座右の書『貞観政要』―中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

2020年03月14日 16時55分23秒 | 社会・文化・政治・経済

座右の書『貞観政要』―中国古典に学ぶ「世界最高のリーダー論」

出口 治明【著】

 

内容説明

正しく“自分の権限”を理解する、“耳に痛い言葉”を聞き続ける。「すぐれた決断」をできる人の絶対条件。

目次

序章 「世界最高のリーダー論」はどうして生まれたか―ものごとの「背景」を押さえる
第1章 リーダーは「器」を大きくしようとせずに、中身を捨てなさい―「権限の感覚」と「秩序の感覚」
第2章 「部下の小言を聞き続ける」という能力―「諫言」の重要性を知る
第3章 「いい決断」ができる人は、頭の中に「時間軸」がある―「謙虚に思考」し、「正しく行動」する
第4章 「思いつきの指示」は部下に必ず見抜かれる―「信」と「誠」がある人が人を動かす
第5章 伝家の宝刀は「抜かない」ほうが怖い―「チームの仕事」の重要なルール
第6章 有終の美は「自分」にかかっている―ビジネスを「継続」していくために

著者等紹介

出口治明[デグチハルアキ]
1948年、三重県生まれ。ライフネット生命・会長。京都大学法学部を卒業後、1972年、日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立(のちのライフネット生命保険株式会社)、代表取締役社長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

出版社内容情報

稀代の読書家にして注目の経営者が、いつも座右に置く中国古典とは?中国は唐代、2代皇帝・太宗による統治(貞観時代の政治)の要諦が凝縮された『貞観政要』。日本においては徳川家康、北条政子も参考にし、世界最古・最高のリーダー論として世界中で読み継がれている。「部下からの厳しい言葉にこそ耳を傾けること」「組織のパフォーマンスは、リーダーの器以上にはならない」「上司は、自らの権限の及ぶ範囲を明確にし、できれば制限しなければならない」――太宗が心得た組織・リーダーシップのポイントの数々は、時代を超えて通用する普遍の真理である。
『貞観政要』を座右の書にし、現代における注目リーダーである出口治明氏が、はじめて中国の古典を深く語る。

序章 「世界最高のリーダー論」はどうして生まれたか
      ――ものごとの「背景」を押さえる

第1章 リーダーは「器」を大きくしようとせずに、中身を捨てなさい
      ――「権限の感覚」と「秩序の感覚」

第2章 「部下の小言を聞き続ける」という能力
      ――「諫言」の重要性を知る

第3章 「いい決断」ができる人は、頭の中に「時間軸」がある
      ――「謙虚に思考」し、「正しく行動」する

第4章 「思いつきの指示」は部下に必ず見抜かれる
      ――「信」と「誠」がある人が人を動かす

第5章 伝家の宝刀は「抜かない」ほうが怖い
      ――「チームの仕事」の重要なルール

第6章 有終の美は「自分」にかかっている
      ――ビジネスを「継続」していくために

出口 治明[デグチ ハルアキ]
著・文・その他

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

出口/治明
1948年、三重県生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1972年、京都大学法学部を卒業後、日本生命保険相互会社に入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の財務企画専門委員会初代委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。

ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。

2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命保険株式会社に社名を変更。2012年3月15日に東証マザーズに上場。2018年1月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 

唐の名君として名高い第2代皇帝太宗・李世民(626-649)。
その言行録(リーダー論)をまとめたのが『貞観政要』である。
父を幽閉し兄・弟を殺して帝位についた太宗は、それだけに平和な安定した時代を
築き名君としての名を残したかった。後に徳川家康も当書を愛読したという。
家康も、秀吉亡き後はかなりムチャブリを発揮して大阪方(豊臣秀頼)を抹殺して
権力を奪ったのだから、ちゃんと『貞観政要』を勉強して平和な江戸時代の礎を
築くための参考にしたのかもしれない。

 リーダーに必要な資質は(ビジョン力、共感力、統率力、正しい判断力)だと
書いてあるが、こう書くとなるほどそうだねで終わってしまうが、これを実行する
のはまことにむつかしい。とくに「正しい」判断をするなんて、至難の業。
何が正しく何が正しくないかはやってみないとわからないことが多いから。
でも著者の山口治朗氏はより正しく意思決定するためのヒントと心構えが
『貞観政要』に書いてあるという。山口氏自身が起業家で苦労されているから
説明もわかりやすく説得力ある。

  リーダー論ではあるが、リーダーの視点、部下の視点の両方を書いて
いるので、安定した組織をいかに構築するかという組織論の本でもある。
つまり組織に属するすべての人に役に立つ。

 例えば、「小事は大事」。些細なことや小さいことを見逃さず、おろそかに
しない。「これぐらいはいいだろう」という気のゆるみがやがて大問題を招く。
最近の「桜を見る会」事件を思い出す。
真相を示すはずの公文書がすべてシュレッダーにかけられ、疑惑の出来事に
ついてのファクトを誰も言うことができないという状況が創り出されている。
今の日本では、「権力者はどんな不正を働いても、まわりに忖度され許される」と
いう暗黙のルールが支配的で、誰も首相に面と向かって諫言できなくなっている。
これはとてもまずいと『貞観政要』は叱っている。

 

以前上司に勧められて『貞観政要』は読んだことがありますが、今回「100分て de名著」で出口氏がナビゲーターになるということで、こちらも読みました。出口氏が最も重視されているのであろう項目を、会社生活の具体的事例を交えながら講釈してくださっているので、自身をイメージすることもできて非常に納得感のある読後感です。シンプルな教えだけに実践は難しい『貞観政要』。繰り返し読み続けたい良書です。

 

史に準えた帝王学。

上司と部下の違いは只の役割の違い、
これは部下を持つ人間には
自戒の念を込めて再認識するべき内容。

面白いから歴史に残る、
もう一度歴史を学び直すのも良いかもしれない。

 

読書家で知られる筆者であるが、他人に本を勧めることはしないという。その筆者が例外的に薦めた本が「貞観政要」で、唐の第二代皇帝の太宗・李世民とその臣下のやり取りが書かれており、リーダーとフォロワーのあり方は、普遍的なものであり、現代に通じる。

組織はリーダーの器の大きさ以上のことは出来ないと云う。また、人間の器は持って生まれたものからは大きくはならないと云う。しかし、器の大きな人間になるのは無理でも、器の中を無にする(拘りを捨てる)ことで、リーダーは自分の器以上のことを組織で為すことが出来るということが筆者のリーダー論を象徴している。

「三鏡」(銅の鏡で自らの表情を映し、歴史の鏡で世の中の興亡盛衰を知り、人の鏡で自らの行いを正す)、「諫言する部下を持つ」、「君主は舟であり、人民は水である(水には舟を浮かべる力と転覆させる力がある)」など、名言が溢れると共に、リーダーとして必要な正しく意思決定をする為のヒントや心構えが集約されている。
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