、取り戻さなければならない」とあった。その通り、忘れていたことと思った。
 
 自分の子どもの頃のお正月はもう無い。たこ揚げ、はねつきなどはもはや遺物、書き初め、七草、鏡開き・・・すべてが歴史の中に埋もれていきそうだ。
 あの頃は経済的には貧しかった。新しい衣類はお正月に買ってもらった。今もあの頃着ていたセーターやジャンバーの模様が懐かしく思い出される。冬の暖房はこたつや火鉢、炭を補充し、火箸やヘラで火鉢の灰をかき混ぜるのが楽しかった。
 お正月には木箱に入ったミカンを買い求めた。頼まれては木箱の板をはずして小さい手にミカンをこたつに運んだ。テレビのない時代、夜はこたつに当たりながら、家族中でトランプやすごろくで遊んだ。1,3ぺろりなどの遊びは夢中になった。すべてが懐かしいお正月だ。
 所帯を持ってからの暮れの忙しさは少し記憶に残っている。妻の子ども達に教えながらのお正月の準備は大変だったろう。子どもが小さい頃は、年に一度、母の作ってくれた紺の着物をきて一家の主らしさを装っていた。お屠蘇を飲み、おせちをつつきながら、やおら懐からお年玉を取り出し3人の子どもたちにあげた。

いろいろなしきたりの中に、日本らしさを見つめてきたが、これからも伝えていきたいことだと思った。自分もかなり少なくなったしきたりの中で生きてきた。今後はさらに希薄になるだろう伝統的な日本らしいしきたりを、お正月にかかわらず、子や孫、若い人に伝えたていきたいと思っている。