こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

ローレンス・サマーズの罪

2009年10月03日 | 読書ノート

 ロバート・マートンとマイロン・ショールズ。LTMCは,この2人のノーベル経済学賞受賞者を経営幹部に擁し,ドリーム・チーム
ともてはやされた巨大ヘッジファンドだが,受賞の対象となった金融工学の粋とも言えるブラック・ショールズ式を駆使し,22億
ドルの元手を500倍を超す,1兆2500億ドルまでに拡大させたが,ロシア経済危機のリスクを甘く見たことに命取りとなり,最後
は破綻の憂き目にあった。

 その一人,ロバート・マートンは,その後,懲りもせず「トラヴェラーズ・グループ(シティグループの傘下)の投資部門担当重役も
努め,・・・,理論的指導者となって進められたのが,2008年に恐慌の火を噴いたデリバティブサブプライム・ローンだった。(P126)」
というのだから,LTCMの破綻後にデリバティブ商品への規制をかけず放置したことが,いかに,罪深いことであったか,我々の
ような日本の一庶民でも容易に想像がつくというものである。何せ,米国だけでなく,世界経済が大混乱したわけだから。

 そこには,米国の一部のエスタブリッシュメントたちを肥やすために我々は存在し,そのマネーゲームに翻弄され続けている,とい
う悲しく,かつ,やりきれない現実がある。


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