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いつでもまっすぐ歩けるか?

2005年05月20日 | 思い出
16歳から18歳。僕は苦悩していた。
僕は私立の付属高校に入学した。とても厳しい高校で、女子と話してると先生に殴られた、毎朝校門で服装検査をされた、カラオケに行くと停学になった。バンドがしたかったのに禁止だった(学校に隠れライブハウスでやっていたが)。全ての自由は奪われ、僕の描いていた憧れの、理想の高校生活はそこには無かった。
僕は深く絶望していた。
ひとり考え込む時間が増え、作曲を勢力的にするようになり、人間の悲しい方の習性に深くはまっていった。回りの人間が子供に見えていつもイラ立っていた。だんだんと誰とも口を聞かなくなっていった。朝からひとり机にナマイキな態度で突っ伏したまま、先生にも嫌われた。
僕はギター一本でいつか世界を征服しようと目論んだ。
さらに、人は何故生きるのか?こんなに苦しんで、あと何年も僕は生きていられるのだろうか?宇宙はいつ始まり、どんな仕組みになっているのだ?時間の概念に納得がいかない、思考回路に納得がいかない、世界の全てに納得がいかない、いつか僕は死ぬ・・・などと不毛な禅問答をするようになっていた。
当時はまだ知識も足らず、それが自分を苦しめていると思い、聖書、宇宙物理学、進化論なんかの本を読みあさった。(その時期に出会ったアインシュタインの影響で後々僕は物理学科の大学に進んだ)
しかし苦悩とは結局現実への不満から生まれてくる。学校への不満、親への不満、他の高校に行った友達たちの楽しそうな高校生活への嫉妬、大学入試など将来への不安。キリが無い。それが僕を非現実の世界へと走らせた。
幼い反抗心を抱え、毎日爆発しそうな心を抱え生きていた。
怒られるとわかっていながら金髪にして学校に行って、一日で黒く染められた。
気に入らない奴を見るとすぐケンカした。
電車に乗ってくるやかましいババアどもに大声で悪態をついた。
免許も無いのにバイクに乗った。
盗みなどの犯罪行為もした。
バイトの先輩たちと夜遊びしていた。
等々・・・。
結局今思えばありふれた思春期の不安定なだけなんだけど、当時の僕は世界を黒く塗りつぶされたかのように深いところで苦悩していた。
そんな時期にブルーハーツの「stick out」というアルバムが発売された。当時世界にうんざりして死のうと思っていた僕はそのアルバムに救われる。僕は小学校の頃よりブルーハーツが好きで、この頃の僕はもはや心酔していた。
この「stick out」に収録されている「月の爆撃機」「1000のバイオリン」は特に素晴らしい。僕は今でもブルーハーツで一番好きな曲は「1000のバイオリン」と答える。
そして僕は学校指定の鞄にその「月の爆撃機」歌詞を書き込もうと思い立つ。他人にとっては非常にくだらない事なのだが、僕にとっては一大事だった。ウチの高校は鞄はおろか、ベルトや靴下、ワイシャツの下に着るシャツまで学校指定だった。その目立つ鞄に落書きをしている人などは他に見当たらず、当時の僕には最大級の勇気が必要だった。一体そんな事をしたらどうなってしまうんだ?下手したら刑務所行きか?などと怯えながら学校の授業中に実行に移す。

「ここから一歩も通さない 理屈も法律も通さない
誰の声も届かない 友達も恋人も入れない
手掛りになるのは薄い月明かり」

「いつでもまっすぐ歩けるか? 湖にドボンかもしれないぜ
誰かに相談してみても 僕等の行く道は変わらない
手掛りになるのは薄い月明かり」 by「月の爆撃機」 作詞:甲本ヒロト

などと書いた。
結論から言えば不思議と怒られたり、買い換えさせられたりすることなく卒業までその鞄のまま過ごした。
僕にとってのある種の決意表明みたいな物だった。この先、絶対に折れず、曲げず、自分を貫くみたいな。
それから十数年、結構頑張ってはみたものの、なかなかその様には生きれなかった。
あの頃は若かったから、世間知らずだったから・・・、と今でも思えず、心の奥の方がくすぶってしまったまま年齢や体だけは大人になってしまった。
僕の人生とはつまり、何処かで躓いてしまったのだろうが、未だにそれが何時だったのかは答えが出ない。このひねくれた性格で生まれてきてしまった以上、何回繰り返しても同じ場所に僕は辿り着くのだ。
しかしまだ人生は続くわけで、足りなかった才能を悔やみながらこの先も生きなければならない。ここからもまっすぐ歩こうという姿勢だけは崩さずにいたいとは思う。

「ヒマラヤほどの消しゴムひとつ楽しいことを沢山したい
ミサイルほどのペンを片手に面白いことを沢山したい」

「夜の金網をくぐり抜け 今しか見る事が出来ないものや
ハックルベリーに会いに行く 台無しにした昨日は帳消しだ」

「揺篭から墓場まで 馬鹿野郎がついて回る
1000のバイオリンが響く 道なき道をブッ飛ばす」

「誰かに金を貸してた気がする そんなことはもうどうでもいいのだ
思い出は熱いトタン屋根の上 アイスクリームみたいに溶けてった」 by「1000のバイオリン」 作詞:真島昌利

そんな言葉たちに僕は命を救われたと言っても過言ではない。
あの頃の、ブルーハーツを愛してやまず、狭い世界で苦悩していた自分を思い出すと、いつでも泣きそうになる。
僕は今でも、夜ひとりでお酒を飲みながら、そんな音楽たちを聞きながら泣く。

いろんな時代、時代の僕がいたなと、少し感慨深かげに浸る歳になった。
それでも地球は回っていたし、それでも地球は回っていく。

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