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メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

メッセージ

2017年05月25日 | 映画
メッセージ
を観ました。


突如地上に降り立った、巨大な球体型宇宙船。
謎の知的生命体と意志の疎通をはかるために軍に雇われた言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は、“彼ら”が人類に<何>を伝えようとしているのかを探っていく。
その謎を知ったルイーズを待ち受ける、美しくそして残酷な切なさを秘めた人類へのラストメッセージとは―。


ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品です。
事前に原作が高評価であることを知り期待していました。
そしてそのメガホンを取るのが高評価してきたドゥニ・ヴィルヌーヴなのでなおさらです。

叙情的で幻想的なカメラワークで母子の人生を走馬灯の様に描く冒頭。

世界中に突如現れたUFOの描写の適切さも良かったです。
この辺はある種インデペンデンス・デイが見事なフォーマットにはなっていますが。
それなりに説得力あるものでした。
彼女の元にUFOに対応する政府の人々が現れ主人公がエイリアンとコミュニケーションを取ろうとしていきます。

言ってしまえばそれだけの、かなり斬新なSF映画でした。
場面割も独特で、一回のUFOの中に入っていられる時間に制限があり、
ああここで一旦終わりか・・・とちょいちょいなります。
もう少し一気にストーリーを進めてくれてもいいのに、とも思いましたが、
その辺に高品質の要素がありました。

そんな簡単に異星人とコミュニケーションは取れない、
非常に科学的に説得力のあるやり取りが続き、歯がゆさもいい塩梅です。

宇宙物理学とともに人生を過ごして来た自分には好奇心そそる内容で、
更に近年は語学に目覚め10種類くらいの言語を趣味で学んでいる自分には非常に刺さる内容でした。
思考は話す言語に依存する、みたいな内容がありましたがそれは本当にそうだと思います。
複数の言語を勉強していると、不思議な共通に出くわすこととその逆に出くわすこともあります。
何故ここは言語を越えて共通なのに、ここは違うのか。
何故この言語とこの言語は文法的に近いのか?等。

日本人はまず殆どの日本人が日本語というクセの強い言語しか話さないところに独特の国民性を感じています。
英語の影響が強い国はやっぱり似ている様に思いますし。

日本でも関西弁を話す人は、いかにもな関西弁を話す人間のパーソナリティを備えていることが多いですし。
言語が人間の行動に多くの影響を与えていると思っています。
そんな言語の持つ深い力を描いた映画でした。

昨年観た伊藤計劃原作の虐殺器官という映画と通ずるものを感じました。

描写は淡々としつつもなんとも言えない緊張感に満ちていて。
宇宙船の構造的な巧妙さもあり非常に没入感を得られる映画でした。
効果音も非常に引き込む良いクオリティでした。
決して怖い映画ではないのですが、
恐怖に備えてしまう緊張感に満ちていてめちゃくちゃ集中しました。

そしてクライマックスの独特な衝撃。
この手の衝撃は個人的に好みです。
特にひっかけも無いので、ちょいちょいのヒントでオチは想像出来ますが。
想像してたにも関わらずなかなかの衝撃があるという、見事な演出でした。
おおー、とのめり込んでしまうクライマックスでした。

語学学者を演じたエイミー・アダムスは好みの女優ですが相変わらず良いオーラを出します。
物悲しげで、感情を内に秘めた感じの女性で。
この女優さんが出ている映画を見ればそれなりのクオリティは保証される気がします。

相棒役のジェレミー・レナーも好みの俳優ですが、最近はアベンジャーズ系俳優になってしまった印象ですが。
最初の頃は渋めのいい作品を選んでいた印象で、またそっちに戻って行きそうな予感があって嬉しかったです。

もはやいぶし銀の筆頭格なフォレスト・ウィテカーは相変わらずいい味出します。
大抵いい人を演じますが、今作はいい人のような悪い人のような感じでした。
良い大物感を出すようになって更に魅力的になってきました。

設定の規模の割に、局所を描いたこじんまりとした内容で非常に名画なSFでした。
2001年宇宙の旅等に通ずる様な。

それでいてちゃんとしたオチもあり。
そしてそれは非常に深く、理解するのも難しいくらいで。
でも娯楽性もちゃんとあり、映画慣れしてない人でも楽しめるとは思いました。


そんなわけで9点。

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