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クリーピー 偽りの隣人

2016年06月22日 | 映画
クリーピー 偽りの隣人
を観ました。


犯罪心理学者の高倉(西島秀俊)は、刑事・野上(東出昌大)から6年前に起きた一家失踪事件の分析を頼まれる。
しかし事件唯一の生き残りである長女・早紀(川口春奈)の記憶をたどるも、核心にはたどりつけずにいた。
一方、高倉が愛する妻・康子(竹内結子)と共に最近引っ越した新居の隣人は、どこか奇妙な家族だった。
病弱な妻と中学生の娘・澪(藤野涼子)をもつ主人・西野(香川照之)との何気ない会話に翻弄され、困惑する高倉夫妻。
そしてある日、澪が告げた言葉に、高倉は驚愕する。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」
未解決の一家失踪事件と、隣人一家の不可解な関係。
2つの繋がりに高倉が気付いた時、康子の身に深い闇が迫っていた。


大好きな黒沢清監督作品です。
黒沢清は自分が日本映画を好きになるのに大きなきっかけになった監督です。
ホラーもヒューマンドラマも非常に難解な深みがあって大好物でした。
最近は比較的わかり易いエンターテイメント性の強い作品が多い印象ですが。

今作も比較的にストーリー性が強く、わかり易い方だと思います。

主人公が調査していた一家失踪事件と隣人一家に繋がりがあることに気付くのですが、
それは全くの偶然であって考えられない設定ですが、黒沢清作品ならば気になりません。
隣人の家がかなり特殊な作りになっていて、
なぜこんな作り?と普通では考えられない設定ですが、黒沢清作品ならば気になりません。

そして黒沢清こそがジャパニーズ・ホラーのパイオニアと思っています。
脅かしではなく恐怖を描く監督さんですね。
なので多少緊迫するホラー的なドキドキシーンがありますが、
いきなりバーン!!な脅かしが来ることは無いハズ!と確信を持って観れました。
案の定、脅かしシーンは無いです。
この辺は流石にブレずにチープに傾倒せずにやってくれて嬉しかったですね。

ストーリー展開、引き込み方も見事でした。
早く真相教えてください!って気分にさせてもらえました。
まあ、黒沢清作品なのでわかり易いオチが来ないかも・・・と思ってましたが、
そこは見てのお楽しみということで。

西島秀俊が主人公の犯罪心理学者、元警察の心理捜査官をやっていた男を演じています。
かつては腕利きの刑事で今は大学教授にも関わらず、結構頭が悪くてイライラしました。
すぐ感情的になって、露骨におかしくなってる妻の様子もスルーで。
とても犯罪心理学者とは思えませんでした。
いつもの熱血な西島秀俊でした。

香川照之は噂通り、かなり凄い事になっています。
不気味な顔、支離滅裂な言動、読めない感情の起伏、小股で猫背な動き。
役作り、そのなりきり方は凄かったです。
支離滅裂で行き当たりばったりの馬鹿に見えても常に西島秀俊の裏をかきます。
この点でも主人公のポンコツさにイライラしました。

竹内結子は年々美しくなっていくように思えますが。
そして演技もどんどん上手になっていくように見えますが。
今作も非常に素晴らしい演技でした。
健康的で常識的な妻から、徐々に壊れて無茶苦茶になっていく様も見事でした。

東出昌大が主人公の元部下で現役の刑事役でしたが、
やっぱり意外に賢くなくて強くもなかったです。

好きな川口春奈が黒沢清作品に出ていることが嬉しかったですが。
ビジュアルもいいし演技も上手でいいですね。

流石の黒沢清クオリティで期待取りの満足度でした。
なんとも言えない不気味なホラーです。
こういう頭おかしいご近所さんという設定は意外と幽霊モノとかより僕は怖いです。

日本の犯罪を研究してきた自分には幾つか思い当たるモデルがありましたが、
そこからインスパイアされているのかも知れません。
それくらい独特な犯罪者でした。


そんなわけで7点です。

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