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「ごらん、世界は美しい」

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花戦さ

2017年06月07日 | 映画
花戦さ
を観ました。


時は戦国。京の中心・六角堂に、池坊専好という花僧がおりました。
出世も名誉も興味なし! 何よりも花を愛する“けったいな”この男、人々の幸せと世の安寧を祈って、花をいける日々を送っておりました。
ある日、”物騒”と噂される時の権力者・織田信長の御前で、専好はいけばなを披露することに。
いけたのは前代未聞の巨大な松。信長は専好に問う。「何ゆえ、このような松を?」
「昇り竜でございます! 天に向かってこう、ぐわわゎゎあーっと!」
息をのむ家来たち。中には若き豊臣秀吉、前田利家、そして千利休の姿も。
松を見上げた信長はなんと・・・・・「見事なり!」
その評判は、たちまち京の町に響き渡ったのでございます。
運命の出会いから十数年―。天下人・秀吉の茶頭となった利休と再会を果たした専好。花と茶。
美を追い求める者同士として友情を深め、互いの道を高め合っていったのでございます。
やがて時代に暗い影が・・・秀吉は、圧倒的な権力を笠に、民を締め付け、意に沿わない者を、次々と死に追いやったのです。
そしてついに、利休まで・・・。花で秀吉を討つ!その秘策とは?
専好は立ち上がった。民のため、友のため、暴君と化した秀吉に挑んだ一世一代の大勝負!
手にしたのは刃でなく、花!? 秀吉ギャフン!びっくり仰天の秘策とは?
「秀吉!いざ、ショウブ!!!」


篠原哲雄監督作品です。
結構高評価してきた監督です。
時代劇とは少々意外ですが、独特な目線の作品なのでちょっと興味を持ちました。
しかも時代的には自分がかなり好きなあたりだったので。

花をこよなく愛する、いけばなの名手を野村萬斎が演じていました。
表情の豊かさが凄いし、かなりクセの強い演技です。
この人の演技を良しとするかそう思わないか、で評価は分かれそうですね。

織田信長時代をプロローグ的に少し描いて後は秀吉時代です。
千利休と秀吉の冷戦的な争いの部分が物語の柱です。

日本史好き、とかく戦国時代好きな自分ですが、この池坊専好という人は知りませんでした。
実際にこういう生け花の家元が存在したのですね。
千利休といい、改めてこの戦乱の時代にこんなアーティスティックを追求している人物って凄いと思います。

作風としては本格時代劇の基軸はしっかりとあります。
適度な娯楽性に静で上品なわびさびの描写。
日本古来の作法の美しさ。

何より一番の売りである池坊専好が作る生け花作品は非常に見事でした。
華道家になりたいな、なんてふと思えるくらい美しさでした。
生け花作品が出来るまでの工程も初めて観た気がして、勉強になりました。

史実に沿っての作品なのでしょうが、ほんわかしたテイストの中になかなかの残虐性があります。
残虐描写は無いですが、死ぬ人はあっさり死んでしまいます。
最近の時代劇ではおかしくなってからの秀吉の描写がなかなか過激な印象を受けますが、
今作ももれなくその手の作品です。

主演の池坊専好を演じた野村萬斎は替えが効かない素晴らしい存在感があると思います。
ただそもそもの能のクセがふんだんに出ているので、それはかなり気になります。
それを受け入れられるか?否か?自分は正直苦手です。
のぼうの城の時よりクセが凄かった気がします。
全ての場面で「もう能やん!」とツッコみたくなりました。

同じく日本の伝統芸能の歌舞伎から市川猿之助が出ていて秀吉を演じています。
かなりの極悪秀吉っぷりでした。
顔も去ることながら演技、喋り方までほぼ従兄弟の香川照之そっくりでした。
今やってる”小さな巨人”の香川照之とほぼ同じでした。
寄せている気はしてしまいました。

千利休を演じた佐藤浩市がそんな二人の中で非常に素晴らしい上質な演技でした。
今まで色んな人の千利休の演技を観てきましたがかなり上位に来るような仕上がりでした。

前田利家を佐々木蔵之介が演じていました。
作中では非常に理解があり唯一秀吉を咎められる正義の存在って感じでした。
あまり前田利家のイメージと違っていましたがコレはコレで良かったです。

森川葵がしゃべらない謎の少女、天才的な絵を描く少女でした。
今までそんなに意識したことなかったですが、今作では非常に可愛かったです。
演技は元々上手ですが、こんなに可愛かったっけ?って思うくらい可愛かったです。
今まで何度も観てきたのに、一気に好きになってきました。

出番は少なかったですが中井貴一の織田信長は素晴らしかったです。

盛り上がりには欠けますが上質な時代劇だったと思います。
池坊専好は映画のモチーフとしてはそもそもが弱いのかも知れません。


そんなわけで6点。

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