こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
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ハリーポッターと死の秘宝

2011年08月28日 | 読書ノート
「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)
クリエーター情報なし
静山社

 ハリーポッターと死の秘宝を読んだ。シリーズ完結編。第1巻から始まった旅が、足掛け12年で完了した。このシリーズ。

 不死鳥の騎士団あたりから、飽きがきて原書には目をとおしたものの、訳本にはたどり着けなかった。死の秘宝も、原書は、発売直後、アマゾンで手に入れていたので、もう、とうのまえに、ヴォルデモートをどう打ち負かすか、結末はわかっていたし、この前、見た映画の幾つかのシーンには、デジャブのような、なつさしささえ感じたものだった。
 だけど、眼鏡なしで見る映像のようなスッキリしない心地悪さが払拭できない。細部がはっきりしないもどかしさが、映画を見た直後から、日に日に大きくなり、訳本を図書館で借り読み始め、このほどめでたく読了した。

  「ジェームスとリリーが復活し、ハリーと三人でヴォルデモートをやっつける。」

  これが、第1巻を読み終えたとき、僕が予想した最終巻のストーリー展開だが、この予想は、見事に外れた。まあ、蘇りの石で、ブラック、ルーピンとともに復活し、ハリーの最終対決を支えるくだりがあるので、少しはかすった感はあるけれど・・・。

  いずれにしても、この最終巻。ダンブルドアの若き日の蹉跌や、スネイプの隠された庇護、リリーへの無償の愛など、これまで、ベールに隠されていた、幾つかの事実が明らかになり、信頼していたものへの疑念や、逆に敵だと思っていたものの・ごん狐的な、やさしさや愛情であったりと、人というもの、その人生というものの様々な断面をこれでもか、これでもかと見せ付けているように思った。

 そして、そのメッセージは、ヴォルデモートに欠けているものは何で、なへんに敗因が隠されていたのか、を語っていたし、月並みかも知れないけれど、やはり、正義は勝ってほしい、という思いを成就してくれた感がある。そんな人生の機微を考えさせながら、読ませる迫力のある物語に仕上がっていた、という意味で、7巻には、前6巻にはない深みがあるように思った。

 逆に、中間でのまったり感が、最後の巻の迫力を演出したとしたら、著者の計算は相当なもの。その構想力に脱帽というところか。生活保護を受けながら書いたというのも演出のように思えてしようがない。さすが、少女時代から物書きに興味を持っていただけのことはあると、関心しきりである。 

 終結の巻の詳細を知ってしまった今、このシリーズを、初めからもう一度、読み返すと面白そうだ。著者がどこで何を仕掛けようとしたか、その意図がトレースしながら、読むと、生きたノウハウのマネジメントの教科書になるのではないか。案外、ドラッガーのマネジメントより、よっぽど役に立つなもね。 そういう読みかたって、意外に新鮮かも・・・。


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