メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

星ガ丘ワンダーランド

2016年03月13日 | 映画
星ガ丘ワンダーランド
を観ました。


20年前、雪の中、母は赤い手袋を残して去って行った。
20年後、寂れた街・星ガ丘、山の上のワンダーランドは今は廃墟。
駅員となった温人は駅の落し物預かり所で落し物の所有者を想像して持ち主の絵を書く。
そこにワンダーランドで母が転落死したと警察から連絡が。
そして母が新しい家族と近くで暮らしていたことを知り、その家族と遭遇するお話です。


柳沢翔監督の長編デビュー作です。

キャスティング的にかなり期待度が高かったので遠くの映画館までわざわざ出向いて観てきました。
いつも通り情報はほぼ入れずに観に行きました。

開始1分で分る自分ごのみのハイセンス系映画。

説明が全然無く、何の場面かわからない冒頭。
恐らく主人公の子供時代の記憶。
わけわからないですが、母が家族を捨てていくのはわかりました。

切なすぎる始まりでした。

そこから時は流れ落し物預かり所を舞台に物語は進みます。
・メインの場所は落し物預かり所
・どんな人が取りに来るのか主人公は想像画を描く
・田舎町のどこからも見える山の上の遊園地
・かつては街の繁栄の象徴で皆がそこでの思い出を持っている
・今は廃墟になったその遊園地にある回らない観覧車
・未だに自動改札では無い田舎の駅
・母が捨てた家族と母の新しい家族の際どい関係
・自殺か?他殺か?母の謎の転落死
映画として相当素晴らしい設定だと思いました。

説明しがたいセンチメンタル性ですが、
それを具現化したたまらなく素晴らしい設定だと思います。

台詞は少なく、やり取りもすべて物足りない感じで。
いわゆるの映画・ドラマのような、
わかり易い起承転結な会話を登場人物たちがしてくれません。
とにかく言葉足らずなやり取りばかりで、
ああそこは言ってくれないのか・・・の連続です。

序盤はとにかくストーリーの全容が掴めない感じです。
こういう作風を作れるのは非常にハイセンスですね。

映画としてはほとんど中村倫也で、豪華キャスト陣はあくまでスパイス的な作りです。
中村倫也のどアップ、その表情で悟らなければいけないシーンは多いです。
そしてちょいちょい夢か?幻か?な幻想的なシーンが差し込まれます。
車の中や部屋の中に雪が降ってきたり、何かいい演出です。
中村倫也がこの豪華キャストの中で主演なのはふさわしいかは微妙ですが、
真のハイセンス映画に露骨な売れっ子を主役にしないってのは常套手段だと思うのでいいと思います。
とてもいい雰囲気は持っていたので及第点ですかね。

市原隼人がこんな渋い脇役で出てるのは斬新ですが、
こういう役でもちゃんと存在感あるし非常に演技派だと思います。

そして大好きな新井浩文がいい役でしたが、
相変わらず替えの効かない素晴らしい演技です。
この人は天性の俳優だと思います。

佐々木希はすっかりハイセンス、実力派女優になったと思います。
もうバラエティやアイドルっぽい女性では無いと思います。
まさかこんな感じにいい女優になるとは思いませんでした。

売れっ子な菅田将暉は今作でもらしさをふんだんに出しています。

この手の映画に杏を起用するのはなかなか面白いキャスティングと思いましたが、
なかなかいいスパイスになってました。
警察役でしたが、彼女の出てくるシーンで景がガラッと変わるような印象がありました。

木村佳乃、松重豊、嶋田久作等ベテラン陣も豪華です。

クライマックスの観覧車のシーンは相当サブイボな、
日本映画史に刻まれるほどの名シーンでした。

そしてラストの事件の真相もなかなか見事でした。

映画としてかなりハイセンスでかなりの名画要素を持っていました。
が、ちょっとその辺を狙いすぎでしょうか?

例えば役者を目指す劇団員とかナイーブなバンドマンとか芸大に通う学生とか、
そういう人たちはこういうのが好きでしょうが。
こういうのやっておけば喜ぶでしょう?って感じが強すぎますかね。

ハイセンス系を狙ったハイセンス系って感じがちょっと出てしまっていて。
もう少し作り手から湧き出る様なハイセンスが欲しかったです・・・かね。
まあ、案の定僕は好きでしたが。

僕くらいの世代だとあるんですよね、
幼いころちょこちょこ行ったけど、今はもう無い地元の遊園地って。
おじいちゃんに良く連れてってもらった横浜ドリームランド、
母に連れてってもらった御殿場ファミリーランド。

そんな思い出が蘇ってちょっとノスタルジックな気分になりました。
抱っこされたりおんぶされたり、僕は完全なるちびっ子でした。


そんなわけで8点です。
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