全身ジャーナリスト

2024年07月05日 12時10分02秒 | 社会・文化・政治・経済

田原 総一朗 (著)

90歳の〈モンスター〉が「遺言」として語り下ろす。
「朝生」で死にたい! なぜ僕は暴走するのか?

最高齢にして最前線にいる稀代のジャーナリスト、田原総一朗。
長寿番組『朝まで生テレビ!』での言動は毎度注目され、世代を問わずバズることもしばしば。
「モンスター」と呼ばれながらも、毎日のように政治家を直撃し、若者と議論する。
そんな舌鋒の衰えないスーパー老人が世に問う遺言的オーラルヒストリー。

その貪欲すぎる「知りたい、聞きたい、伝えたい」魂はどこからくるのか。
いまだから明かせる、あの政治事件の真相、重要人物の素顔、社会問題の裏側、マスコミの課題を、自身の激動の半生とともに語り尽くす。
これからの日本のあり方を見据えるうえでも欠かせない一冊!

原一男、佐高信、猪瀬直樹、高野孟、辻元清美、長野智子らが、田原の知られざる横顔を証言するコラムも収録。

【目次】
序 章 僕はなぜジャーナリズムを疾走するのか
第1章 非戦の流儀
第2章 ジャーナリストの心得
第3章 反骨の証明
第4章 不条理の世界に対峙する
第5章 映像の過激派
第6章 テレビと民主主義
第7章 原発と電通
第8章 田中角栄が踏んだ「虎の尾」
第9章 「モンスター」の誕生と転落
第10章 首相への直言秘話
終 章 混沌を生きる方法

【著者プロフィール】
田原総一朗(たはら そういちろう)
ジャーナリスト。
1934年4月15日、滋賀県生まれ。
早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。
東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、1977年フリーに。
テレビ、新聞、雑誌などで活躍。代表的な出演番組に『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』『激論!クロスファイア』ほか。
1998年、すぐれた戦後の放送ジャーナリストを選ぶ城戸又一賞を受賞。
『電通』『戦後日本政治の総括』『堂々と老いる』など著書多数。

 

朝まで生テレビ!』田原総一朗司会 1987年開始から月末最終金曜深夜に激論!ニッポンと日本人を熱く論じ、昭和・平成・令和をまたぐ唯一無二の深夜討論番組。

出演する政治家が本音を言わずにごかかそうとする。

そこで、「違うでしょ。本当のところはどうなんだ」と鋭く田原総一朗司会の声が飛ぶ。

痛快であった。

真剣勝負が政局を動かすこともある。

そんな田原さんを「モンスターのようなジャーナリスト」と評したのは、同世代の政治ジャーナリストの岩見隆夫さんだった。

 

 
一気に読みました。
天然で空気がわからない田原が好奇心だけで熱量高く走り続けてるのも面白いし、戦争体験から始まり戦後史を読んでるようです。
 
 
2024年6月2日に日本でレビュー済み
 
御年90歳の最高齢現役ジャーナリストが放つ、「遺言的オーラルヒストリー」である。毎日新聞客員編集委員の倉重篤郎が構成を担当している。

本人の語りの合間に、縁深い人たちが田原について語るコーナーがあり、その中には歯に衣着せぬ批判もある。

つまり、本書自体がジャーナリズムの骨法に則って作られており、単なる「ヨイショ本」には陥っていないのだ。

猪瀬直樹、原一男(映像ドキュメンタリーの作り手として、田原の弟子筋に当たる)、佐高信などが登場するが、舛添要一による辛辣な田原批判は、かなり本質的で的を射ていると感じた。

メインとなる本人の語りについては、自慢話が鼻につく部分もないではないが、総じて真摯で誠実な印象である。

とくに、「サンデープロジェクト」の打ち切りについて触れたくだりでは、当時の自分が傲慢になっていた(=自分の力で日本の政治が動かせると思い込んでしまった)ことを素直に反省する言葉があり、好感を抱いた。

「朝生」の放映があるたびに、「見苦しいからもう引退しろ」等の揶揄がSNSにあふれるわけだが、それでも司会を続ける意図についても、熱を込めて語られている。

どの分野にも、「衰えたから潔く引退しよう」と考える人と、「どんなに不格好でも、命ある限り仕事を続けよう」と考える人――2つのタイプがいる。
どちらにもそれなりの美学があるのであって、どちらが正しいとか上だという話ではない。

かつてニール・ヤングは「錆びるより燃え尽きたい」と歌い、ジョン・レノンはインタビューでその歌詞を否定した。
《嫌いだね。燃え尽きるより、老兵のように消え去るほうがいいさ。(中略)ぼくは生き抜いている人たちを大いに尊敬するね》(『John Lennon PLAYBOY Interview』83ページ)
と……。
(そう語ったすぐあとにジョン・レノンが殺されてしまい、ニール・ヤングが燃え尽きることなくいまも現役であるのは皮肉だが、それはさておき……)

「錆びるより燃え尽きたい」派と「燃え尽きるより生き抜きたい」派がいるとしたら、田原総一朗はまぎれもない後者で、たとえ衰えた姿をさらしてでも、最後まで現役で戦い抜く道を選んだのだろう。

いい・悪いは別にして、私は田原のその姿勢に深く共鳴する。私も人生最後の日まで一ライターであり続けたいから。
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