こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

組織の中のフリーライダー

2006年01月11日 | 読書ノート
組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために

筑摩書房

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 優秀な連中に寄りかかり適当に仕事をし,彼らの頑張りの成果にちゃっかりただのりしている人。フリーライダー。

 このフリーライドなる現象。「他人の努力にフリーライドしているくせに,フリーライドさせてくれている人たちを批判し続ける社会野党という楽なポジションが日本企業では長いこと許容されていたように思われる。(P104)」(例えば,組合運動に典型的に現れる。)

 「人間の作る組織は,現状のまま普通に存続させていくだけでも日々努力が必要なのである。そして組織を現状のまま普通に存続させていく努力が生みだす成果は,組織メンバーであれば誰でも利用できる集合財であり,いつでもフリーライドされる危険に満ちているのである。(P112)」
 
 耳が痛い。組織の資産(人的・物的)にフリーライドしているところはいくらでもある。沼上幹『組織戦略の考え方』の中にある「組織の中のフリーライダー」から引用した。後半部分には,フリーライドに対する処方箋も書かれているので,続き今晩に!(朝の時間切れ)

 ただ乗りのリスクに対する処方箋は2つ。一つは,多くの学卒者を比較的長期に同列に並べ出世させ,無用な突出や落ちこぼれを出さないようにする手法。二つ目は,ウルトラエリートをつくって,少々のフリーライドをものともしない組織をつくるやり方である。前者は高度成長期に取られた人事手法で,後者は今流行の成果主義に基づくエリート養成型人事管理である。
 色んな意味で,アメリカナイズされやすい日本。成果主義は日本的な経営環境に合わないのナンのと言いながら,エリート養成型に傾斜しつつあるのは実情であろう。

 だが,そこはそんなに甘くない。「やはりエリートとノン・エリートの間に,当たり前のことを当たり前に黙々と処理してくれる信頼できる中間層がいないとエリートシステムもうまく機能しないのである。(同書P120)」そして,中間層の動議づけは案外難しい。「賃金と昇進以外のインセンティブをいかに開発できるかが」ポイントになるのである。マズローの要求の5段階説の第4段目,承認・尊厳の欲求を満たす仕掛けが必要である。

 豚もおだてりゃ木にのぼる。誰だって誉められていやな気はしない。うれしいし励みになる。エリートでなくても確固たる自分の存在感を示される。そうなる本人だってフリーライドしている部分のやましさも薄れる。(でも,誉め殺しには気をつけてね。逆効果だから・・・。)  blog Ranking へ
 

 

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