SDGs(持続可能な開発目標)の目標16は「平和と公正をすべての人に」。
増加する軍事費や、核兵器の問題に焦点を当てた。
昨年の世界の軍事費は約2兆4430億ドル、過去最高であった。
ちなみに、開発途上国の支援を主な目的とする政府開発援助(ODA)の、昨年の合計金額は約2237億ドルである。
つまり、困っている人たちへの支援額より、軍事費の方が10倍以上多いのである。
軍事費に莫大な金を費やす一方で、気候変動や貧困・飢餓の問題に対処したり、健康と教育を促進したりする資金は不足している。
さらに、国が扱う軍事費以外で、違法に取引されている武器も存在する。
そうした武器は、犯罪集団やテロリストの手に渡った場合は、紛争地などで使われることになる。
それだけではない、民間人も武器を手にすることとなり、子ども兵などを増やす要因にもなる。
だからSDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」には、「違法な資金の流れや武器の流通を大幅に減らす」と明記されている。
また、世界には今、1万2000発以上の核兵器がある。
冷戦時代には7万発もあった核兵器の総数は毎年、少しずつ減っている。
だが、この5年間で、核兵器関連の支出額は3割も増えたという報告もある。
核保有国が、核兵器を近代化し、核兵器の質的な向上を進めたのである。
そして、ウクライナ危機が起きたことで、核兵器使用の危険性は冷戦後で最も高まっている。
でも希望はある。
「核兵器禁止条約」が2017年に採択され、2021年に発効した。
現在、93か国・地域が署名しているこの条約は、核兵器の開発、実験、生産、製造、他国への移譲、使用、威嚇まで全面的に禁止した初の国際法なのだ。
核兵器を非人道的な違法の兵器とした、この条約策定には、市民社会が積極的関わった。
そのことは、画期的なことだ。
核兵器禁止条約の採択に貢献したとして、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞した。
このキャンペーンは今、111か国に682のパートナー組織がある(2023年時点)。
核兵器廃絶を求める市民社会の連帯が世界中に大きく広がっている。
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