こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読んだ

2005年09月26日 | 読書ノート
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学

光文社

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 話題の本がやっと図書館から届いた。待つこと4ヶ月。思えば長かった。だけど,これくらいの間が空くと,その後の評判も含めベストセラー本の真価が問えたりする特典もあり,これはこれで悪くないタイムラグでもある。

 ところでこの本。若い会計士の書いた会計入門本だが,とても,わかりやすい。特に,さおだけ屋がなぜ潰れないか,というおもしろい着想で読者を引きつけ,続いて,団地に忽然と現れたフランス料理店の秘密に迫る,手法は,心憎いまでの演出だ。

 さおだけ屋が果たして商売として成り立つのだろうか,という疑問は,かねてから,自分自身にもあったので,「利益を挙げて費用を減せば成り立つ」といわれ,何だか拍子抜けしてしまう感じだが,金物屋さんが副業で,届物をするついでにやっているといわれれば疑問氷解,極めて納得がいき,長年の疑問も解消されてすっきりである。

 加えて,団地のフランス料理店が,フランス料理ではなく,ソムリエとフランス料理の教室業での儲けを狙っての出店と聞けば,これまた合点がいくのである。副業・連結営業は,あくまでも本業のノウハウが生かされるものであることを前提とするという教訓は,企業の多角経営にも応用できる,キワモノの教訓でもある。

 これらに加え,「在庫と資金繰り」,「機会損失と決算書」,「回転率」,「キャッシュ・フロー」についても,平易に解説されていてわかりやすい。この本以外にも小説の体裁をとった入門書を書いているが,本業から外れないところで副業を考える王道を歩んでいる。示唆的だ。
 この調子で,小学生向けの会計入門本を書いてくれないかなと思う。子供には,実践的生きたな経済知識を身につけてもらいたいからである。

 1時間程度で読めるので単位時間あたりの効用も高い,お得な本だった。会計とは無縁な仕事をしているけれど,一度,本格的に勉強してもいいなという気になった。
  


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