こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

投機屋総本山よる先物取引の独占支配

2009年10月06日 | 読書ノート

 二酸化炭素削減をうたう排出権取引も,「国連の『気候変動に関する政府間パネル』(IPCC)の科学者たちが影響を与えて,国家予算
からんで,予測データが作為的に計算されつつある」(P55~56)もので,「金融恐慌で問題が表面化したデリバティブの代表的なもの」
(P56)というのだから,『不都合な真実』でノーベル賞を受賞したアル・ゴアのことも思わず疑って見たくなる。
「 この排出権取引デリバティブが引き金となって,不正簿外処理にのめりこみ,2001年12月2日にアメリカ史上最高額の資産で
倒産してウォール街を震え上がらせたのが,エネルギー企業『エンロン』・・・エンロンのりんごを腐らせたのが,シティグループをはじめ
とするサブプライム・ローン破綻銀行(P56)」と,お話はつながるのである。

 いずれにせよ,「穀物価格と食糧問題は,二酸化炭素温暖化論と一体となっている((P56)→詳しくは,赤祖父俊一の『正しく知る地球
温暖化 誤った地球温暖化論に惑わされないために』(成文堂新光社 2008)が必読と広瀬氏が薦めている)ので,極めて危険な状態であ
り,原油,穀物,ゴールドなど,コモディティと呼ばれる商品相場の価格を操る輩の動静をしっかりと監視する必要がありそうだ。
「しばしばアメリカでは,不正を行う人間を<腐ったりんご>と呼びますが,一つのりんご箱に,為替,穀物,原油,金のりんごを入れた
らどうなるでしょう。ほかのディーラーに負けまいとして,利益率の高さを張り合うのが,投機屋とヘッジファンドたちの毎日の仕事です。
これらの取引所のりんご箱の中で腐敗が広がらないはずがない。・・・現在は,その腐敗の絶頂期と言ってもよいでしょう。(P60)」

 イチローのような大選手や,再生医療を発見しラスカー賞を受賞するような人たちが大金を手にするならば,社会に対する偉大な貢献と
という観点から,庶民でも理解するところであるし,むしろ,賞賛の拍手を送りたいところである。
 しかし,どうだろうか。浅はかなマネーゲームで濡れ手に粟の一攫千金を得て,限度を超えた富の独占を行い,市民生活に欠かせない
基本物資の価格を自由に操やつり乱高下させ,全世界の罪のない人々の生活を大混乱させ貧困の極みに追いやり,素知らぬ顔で,ほとぼり
が冷めるのをまって,次のマネーゲームに打ち興じることが,どんなに浅ましいことか。彼らにはわからないのだろうか。腐ったりんごの味は,一生忘れられないほど強烈な原罪の味がするのだろうか。最後には,エデンの園から追放される運命にあるというのに・・・。


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