人生には、<落とし穴>があるものなのだ。
昭は、その日、会社の先輩の森田優斗に誘われて、彼の兄が経営する東京・亀戸駅に近いスナックへ行く。
そこで、出会ったのが、ポステスの韓国人アンナであった。
無論、アンナは源氏名なのだ。
森田の妻は、出産を控えて能登の実家へ戻っていた。
昭は、誘われ森田の錦糸町の実家へ泊る。
翌日、アンナと3人で向かったのは、中山競馬場であった。
昭にとっては、初めての競馬だった。
19歳のアンナは、気勢を上げて自分が買った馬たちを応援する。
その姿が如何にも、無邪気で、可愛いらしい。
しばらく、昭は馬券を買わずにレースを観戦していた。
「やった!」馬券が的中して、アンナはスタントで小躍りしていた。
アンナが買った1000円の馬券が、何と7万円余になっていたのだ。
「こんな世界があったのか!」昭は驚くとともに、競馬に興味を募らせる。
そして、昭が初めて買った1000円の馬券は、信じられない!
50万円を超える配当となったのだ。
買った馬券は、愛する彩音の誕生日の8-6。
1番人気の3-5は、皮肉にも惨敗であった。
「君、やるな!」先輩の森田が1度も払い戻したことがない、大穴馬券だっのだ。
アンナも「あんた、すごいね!」と昭に抱き着く。
昭は2人に5万円をそれぞれ進呈する。
「すごい!こんなのはじめて、あんたに、わたし惚れるよ」アンナはまた昭を抱擁する。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます