人生の指針を与えてくれる情報こそ、期待される

2024年08月04日 07時56分18秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▼何でも良い方に捉えていくことが大事だ。

その人生は、自分も楽しいし、周りも楽しくすることができる。

物事を悲観的に捉えるそうになる場合にはいつも<そうじゃない。必ず意味があることだ>と自分に言い聞かせながら進んでいくことだ。

▼思想は意味が深ければ魂の扉を強く叩く―エマソン

ラルフ・ウォルドー・エマソン(Ralph Waldo Emerson、1803年5月25日〜1882年4月27日)は、アメリカ合衆国の思想家、哲学者、作家、詩人、エッセイスト。

▼人生の指針を与えてくれる情報こそ、期待される。

▼人生で大切なことを教えてくれる情報もある。

▼厳しい状況になればなるほど、磨き鍛えてきた生命という<心の財産>は輝いていくのである。

▼夢を諦めない。

その夢は大きいほうがいい。

 


創作 福子の愛と別離 18)

2024年08月04日 06時12分53秒 | 創作欄

現在は28歳で、教師の身である晃の過去は、決して人からも、身内の者から褒められる立場ではなかったのである。

晃は、大学生の身でありながら、新宿歌舞伎町のバー「園」のホステであるナナと深い関係となる。
だが、それは女の色仕掛けだったのだ。
その後、如何にもヤクザな男が、晃の中野中央のアパートに乗り込んで来たのである。
その日もナナが部屋に泊まっていたので、晃は逃げることが出来なかった。
「俺の女を抱いたんな!許さねいぞ!」男は長身ではないが体格がよく、角刈りで眼光が鋭い。
上下黒のスーツ姿だった。
男は肩をいからせ、黒の革靴を投げ玄関で捨て、部屋に上がり込んできた。
「はめられたな」晃は覚悟しながら、自らの安易に苦笑を漏らす。
「このやろう、薄ら笑いで、すまねいぞ!」相手は晃の胸を拳で突く。
「あんた、私が悪いの。この人を許して」
ナナの演技なのだろう男の前に立ちはだかる。
「お前は引っ込んでいろ」男はナナの頬を平手打ちする。
「こうなった以上、どうすればいいのですか」晃は開き直る。
「お前を殺してやりたいが、俺は刑務所には2度と行かねい!金だな200万円で勘弁してやるよ」男は頬を緩めて言うのだ。
「200万円!。そんな金ありません」
「金なければ、サラ金でも何でも都合をつけろ!いいな。絶対だぞ」有無も言わせない態度だった。

さらに、懐のジャックナイフを取り出して、晃の頬に刃の腹を寄せるのである。

「分かりました。何とかします」晃は相手の要求を飲むほかなかった。

こうなったら金で解決するしかない。
思い余った晃は、甲府の実家に電話をする。
そして、母の絹子に理由を話して200万円を借りることにしたのである。
「お前、大学生なのに、バカなことをしてくれたね」母は当然、呆れかえっていた。

母親は、甲府市内の住宅街で小児科医院を営んでいた。

その母親の期待に逆らって晃は、医学ではなく文学部へ進学していた。

そして、あろうことか晃は、やけ酒を飲み、甲府へ行く金を失う。

「仕方ないね。私が、お金を持って新宿まで行くからね」母の声は何故か優しかった。

新宿駅の東口の改札口で母親と会う約束であった。

だが、午後2時の約束に30分も遅れてしまう。

「待つ身が辛いか?」

「待たせる身が辛いか?」

それが、21歳の晃のあまりにも辛い心情であった。

皮肉なことに、晃の腕時計が止まっていたのだ。

中野駅の時計を見て、晃は慌てふためいた。

晃を待つていた母親は、駅構内を気の毒にもうろうろしていたのだ。

男は、ナナに200万円を渡すようによにと晃に指示をしていた。

ナナに電話すると待ち合わせ場所は喫茶の西武であった。

その店の個室で会うこととなる。

先に待っていたナナは、晃が1人でなかったことに驚き、大きく目を見張る。

そして、気まずい思いであったのだろう、「ごめんんさいね。本当にご迷惑をおかけして」ナナは低姿勢となり頭を垂れる。

「私は、晃の母です。よろしくね」晃の母親も恐縮していた。

「お母さん、私が全部悪かったのです。申し訳ありません」ナナは、如何にもしおらしい顔だった。

何故かナナはこの日は、何時ものような厚化粧ではなかった。

それにアップの髪型でなく、長い髪を垂らしていたのだ。

「本当に、ご迷惑をおかけして、私はお先に失礼します」晃の母親から200万円入りの紙袋を受け取ったナナは中身を確認しなかった。

ナナはその場から退散するように、立ち去って行くのだ。

「晃、あの子は、そんなに悪い女には見えないね。可愛い顔をしていたしね」母はケーキを注文して食べる。

「晃、お願いがあるの。私と同じく信心をしてね。そろそろ、お前は信心で立ち上がる時期よ。21歳になったしね。来年は大学卒業よ」母親は、涙を浮かべて懇願するのだ。

晃は何度も溜息をつく。

2杯目のコーヒーを飲む。

そして、「分かったよ」と晃は観念するのだ。

「良かった。お母さんが長年願ったことが、ようやく叶ったのね」母親は涙に重ねて笑みを浮かべる。

晃は、まさか自分自身が仏教系の宗教団体の信者になろうとは、夢にも思わなかったことだった。

そして、入信した晃は、同期生の福子を地元中野の地区の座談会に誘ったのである。