創発企業経営

15年目の会社の経営、事業報告

知的生産手段としての戦略 (2)

2015年04月24日 | 経営

先日、山口揚平著「本当の株のしくみ」(PHP文庫)を読んでいたら「企業の価値の源泉は、1つか2つしかない」という言葉がありました。 著者が、投資をするときする自分に対して次の質問をしてみるそうです。  

  その企業は「なに」で稼いでいるのか?

  「なぜ」稼げているのか?

魅力ある企業を見つける株式投資の目的は、企業経営と同じだと思います。企業を外から見ているか中から見ているかの観点の違いだけです。  「なに」で稼いでいるのか? 「なぜ」稼げているのか? それは、個人の企業の知的生産手段がなにかを決める戦略そのものです。

知的生産手段としての戦略などといっても、要は戦略とは「何をするか。何をしないか」決めておこうということです。たとえどんな企業でもその資源は有限ですから、選択と集中が必要になります。 勝負できる得意分野、事業領域を決めておこうということです。

自分の会社の例で恐縮ですが、私は事業領域を「B2B製造業のグローバル事業分野」にしようと決めました。

国内の市場は成熟し、競争が激しく、始めたばかりの企業が既存の企業とまともに競争したら勝ち目があるとは思えませんでした。そこで国内に限った仕事はしないという選択をすることで、差別化を図ったのです。

B2Bに絞ったのは ― これまでの私自身の経験が製造業の法人相手に限られていたからです。B2B取引は、取引条件や回収に一定のルールがあるので、それに即して取引をすれば勝手がわかっているという安心感があります。

もう一つの戦略は「Intangible」なものを商品にしようと決めたことです。 

Intangible は目に見えないあるいは触ることのできないという意味で、反対語は「Tangible (形のあるもの)」です。 Intangibleな商品とは、知識、ソフトウェア、データなどです。 TangibleとIntangibleの両方の商品を扱ってみるとIntangible な商品の管理が如何に楽かわかります。 在庫も倉庫も輸送もいらないのですから。

特に小さな企業がIntangible なものを商品にもつことは重要でした。

これは、資本が少なくて済むことに加えて、農工業社会から知識社会への移行という歴史的な背景があります。かつて農業をするには土地が必要で、土地に資本価値がありました。 工業社会では工場や生産財に価値がありました。 こうした資本は地主や資本家という人たちが保有していました。それがドラッカーの云う知識社会に移行すると、知的生産財を所有する知識労働者が最大の価値を持つようなります。

モノやお金に不自由しなくなった時、人が何を求めるか?それは目に見えないもの経験と知識ではないかと思います。

コメント
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