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少女ファニーと運命の旅

2017年09月20日 | 映画
少女ファニーと運命の旅
を観ました。


1943年、ナチスドイツの脅威はヨーロッパに広がり、フランスもその支配下にあった。
勝ち気さを内に秘めた13歳のユダヤ人の少女ファニーは幼い二人の妹と共に、協力者たちが秘かに運営する児童施設に匿われていた。
ファニーの楽しみは検閲の目をくぐって届く母からの手紙と、夜中にベッドの中で父からもらったカメラのファインダーを覗いて楽しかった日々を思い出すことだ。ある日、心無い密告者の通報により、子供たちは別の協力者の施設に移らなくてはならなくなる。
やっと落ち着いたと思ったのも束の間、その施設にもナチスの手が・・・。
ファニー達は列車を使って移動するが、ドイツ兵による厳しい取り締まりのせいで引率者とはぐれてしまう。
見知らぬ駅で取り残される9人の子供たち。
いつの間にかリーダー役となったファニーは、バラバラになりかける子供たちの心を一つにし、いくつもの窮地を勇気と知恵で乗り越え、ひたすらスイスの国境を目指す。
しかし追っ手は彼らのすぐそばまで迫っていたー。


ローラ・ドワイヨン監督作品です。

相変わらずの前情報無しで観に行ったので、タイトルからもう少し陽気な女の子の物語を想像してました。
まさかナチスのユダヤ迫害の重たい映画とは、かなりの予想外でした。

人生で何度も観てきたユダヤ人迫害系の映画ですが、子供たちを主人公にしてるのでそこまで辛辣な描写は無かったですが。
怯える子どもたちがユダヤ人を守ってくれる秘密結社の様な人々からわけがわからないところもありつつ従います。
そのスパルタさに反抗したりもしますが、大人たちも必死です。

途中で大人とはぐれ子どもたちだけでナチスから逃げるのでそこからははさらに不安感プンプンでした。

この作品で一番特筆したいのは子どもたちの熱演ですね。
日本で言うと幼稚園児みたいな子から小学校高学年くらいの設定と思いますが。
結構子どもたちだけでのやり取りが多かったですが、相当高品質な演出でした。
子どもたちならではの未熟さ喧嘩、遊び、お母さん恋しさ。
大きい子達は小さい子達を必死に指導して守って。
逃げるのが遅い子は大きい子達が実にナチュラルにおんぶして逃げているシーンも何かとっても素晴らしかったです。

大きい子達だって所詮子供なので大人がいない不安感に泣いたりします。
マダムに突然リーダーになれと言われたファニーもそうでした。
不安や恐怖でいっぱいなのに
「怖いなら平気なフリをして!皆のために!」
と指示されてしまいます。
なんだか胸が締め付けられる言葉でした。

この子供演出は自分の映画史でも結構上位に来そうなほど高品質でした。

でもって子役たちがみんな非常に可愛かったですね。
時代に沿わない不自然な可愛さとかではなく、実にナチュラルな可愛さがありました。

特に主人公のファニー役のレオニー・スーショーって子はめちゃくちゃかわいかったですね。
かなりキャリー・マリガンみたいな感じでした。
演技も素晴らしいですが、将来大スターになる予感プンプンです。
今から好きというとちょっと趣味を疑われそうなので今は純粋に応援しておきます。
にしても可愛いし演技もいいしオーラがありました、この子。

相手役と言ってもいいナチスに抗う青年を演じたヴィクトール・ムートレって子もなかなか爽やかハンサムで良かったですね。

10人ほどの子どもたちで逃げますが、他の子役も全部可愛かったので出来る限り記憶に留めたいですね。

内容的には怖い映画なのですが、不思議とヨーロッパの風景の美しさが際立ちます。
そんな美しい風景にちょいちょい癒やされ恐怖を忘れさせてくれます。
特に目指すスイスに近くなると草原を走る子どもたちはまるでサウンド・オブ・ミュージックの様に素敵なシーンでした。
そこに恐怖から希望に向かっている予感を感じさせます。

逃亡の最中にちょいちょい子どもたちが遊びを始めます。
実にくだらない言葉遊びや水遊びやお金拾い。
そういう些細なシーンにフォーカスして非常に印象的に仕上げています。
ストーリーとは無関係ですが、まるでそこがサビだと言わんばかりです。
そういうシーンは圧倒的に恐怖や不安からの解放でした。

女性監督ならではの優しさが非常に伝わりました。

ナチス研究が趣味の自分には歴史的な勉強になる要素は少なめでしたが、
実話で、細部では実際にこういうことがあったのだな、とまた違った勉強になりました。
ラストにはファニー本人が映像が少し流れてました。

とにかく健気な物語でした。
場内では号泣している人もいました、自分も泣けました。


そんなわけで8点です。
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