メザスヒカリノサキニアルモノ若しくは楽園

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「ごらん、世界は美しい」

感動の映画と美しい風景と愛おしい音の虜

鉄コン筋クリート

2007年01月19日 | 映画
鉄コン筋クリートを見た。

宝町を舞台にクロとシロという二人の少年が空を飛び、駆け回る。
生きる事に絶望してシロを守ることしか存在意義を持たないクロ。
すさんだ町に暮らしていても決して汚れないシロ。
町を変えようとする極道たちと戦い、二人は自分たちの世界を守ろうとするお話。

僕と松本大洋の出会いは中学生の頃だった。
当時スピリッツで花男という漫画を連載していて、その独特の世界観にとても引き付けられたのを覚えている。
そしてそれから数年後、鉄コン筋クリートの連載が始まった。
連載で読んでいた高校当時はまだまだ自分も若かったので絵には引き付けられたもののストーリーを真に理解することはできなかった。
その後もずっと松本大洋漫画を読み続け、自分も成長し再び鉄コン筋クリートを読んだ時にはあまりの名作っぷりに涙が止まらなかったものだ。
松本大洋漫画はどれをとっても名作で、とにかく優しい心に溢れている。
鉄コン筋クリートは中でも最も松本大洋らしいといってもよい作品だと思う。

生きる希望の無さに突っ張り、己の存在意義をシロの中に見る、クロ。
環境がどんなに変わろうが汚れない、シロ。
古き良き時代を愛し、変化に真っ向から立ち向かう、ネズミ。
変化の中、家庭との狭間に揺れ迷い生きる、木村。
クールで不感症だがシロに感化され心を持ち始める、沢田。
強がって宝町を守ろうとするが己の才能を自覚し田舎へ帰ってゆく、チョコラ。
町を乗っ取り手段を選ばず近代化の道を突き進む、蛇。
悟りを開いたかのように大きな視野から町とクロとシロを見つめる、じっちゃ。

これらのキャラクターの性格、変化が見事に描かれている。
まるで現代社会の縮図のようだが、決して説教臭くなく、夢と現実と理想に溢れたとにかく名作。

以前にも映画化の噂があり、予告編みたいのもあったが何故か映画化されず少しホッとしたのを覚えている。
この漫画を読むと、どこかこの世界は自分だけのものみたいな不思議な感覚を抱いてしまい、その世界が映画という大きなメディアによって世間にさらされてしまうのに悲しい気持ちを覚える。
きっとそんな人は少なくないだろう。
そんな不安な気持ちを抱き映画館に行ったのだが、素晴らしい映像技術と原作の空気感を壊さない世界観があり、結論としてとても良く出来ていたと思う。
中でもmy sweet angel蒼井優の声優っぷりは素晴らしかった。
DVDになったら側買いな感じです。

そんなわけで9点
でもほとんど原作の力の高得点。
いかに原作に近づけるかの仕事にマイケル・アリアス監督は成功したと思う

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