メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

ユリゴコロ

2017年09月28日 | 映画
ユリゴコロ
を観ました。


カフェを営む亮介(松坂桃李)の日常はある日突然崩れ去った。
男手ひとつで育ててくれた父親が余命わずかと診断され、結婚を控えていた千絵(清野菜名)はこつ然と姿を消してしまったのだ。
新しい家族を作ろうとしていた矢先の出来事を受けとめきれない亮介は、実家の押し入れで一冊のノートと巡り会う。
「ユリゴコロ」と書かれたそのノートに書かれていたのは、美紗子と名乗る女(吉高由里子)の手記。
人を殺めることでしか自分の生きる世界と繋がることができない女性の衝撃的な告白だった。
そんな美紗子もやがて洋介(松山ケンイチ)と運命的な出会いをし、「愛」というこれまで知る由もなかった感情に触れることとなる。
しかしそれはさらなる悲劇の幕開けにすぎなかった。
自らの失意の中、美紗子の人生の奥深くに触れていくにつれ、次第にその物語が創作だとは思えなくなる亮介。
いったい誰が、何のためにこれを書いたのか。なぜ自分はこれほどまでにこの手記に惹かれるのか。
そして機を待っていたかのように、千絵のかつての同僚だったという細谷(木村多江)が、千絵からの伝言を手に亮介の前に現れた……。


熊澤尚人監督作品です。
日本の商業映画界の中ではハイセンスで活躍してる監督だと思っています。
高評価した作品も結構あります。
作品も青春モノ、恋愛モノ、ホラーと幅広いですね。

今作はちょっと怖いミステリーでした。
原作が、読んではいませんが、いかにも最近のミステリーらしい感じですね。
嫌な気分にさせる感じは強いですが、後半は結構シンプルな人間ドラマで感動すらあります。

冒頭は幸せ感ある始まりなのですが、確実に嫌な予感がしているので全然ハッピーな気分にはなれません。
案の定、突然に不幸な流れになります。

で主人公が父の部屋で、小説なのか?手記なのか?よくわからないユリゴコロというノートを見つけ、
父のいない時間を見計らってはそれを盗み読みします。
その姿はまるで思春期の少年が父親の部屋でエロ本を見つけたかの様な感じでした。

物語は現代の描写と、ノートを読むと始まる回想ドラマとの二元進行です。
現代の主役は松坂桃李、ノートの中の主役は吉高由里子です。

まあ、観ている人はそのノートが作りもののわけが無いとは思いますよね。
コレがフィクションだったら一番のどんでん返しでしたが、そこまでは思い切ってません。
そのノートに出てくる人間が自分の周りの人なのでは?がどんでん返しです。

ただ答えが思ったより早くわかる仕組みで、もう少しここを重くしても良かったかな?
そうすれば感動したかもしれない、とは思いました。
観客がわかってるのに登場人物がわかってないパターンって結構ストレスなので。
わかるタイミングが同時なら妥当だと思いますが、個人的には登場人物はわかってるのに観客はまだわからない、位の塩梅が好きです。

思ったより早く構造がわかった分、ってことは・・・と振り返りどんでん返し的な要素がありました。
ってことはこの人はあの時も、あの時も、あの時も、みたいな構造で頭の中がちょっと忙しくなりました。
よくよく考えるとじわじわと感動してくる独特さがありました。

序盤はPG12だけあって描写が残酷でかなりしんどいです。
そして不気味で怖いです。
人を殺さずにはいられないという欠陥人間をストレートに描いているので、良いことが起きるわけない、という前提が強いです。

吉高由里子は5年ぶりの映画主演らしいですが、全くそんなブランクがあるとは思えなかったですね。
前半は全く無感情で彼女の顔もこの役に合っていて良いオーラ出してました。
後半は家族を持って普通に愛を持った妻であり母であり、吉高さんらしいキュートさも感じれました。
久々にセクシーなシーンも観れて嬉しかったですね。
この1作で色んな表情を見せなければならず難しかったと思いますが見事にこなしていて。
ナイスキャスティングだと思いました。
彼女ありきの作品でしょう。
賞レースで名前がでてもいいくらいの仕上がりでした。

松坂桃李はいつも通りな感じです。
脇役から主演まで幅広くこなす起用役者だと思いますが、今作は結構スタンダードな松坂桃李です。
ただ時々怖くてヒステリックでストレスでした。
怒鳴る演技の部分を静かに淡々と喋るパターンにしたらもう少し良い後味だったかな?とも思いました。

ノートの中で殺人鬼の女性を愛し結婚する男を松山ケンイチが演じていましたが、コレまたかなり良かったですね。
過去の経験から心を閉ざし、性的不能になり、ただ非常に優しくて。
あまり似たキャラが思いつかないくらいクセの強い男でした。
結果とても常識的な判断をするので、情に流されてドラマティックなことするわけでもなく、観ていて納得でした。

大好きな清野菜名が松坂桃李の謎の婚約者として出ていましたが相変わらず可愛くて好きです。
そして彼女ならではの陰のある感じもよく活かされていました。

大好きな清原果耶が主人公の中学生時代を少しですが演じていました。
一番ダークな時期とも言える期間を演じていましたがいい雰囲気出していました。
この子は笑うキャラでも可愛いですが、こういう陰のある役でも可愛いので素晴らしいですね。
後々朝ドラヒロインになる気がして仕方ないです。

そして個人的に一番評価したいのは佐津川愛美ですね。
見た目からヤバさプンプンな、目がいってしまっている精神病な自傷行為中毒な女性で。
はっきり言ってこの子のシーンが全部PG12だとは思いますが。
可愛い役も全然できるのにここまで役作りに入れる佐津川愛美は凄いですね。
コレはなんか賞をあげたい出来だと思いました。

「あなたの優しさには、容赦がありませんでした」
名言ですね。
この物語をよく表す一言でした。



そんなわけで7点。
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