メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

地球は丸かった 太陽が輝いていた
「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

日日是好日

2018年10月07日 | 映画
日日是好日
を観ました。


好みの大森立嗣監督作品です。
樹木希林さんの亡くなった後の遺作になるので必見でした。

主人公が日常の悩みや迷いを茶道やその先生の言葉をきっかけにほんのりクリアしていくヒューマンドラマです。
ガッツリ茶道を柱にした映画で非常に日本らしく、所作やら心意気の風情が素晴らしかったです。
静かで耳を澄ますようなシーンが多く、ほんの僅かな音の違いなどに神経質になって。

茶道のお上品で繊細な精神は非常に自分好みですね。
生まれて一度もがっついて食事したこともないし、麺類だろうと音を立ててものを食べることもしないで生きているので。
こういう静けさでゆっくり茶や和菓子を嗜むのはとても良いです。
がっついたり音を立てて食べる人を過剰に嫌悪するのでこういう世界が良いです。

まるで山田洋次作品のような序盤のアットホームシーンから何となく茶道を初めていく様。
映画通して実にシームレスに自然に物語が進んで観心地は良かったです。

進路への悩み就職試験や失恋や家族の死や様々な出来事がありますが、そこが描かれることはほとんど無く。
そんなメンタルを抱えた主人公が茶道教室にやってきて先生と話すって作りが素晴らしかったです。
非常にハイセンスな狙いだと思います。

大人しい黒木華と都会に憧れる田舎者の多部未華子という素朴な雰囲気を持った同じ年で仲良しの従兄弟って設定がシンプルにめっちゃ魅力的でした。
この二人が樹木希林演じる茶道教室の先生に弟子入りするっていうキャスティングが相当完璧に思いました。
15年くらいの期間を描いていますが、そのサラッと時が進んでいく感じも実にいいセンスでした。
一人の女性の半生をサラッと見せられて微笑ましいような、切ないような。
なんとも言えない気持ちにさせられる映画でした。

要所要所の描写はコミカルで劇場ではなかなかの笑い声が上がっていました。
みんなが優しい表情で笑えるようなとても優しい映画です。
とかく主演の三人の掛け合いは微笑ましい史上でも相当上位でした。

黒木華が主人公の女性で相変わらずの見事な演技でした。
樹木希林さんに立ち向かえる数少ない若手女優という感じで実にナチュラルな演技をします。
実に等身大な悩み、大きな後悔、そこから成長していく様。
この子じゃなかったら成立しなかったと思わされる名演でした。

樹木希林さんは相変わらずの半端ない演技力です。
15年位を描いていましたが、序盤は肌ツヤも良く、終盤はちゃんと老いた感じでした。
昔からレビューで言い続けているように、毎打席ホームランのクオリティなんですね。
本来ならば毎年日本アカデミー賞最優秀助演女優賞は樹木希林さんなのですが、逆忖度で色んな女優さんにチャンス与えてるだけだと思います。
個人的に大ファンなので酷い樹木希林さんロスなのですが、登場シーンで思わず泣きそうになりました。
ロスはますます深刻になりますね。
役者って亡くなった後もこうして生きている人以上に存在感があったりして動いている姿を見れて。
不思議ですね。

多部未華子は年々キレイになっていくので年々好きになっています。
演技もうまいし雰囲気あるし。
うまいことハイセンス系女優にシフトした感じがあって素晴らしいと思いますね。

鶴見辰吾が実に良いお父さん役で素晴らしかったです。
家族仲良しでちょっと不器用ながらも大きく優しい愛で娘を包み込んでいる感じを見事に表現していました。
チコちゃん影響でちょっと笑いそうにはなります。

鶴田真由を久々にみましたがいい感じのおばさん女優になってますね。
とてもキレイでした。

個人的には山下美月って子が気になりました。
何だこの可愛くて有望な雰囲気を持った子は、、、って調べると乃木坂ってことが近年非常に多いです。
もう先に乃木坂のファンになっておくべきだったと後悔しています。

茶道を習いたくなるような素晴らしい上質な映画でした。
茶道やら人生の本質を説教臭くなく教えてくれる映画でした。
樹木希林さんの遺作としてもとても忘れがたい映画でした。


そんなわけで8点。
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