こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

オバマ政権を支える人たち

2009年10月07日 | 読書ノート

1 ポール・ボルガー
    1985年のプラザ合意で日本を国際市場から締め出し,日本のバブル経済を生み出したFRB議長。ジョージ・ソロスと投資事業(
 ジェームズ・D・ウォルフェンソーン社)を展開。1995~2005年まで世界銀行総裁。「中央銀行総裁と世界銀行総裁が,ソロス
 と組んで投資にうつつを抜かしていました。そのあと,全米最大のエンロン破綻を招いた大手会計事務所アーサー・アンダーセンの不正
 経理が山のように露見したため,2002年にこの事務所の監査委員として送り込まれ,会計事務所の問題をもみ消してしまいました。
 こうしてアンダーセンと大手会計事務所の問題など,どこでも議論されなくなりました。(P149~150」  

2 ローラ・タイソン
  1993~1995年,クリントン政権下の大統領経済諮問委員会の委員長。「彼女も,貧富の差を拡大するシステムのエンジンとなり,
 ホワイトハウスを出ると・・・1997年から投資銀行のモルガン・スタンレーの重役に就任した。(P150)

3 ウイリアム・ドナルドソン
    大手投資銀行ドナルドソン・フラキン・ジェンレットの創業者。キッシンジャー国務長官時代の国務次官。
 「 2002年から2003年にかけてウォール街の腐敗スキャンダルがピークに達して,大手会計事務所の不正を放置してきた証券取引
  委員会(SEC)が厳しく批判を受けたとき,ブッシュ大統領からSEC委員長に任命され,・・・事態鎮圧としての始末屋としてウォール
  街の番人となり・・・ついには,マーチャント・バンカー規制解除のために証券会社のレバレッジ比率を三倍に高める法改悪を打ち出して,
  あらたな批判を浴びたのです。(P150~151)」
   
4 ティモシー・ガイトナー
  1998~2001年にクリントン政権財務長官ルービン~サマーズのもとで財務次官をつとめた官僚トップ。
 「 もう一人のグラス・スティーガル法撤廃の立役者でした。9.11事件が起こった9月からIMF政策企画審査局長としてグローバリズム
  拡大のための金融政策を動かした問題児でもあります。そして,2003年,こともあろうに「リーマン・ブラザース」会長だった投資家
  ピーター・ピーターソンによって,ウォール街を取り仕切るニューヨーク連邦銀行総裁に抜擢され,グリーンスパンの手足となったわけ
  です。(P152)

  IMFに関しては,アジア通貨危機の時の苦い教訓がある。
 「 過去1990年代後半に,ジョージ・ソロスたちのヘッジファンドが集団で引き起こしたアジアの通貨危機では,インドネシアと韓国,
    タイを救済するといいながら,融資と引き換えにハゲタカたちが入り込めるような制度改正を強要するなど,IMFの傍若無人な態度が
  アジアの民衆から激しい怒りを買いました。(P175)」

  しかも,皮肉なことに,通貨危機の教訓からヘッジファンドに対抗するため,積み上げた国内資金(庶民の貯蓄)が,米国債の購入など
 を通じ,中国,日本,中東石油諸国とともに,米国へ資金を流しサブプライム・ローンにファイナンスし,結果として,リーマン・ショック
 の演出に手を貸した格好になっているのだからたまらない。

  アジアの先人の,偉大な指導者たちの教えを再度かみしめ,己が行動を戒めるとともに,新たな世界秩序を形成しなければ,我々に明日
 はないのかもしれない。


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